突然、裁判所から婚姻費用の支払いに関する文書が届いた!婚姻費用って何??

 突然、別居した配偶者(妻または夫)から、裁判所や弁護士を通して婚姻費用に関する連絡や通知書が届いて困惑している方がいるかもしれません。今回は、婚姻費用の全体像についてご説明します!

1 婚姻費用とは?支払義務はある?

 婚姻費用とは、夫婦が、結婚生活を送る中で必要になるお金、簡単にいうと生活費のことです。衣食住費、医療費、教育費、一定程度の娯楽費などを含みます。「婚姻費用」は聞き馴染みがない言葉かもしれませんが、相手から「生活費を払って!」と言われている状況とほぼ同じです。

 多くは、別居中のご夫婦間で、収入の低い配偶者から収入の高い配偶者、子供と生活している配偶者から子供と生活していない配偶者に支払いが求められます。

 支払いの期間は、相手に請求されてから、離婚または別居状態が解消されるまで、というのが一般的です。

 この婚姻費用は、法律で認められている権利なので、支払いを拒むことはできないのが原則です。

じゃあ、いくら払わないといけないのか、少しでも負担を減らす方法はないのかについて見ていきます。

2 婚姻費用っていくら払うの?算定表の読み方って?

 婚姻費用をいくら払うかについては、裁判所が公表している、「養育費・婚姻費用算定表(裁判所)」からわかるようになっています。

 

裁判所のホームページです。裁判例情報、司法統計、裁判手続などに関する情報を掲載しています。…

(令和元年12月23日に新しいものがアップデートされました。古い算定表を利用しないよう、注意しましょう!)

 裁判所のページに、婚姻費用と養育費、あわせて19個の表が出てきます。この中から、お子様の人数、ご年齢に合致する婚姻費用の表を見つけます。

 表の横軸の「権利者」というのが、婚姻費用を受け取る人、縦軸の「義務者」が婚姻費用を払う人です。縦軸、横軸はそれぞれの年収です。ご自分(縦軸=義務者)の年収と、相手の方(横軸=権利者)の年収が交差する、グレーか白の部分の金額が、お支払いの目安となる金額です。

 例えば、支払いを求めている配偶者のご年収が100万円(給与)、支払いを求められている配偶者のご年収が500万円(給与)のとき、12万〜14万円(月額)の一番下の部分になるので、お支払いの目処としては、12万円(月額)になります。

 ただ、必ずこの金額を支払うことになるわけではありません。算定表は、色々な考慮要素を元に作られているのですが、すでに考慮されている分を超える部分について、算定表の金額が減ったり増えたりする可能性があります。

3 よくある!算定表の金額より減る事情、増える事情!

①水道光熱費

 減る事情で多いのは、請求されている人が支払っている、別居している相手方配偶者の水道やガス、電気代です。ご自分の家の光熱費と、相手の家の光熱費を二重に支払っている状態なので、相手方の分の光熱費は、算定表の金額から引くことができます。

 相手のインターネット代や携帯代、NHK受信料も、同じ理由で引くことができます。

②住宅ローン

 別居している配偶者が住んでいる自宅の住宅ローンを、婚姻費用を支払う側の配偶者が支払っているとき、住んでいる配偶者は本来負担すべき住居関連費用を負担していませんので、そうした金額を算定表の金額から引くことができる可能性が高いです。

③生活のために負担した債務の返済

 また、ギャンブルなどで負った借金は婚姻費用から引くことはできませんが、結婚生活や、お子様の教育費のために負った債務の月々の返済額は、婚姻費用の金額を決めるときに考慮されることもあります。

④権利者が専業主婦のケース

 相手方が専業主婦(夫)のとき、年収は0円ですが、お子様のご年齢などの事情によっては、働くことができるとして、年収100〜120万とみなすことができる場合があり、結果的に支払うべき婚姻費用が低くなることもあります。

⑤私立学校費用

 支払金額が増える事情として、よくあるのは、お子様の私立の学費代です。こちらについては、記事「子どもの学費を請求してくる別居中の妻。応じる必要はある?それともない?」で詳しく説明しています!

減ったり増えたりするのはわかった。じゃあ、これからどうすればいいのかについて、次に考えていきましょう!

4 弁護士からの通知に対してどうしたらいい?

  相手方配偶者からの弁護士の通知書では、算定表の金額より上乗せされているかもしれません。多く支払ってしまうと、後から精算できないリスクがあります。支払う場合は、まずは、ご納得のいく範囲でお支払いするのがいいでしょう。

5 裁判所の調停に参加するときはどうしたらいい??

裁判所も、算定表を使って婚姻費用を決めます。

調停では、年収をベースとした算定表の金額を前提に、こちらが負担するのはおかしいと思う事情についてはしっかり主張し、相手が算定表より多く請求してくる分についても、おかしいと思うことについては、まずはそのお気持ちを伝えるのがいいと思います。

年収については、源泉徴収票、確定申告書、課税証明書などの収入資料から判断されます。主張に関する証拠は提出を求められるのが原則です。

 裁判所からの呼び出しは、とても驚くし、緊張すると思いますが、まずは、調停という裁判所を通した話し合いなので、あまり気負い過ぎずにご自身の心身の健康を大事にしていただきたいです。

まとめ

  • 婚姻費用は、基本的に払わないといけない。
  • 支払時期は、相手に請求されてから、離婚又は別居状態を解消するまで。
    • 婚姻費用は基本的に算定表で決まる。
    • 婚姻費用は基本的には算定表で決まるが、増減することがある。
    • 調停では、収入資料などの証拠の提出が求められる。

弁護士のホンネ

弁護士のホンネ

 婚姻費用の金額は、算定表で支払金額のおおよその目処をつけるまでは簡単なのですが、そこから減額、増額をしようと思うと途端に難しくなります。それは、減額や増減をするためには、算定表のもとになった統計を見て計算をする必要が出てくるかです。

 もちろん、増減は、必ずしないといけないのではなく、ご夫婦の両方が「算定表通りでいいです。」ということであれば、増減はしなくて大丈夫です。算定表が作られたのも、婚姻費用を迅速に判断し、請求する側の配偶者が生活費をすぐにもらえることが目的なので、理念に沿うかもしれません。

 しかし、「生活費が足りない!」、「経済状況から支払が難しい!」、ということで、算定表の金額を増額、または減額したいお気持ちになるかもしれません。

 相手方配偶者に弁護士がついて、算定表以外のことを言ってきた場合には、情報の格差が生じるので、対策が必要になるでしょう。

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