【離婚を考え始めたら】持っている株式を、配当再投資型の投資信託に移行すべき理由

弁護士

プロキオン法律事務所(https://rikon-procyon.com/)(離婚に特化した法律事務所として東京と横浜に事務所を構えています。)の代表弁護士の青木です。離婚や男女問題に特化した弁護士として、年間200回以上の離婚調停や裁判に出席しています。夫側、妻側、それぞれに立場に応じて弁護活動を行っています。
(弁護士 青木亮祐 /プロキオン法律事務所 代表弁護士)

今回は、離婚を考え始めたら、持っている株式(またはETFなど)を配当再投資型の投資信託に移行することをお勧めする理由をお話しします。これらは、婚姻費用や養育費の金額を決定する際に有利に働きます。以下、解説します。

1 株式の配当金の存在が、婚姻費用や養育費の金額を変動させる!

(1)婚姻費用・養育費を決めるための「算定表」

婚姻費用や養育費は、現時点の夫婦それぞれの収入に応じて決定します。
具体的な金額は、裁判所の公表している「算定表」によることになります(養育費・婚姻費用算定表:https://www.courts.go.jp/toukei_siryou/siryo/H30shihou_houkoku/index.htm

表をご覧いただければわかる通り、横の軸は、権利者つまり収入が低い側の配偶者の収入で、縦の軸は、義務者つまり収入が高い側の配偶者の収入を当てはめます。つまり、算定表を使う際に重要なのは、夫婦それぞれの収入額がいくらなのか、という点です。

そして、通常は、正社員であれば前年分の給与収入の源泉徴収票を使ったり、自営業者であれば確定申告書を使ったり、パート・アルバイトであれば直近3ヶ月分の給与明細を使うことが多いです。

(2)資産収入も「収入」にカウントされる

ところが、昨今の資産運用ブームの影響もあり、それ以外に資産収入がある方の割合も増えてきました。その場合、そうした資産収入もまた、収入に他ならず、事業所得に準じたものとして計上する必要があります。

資産収入は、不動産の賃料収入(不動産所得)や、株式を持っている場合の配当金(金融所得)がこれにあたります。資産運用ブームにより、一般的な会社員であっても、配当金をもらっているケースがあります。

株式の配当金は、通常、金融所得課税が証券会社にて源泉徴収される結果、確定申告書や課税証明書には現れません。そのため、配当金がある場合は、証券会社が年初に発行する年間取引報告書を提出する必要があります。

そして、配当金収入が算定表上の収入にカウントされることで、婚姻費用や養育費が数万円単位増額になる可能性があります

なお、注意が必要なのは、財産分与の対象にならない資産からの収入も、「収入」としてカウントされるという点です。配当金をもたらす株式を、婚姻前から持っている場合や、親や親族からの相続財産の運用により配当金を得るようになった場合であっても、その配当金収入は、上記の算定表上の「収入」にカウントされます。

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2 配当再投資型の投資信託に移行すると・・・

一方、同じように株式で資産運用する場合であっても、投資信託を利用するケースが多くあります。そして、昨今のNISA制度にともなって発達した投資信託は、経費率を極限に小さくし、なおかつ配当再投資型が主流になっています。

配当再投資型というのは、要するに分配金を出さない投資信託です。投資信託の中身は、個別の株式の集まりですから、株式の配当金が貯まります。それを分配金として投資信託の保有者に定期的に還元するケースもあります。しかし、配当再投資型は、配当金を保有者に還元せず、再投資に回して、投資信託保有者の各持分の価値・価格を上げて、効率的に資産の増加を図ります。

そして、配当再投資型の投資信託を持っていると、株式の配当金を収入としては受け取りません。収入としてではなく、資産の増加という結果として受け取ることになります。

これは、経済的にはほぼ同じ効果です。しかし、婚姻費用や養育費を決める際は、甚大な差を生じさせます。婚姻費用や養育費の算定では、保有している投資信託の価値の増加は、収入とはみなされないからです。

したがって、離婚を考え始めた場合、持っている金融資産が株式であれば、それを配当再投資型の投資信託に移行させておくことが合理的です。婚姻費用や養育費をもらう側であれば、相手に請求する金額を増額させる結果になりますし、支払う側であれば、金額を減額させられることになります。

3 株式から投資信託への移行は、別居前に対応しておくのがベター!

婚姻費用や養育費の算定は、決定時点の収入状況に応じて決まります。
しかし、別居後に収入額が大きく変わる場合、裁判所から、婚姻費用や養育費の金額を下げる目的で行われた不当な操作であると疑われ、従前の収入額を当てはめられてしまうケースもあります。

金融資産を株式から投資信託に変えた場合も、裁判所から不当な目的による操作と疑われてしまう可能性も全くないとは言えません。そのため、もし株式から投資信託に変更するのであれば、それは配偶者との同居中に済ませておいたほうがベターと言えるでしょう。

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今回の弁護士からのアドバイス

☑️株式の配当金は、婚姻費用や養育費を算定する際の基準となる「収入」に含まれます!

☑️株式ではなく配当再投資型の投資信託として持っている場合は、上記「収入」には含まれません。

☑️株式から投資信託への移行は、できれば配偶者と同居中に行っておいた方が良いでしょう。

弁護士のホンネ

弁護士 青木
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私たちは、離婚や婚姻費用に関する多くの記事を書いています。
それは、私たちが実際に調停や裁判でぶち当たった、「なんでこんな不条理が通用してしまうのだろう」という経験を少しでも多くの人たちに伝えたいと思うからでもあります。

今回の記事も、「株式ではなく投資信託なら良かった」という、側から見ると滑稽ですが、当人からするととてもやるせない内容のものです。

私たちが弁護士として経験した様々な悔しさを、ぜひ、皆様の離婚問題解決のお役に立てていただけましたら幸いです。
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