【第1回リコネット座談会】−有責配偶者からの離婚請求−③

 
 今回は、第1回リコネット座談会−有責配偶者からの離婚請求−について、後半の記事を投稿いたします。

 前回、前々回につきましては、【第1回リコネット座談会】−有責配偶者からの離婚請求−①【第1回リコネット座談会】−有責配偶者からの離婚請求−②をご覧ください。
 

5.有責配偶者から離婚請求されている側の方法選択について

弁護士荒木
では次に井上先生、有責配偶者側から離婚を請求されている側から依頼を承った場合、どのような手続きで進めることが多いのでしょうか。
弁護士井上
有責配偶者から離婚を求められている方の場合、まず最初にご本人のご意向を確認するところから始めます。というのもご本人が離婚もやむなし、条件次第ですよ、と考えている場合には、交渉も選択肢に入ってくることが多い。    ただ一方で、特に女性(奥さん側)で有責配偶者の夫から生活費の支払いすらされていない場合、婚姻費用の調停を申し立てるべきなので、調停手続きをお勧めしています。
弁護士荒木
それは婚姻費用調停のみ申し立てるということですか。婚姻費用の調停に合わせて夫婦関係調整調停を申し立てるという感じですか。
弁護士井上
調停の場合、積極的に離婚したいというニーズが強い場合は別だが、そうでない場合は先に婚姻費用を申し立てて、不倫した旦那さんの方から離婚調停等を申し立てられることを待つ、ということが多いかなと思いますね。と言いますのも交渉ごとというのは、求める側の方が交渉上力が弱くなることが多いので、こちらから離婚を求めて力を弱めるより婚姻費用を、ということが多いです。
弁護士井上
なるほど。逆に、有責配偶者側から離婚を請求されている側から夫婦関係の円満調停や同居調停を申し立てたりしないですか。
弁護士井上
ご本人が関係を修復したいという意向が強い場合は、一緒に申し立てすることをお勧めします。ただ離婚やむなしと考えているか関係を修復したいと考えているかのご意向次第で対応が変わってくるかなと思います。
弁護士荒木
ありがとうございます。

6.有責配偶者と復縁交渉について

弁護士荒木
山﨑先生、離婚を請求されているお客様で、どうしても復縁したい、よりを戻したいという方もいると思うんですけど、そういうお客様の場合、どのような方針で処理することが多いのでしょうか。
弁護士山﨑
そうですね。お気持ちの問題なので、最終的に法律上離婚を拒絶できたとしても相手に同居を強制することはできないので、復縁になりません。逆に、離婚を求められたとしても、いつまで離婚しない状況が維持できるのか、という側面からご説明をしています。
有責配偶者側から離婚請求はなかなか認められない、認められない理由は、裁判で離婚判決がなかなか出ないからです。ただいつか出る、そのいつかまでの長さが有責配偶者からの請求だと極めて長くなってくるので、相手が離婚について首を縦に振らなければむりやり離婚にはなりません、とご説明します。
弁護士山﨑
かといって離婚にならないだけで、同居、復縁にはならないので、不貞を働いた配偶者と別居して、今配偶者がどういう状況なのか、例えば、不貞相手と暮らしていたり、いまだに不貞を続けていたりするなら、そういう状況をどうにかしてやめさせないといずれにせよ復縁のスタートラインにも立てないですよとご案内しています。
その場合、配偶者に対して復縁を求めていくと同時に、不貞相手に対しても不貞は違法行為ですよと伝えるとともに不貞をやめてください、と要請をしていくことも必要になってくると思います。
弁護士荒木
ありがとうございます。離婚する、しないというのは法律上の問題ですけれども、実際によりを戻すとか同居、復縁というのは人の心の問題、事実上人間関係の問題なので、なかなか難しい事案は難しいということなんですね。
弁護士山﨑
割合でいうと、復縁した例は極めて少ない。ただ0ではないです。何件も実際にあります。ただ復縁した例というのは何れにせよ不貞関係が消滅した後の復縁というのが前提条件としてあるんじゃないかなと思います。
もう一つは、不貞を働いて離婚したい方というのは離婚をするために相当長時間が必要、もしくは相当金銭的なお金を出す必要があるということなので、もし向こうがそういう話をするならば、客観的にこういう条件じゃないとダメという話を明確に伝えて、離婚というのはきわめて難しいということを相手に認識してもらうステップも必要になってくると思います。
弁護士荒木
ありがとうございます。配偶者、不倫相手双方に対して働きかけをして不倫関係を解消してもらって、粘り強く交渉していくということが大事ということなんですね。
弁護士山﨑
そうですね。粘り強く交渉していくことが必要だと思います。
弁護士荒木
ありがとうございます。

7.有責配偶者からの離婚請求が例外的に認められる要件 ①相当長期間の別居

弁護士荒木
それでは、青木先生、仮に裁判で有責配偶者側から離婚請求する場合、認められる場合ためには昭和62年の最高裁大法廷判決で認められた三要件、①相当長期の別居期間、②未成熟子の不存在、③相手が離婚により精神的社会的経済的にも過酷な状況に置かれないことの3つの条件が必要になります。
実際、事件処理するにあたって、相当長期の別居期間というのは大体どれくらいのイメージでいますか。
弁護士青木
私は、大体6〜10年くらいというふうに見ているんですけれども、6年というのはかなり楽観的な希望も入っているところです。10年間程度の別居期間があればあそらく大丈夫だろうとご案内することもありますが、10年以上別居期間があってもなお離婚が認められないケースも中にはありますので、そこは本当に難しいところです。
ただ近年、たとえば平成28年の東京高裁の判決では、婚姻期間が9年で別居期間が2年少しで離婚が認められたという例があります。ただこれは特殊で、女性からの離婚請求であるということと、旦那さんに問題があると裁判所から判断されたということで、有責でない方の配偶者が完全に全く問題のない方である場合は、やはり別居期間は10年近く必要になってしまう可能性が高いとは思いますね。
弁護士青木
ただお伝えしておきたいのは、有責配偶者からの離婚請求であっても、調停やその後の裁判の中の和解の話し合いで、大部分はまとまっているという現実は押さえておく必要があると思います。なので、裁判所の判断がこうだから離婚の申し出は控えておこうというふうにやると、もしかしたら離婚できるもののできなくなってしまう、そういうことがあるのである意味覚悟を持って。調停ないし裁判に臨む視点が必要なんじゃないかなと思いますね。
弁護士荒木
なるほど。実際のところ、判決で離婚が認められるためには少なくとも6年、場合によっては10年以上の別居期間が必要になるけれども判決に至らずに和解でまとまるケースも非常に多いということなんですね。
弁護士青木
そういうことですね。

 この記事は、【第1回リコネット座談会】−有責配偶者からの離婚請求−④ へ続きます。公開をお待ちください。


 前回の記事はこちら。
 【第1回リコネット座談会】−有責配偶者からの離婚請求−①
 【第1回リコネット座談会】−有責配偶者からの離婚請求−②

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