合意するだけ損!不倫慰謝料の違約金。

不倫の示談で注意!違約金の条項には絶対応じてはダメな理由

 弁護士の青木です。
今回は、不倫慰謝料を請求され、ようやく示談となる段階で、一番気をつけてほしい点についてお伝えしたいと思います。不倫慰謝料を請求されている方向けの記事です。

1. 一番注意すべき点は違約金の条項を絶対に入れないこと!

当事者同士または弁護士を入れてようやく慰謝料交渉がまとまりそうになった時、一番注意すべき点は何でしょうか。

もちろん、「いくらの慰謝料額で」示談をするか、という点は非常に重要です。
もっとも、これは相場がありますし(100万円~200万円が一般的です。)、誰しもが一番気にしているところですから、この記事であえてお伝えする必要はないでしょう。(これについては、 「ちょっと待った!不倫の示談書、それでサインしちゃう?」をご参照ください。)

むしろ、ケースによっては慰謝料額以上に注意しなくてはならない点があります。
それは、違約金の定め(違約金条項)です。

違約金条項というのは、約束した事柄を破った場合に請求できる金額を決めておくというものです。
例えば、

第3条 乙は今後、甲の配偶者と手段のいかんを問わず二度と接触しないことを約束する。

と約束をした上で、

第5条 乙は、第3条の約束に違反した場合は、甲に対して1回あたり金50万円の違約金を支払わなければならない。

というふうに将来の損害賠償額を定めるものです。再度不倫をした場合の違約金を定めることもあります。

こうした条項は、もちろん、不倫慰謝料を請求する側にとっては大変有利な内容ですが、逆に不倫慰謝料を請求された側にとっては不利以外の何物でもなく、益するところは全くありません。
しかも、あとで述べるように、裁判で慰謝料を請求される場合には、こうした約束条項は設定されませんから、応じるだけ損と言えるのです。

その上、上記の例では50万円としましたが、これ以上高額の場合もあります。かつての不貞相手と電話をしたりメールをしたりするだけで、こうした金額を払わなければならないとしたら、大変な損失と言えます。

2. 違約金の条項は原則有効!

裁判例でも、違約金の条項の有効性が認められています。
もっとも、あまりにも桁外れな金額であると、一定額を超える部分については無効とされることもあります。
また、「再度不倫をした場合の違約金」と、「連絡をとっただけの場合の違約金」は区別され、後者の違約金は前者よりも認められる金額が低くなります。

・再度不倫をした場合の違約金

例えば、平成29年9月27日東京地裁判決は、「再度不倫をした場合の違約金」について、500万円の違約金条項を有効としました。
また、平成17年11月17日東京地裁判決は、「再度不倫をした場合の違約金」について、5000万円とされていた違約金条項に関して、1000万円を限度に有効としました。1000万円を超える部分は無効とされていますが、それでも、1000万円という金額は有効としているのです。
これってすごいことではないですか?だって、そんな合意に応じなければ1000万円という大金を払わずに済んだわけですから。結局、合意に応じたのが悪いというわけです。

・再度連絡をとった場合の違約金

では、「連絡をとっただけの場合の違約金」はどうでしょうか。
平成25年12月4日東京地裁判決は、「その額については,面会・連絡等禁止条項が保護する原告の利益の損害賠償の性格を有する限りで合理性を有し,著しく合理性を欠く部分は公序良俗に反するというべきである。」としながら、150万円を限度で有効であるとしました(違約金の条項自体は1000万円と定められていました。)。
かつての不貞相手と連絡をとっただけで、150万円を払わなければならないということです。

3. 違約金条項は応じるだけ損!

慰謝料額を定める交渉段階では、請求する側は、色々な言い方をして、自己の要求を貫こうとします。例えば、「違約金の条項を入れなければ、この金額では応じない」、「応じてくれないならば裁判にする」など、様々な圧力があります。
実際は裁判になってもそれほど怖くはないのが普通なのですが(詳しくは、「不倫慰謝料請求をされたあなた。必要以上に恐れる必要はない理由!」をご参照ください。)、そのあたりが想像できず、応じてしまう人も多くいるのではないでしょうか。

しかし、裁判になっても、慰謝料額は相場があり、200万円を超えるようなものは多くありません。また、「いくら支払うのか」以上のことは判決では決まりません。違約金の条項は判決では入らないのです。裁判所が判断できるのは、過去の不貞行為について慰謝料額をいくらいくら払え、ということのみです。
だとしたら、将来の行為についての違約金の条項は、応じるだけ損なのはお分りいただけると思います。

そもそも、請求側としても、裁判で判決をもらう際には違約金の条項は入らないことは分かっているでしょうから、通常は、交渉で違約金の条項が入らないからといって裁判までしようとは思っていないでしょう。

以上の内容を念頭において、示談の内容についてはもう一度慎重に考えていただければと思います。

弁護士のホンネ  

平成29年9月27日判決は、500万円の違約金条項を有効とした判断の中で、「確かに1回の不貞に関する慰謝料額としてはいささか高額であることは否めないが」と述べ、その金額が本来認められる慰謝料額より高額であることを認めています。つまり、金額は割高だけど、違約金条項に合意した以上は責任は負わなければならないということです。まさに、合意損ということが言えるでしょう。

不倫をしてしまったことは確かに悪いことかもしれませんが(悪いことではないという価値観の方もいらっしゃると思いますが)、そのことにより負わねばならない責任は限度があります。その責任以上に負荷を負うことは、単なる損とも言えるでしょう。
ぜひ、示談の際には慎重にご判断いただければと思います。

>弁護士法人プロキオン法律事務所

弁護士法人プロキオン法律事務所

弁護士法人プロキオン法律事務所(横浜・東京・大宮)は、離婚・男女問題に特化した専門事務所です。初回相談は60分無料で、平日夜間・土日も対応可で、最短で即日相談も可能です。あなたの、離婚に関するお悩みはプロキオン法律事務所(横浜・東京・大宮)にお任せください!