婚姻費用・生活費の約束はしてはいけない!

【男性向け】別居前に絶対に婚姻費用・生活費額の約束をしてはならない理由

婚姻費用を抑えることが対等な離婚協議を実現する条件です!

私たちはこれまで男性向けの記事で、婚姻費用は可能な限り抑えなくてはならないことを何度も述べてきました。

なぜこんなに婚姻費用にこだわるべきなのか。

それは、対等な離婚協議を確保するためには、婚姻費用をできる限り抑えることが不可欠だからです。

それは、別居中、婚姻費用を渡さなくても良い場合(あるいは養育費額程度で済む場合)と、婚姻費用を渡さなくてはならない場合(つまり養育費以上のお金を妻に渡さなくてはならない場合)を比較して、どちらが「対等な」離婚協議をできるかを考えれば明白でしょう。

あなたが別居中婚姻費用を支払う場合、離婚をすると妻は毎月もらえるお金が減るか無くなります。

そうすると、妻からすれば離婚をするメリット、あるいは離婚を急ぐメリットがほとんどないわけです。

となれば、妻は離婚交渉でも強気な態度を取ってきます。

なぜなら、仮に協議が決裂して、裁判になったとしても、裁判が終わるまでの間はずっと婚姻費用・生活費をもらい続けることができるわけですし、その上、裁判で離婚が認められる場合には、相場通りの財産分与を受けることができるからです。

特に、相場より割高な婚姻費用を払うことになってしまう場合は尚更です。

実際に、離婚の調停中でも、妻側の弁護士から、「どうせ離婚裁判になったら婚姻費用払い続けなければならないでしょ?それだったらこの額(相場より割高な財産分与額)で応じた方が得でしょ?」と堂々と言われることがあります。

大抵は、この脅しに屈して、屈辱の中で割高なお金を払わなければ離婚ができないわけです。(実は、離婚の時に妻側がお金をもらうことが通例になっているのは、このことが大きく関係しているのです。あまり一般のメディアでは取り上げられていないのですが。。)

よって、「対等な」離婚協議を実現するためには、可能な限り月々妻に払わなければならない婚姻費用を抑えなければなりません。

このことは何度でも申し上げたいと思います。

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別居前には婚姻費用の約束をしてはいけません!

ところで、別居直前に婚姻費用・生活費の金額を書面で約束してしまう方が多くいます。

例えば、別居することについて大もめになって、妻からヒステリックな言動を受けながら、書面に月々30万円やら40万円やらの婚姻費用・生活費を払う内容の覚書に署名させられてしまうといったことがあります。

この覚書は有効だと思いますか?

残念ながら、有効です。

そしてこれは原則として離婚できるまでの間ずっと効力を持ち続けます。

月額30万円の婚姻費用を払わなければならない場合というのは、高校生以上の子供が3人いて(全員妻と同居していることを前提)、かつ、夫の年収が1600万円程度ある場合の相場です。多くの人は当たらないでしょう。

しかし、夫の年収が700万円程度でも、合意をしてしまったらアウトです。これは効力を持ちます。

一方で、相場より割安な内容で婚姻費用・生活費の額の約束ができることは滅多にありません。

大抵は、住居費用、食費、通信費に加え、子供たちにかかる習い事費用、車検代、特別出費などを計算され、裁判所相場よりも相当に割高な金額が要求されることになります。

また、妻の住んでいる住居の住宅ローンを夫が負担している場合も多くあると思います。

この場合、裁判所で婚姻費用額を決定してもらう場合には考慮してもらえますが、住宅ローンを考慮せずに妻との間で婚姻費用額の約束をしてしまうと、後から変更することはできません!

もし別居前に生活費・婚姻費用の話になった場合は、書面などで約束するのではなく、「とりあえず」「暫定的に」○○円を払いますという程度にしておきましょう。

このことが、後々離婚条件の話に進んだ時に、「対等な」離婚協議を実現し、公正な離婚条件で離婚を達成することに繫がるのです。

なお、妻から過剰な生活費の請求をされた場合の対処法については、こちらもご参照ください。

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別居中の妻から過大な婚姻費用・生活費を請求された場合の対処法
弁護士のホンネ

この婚姻費用というのは非常に曲者で、時には離婚を有利に進められるかどうかを決定づけるものになります。

例えば、夫側には一切慰謝料を支払う義務がない場合であっても、離婚が長引けば裁判で決着になるまでの間、婚姻費用を払わなければなりません。

そのため、結果的には慰謝料と同程度の金額を「解決金」という名目で支払わざるを得なかったりします。

特に、妻側の代理人につく弁護士によっては、当然のようにこの解決金を要求してきます。
可能な限り婚姻費用額を抑えることで、対等な協議を実現できるようにしましょう!

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