離婚をする際、元妻との間に子供がいる場合、養育費の取り決めが存在していることと思います。
相談に来られる方の中には、一度決まった養育費の金額を下げることができないのではないかと考えていらっしゃる方がいますので、一度決まった養育費を下げる方法をご紹介します。
今回の記事においては、以下の順番でご説明いたします。
1 一度取り決めた養育費を下げる方法とは?
一度取り決めた養育費を下げる方法には、大別して、①当事者間の合意による方法、②裁判所を利用した方法、の2つがあります。
① 当事者の合意による方法
この場合の「当事者」とは、子供の年齢にもよりますが、基本的には元妻とあなたを指します。
簡単にいってしまえば、離婚をした元妻と話し合いをして養育費を下げることに合意してもらうという方法です。
ご本人間での連絡や交渉がスムーズに進む場合には、この方法がもっとも簡易かつ早期に養育費を下げる方法となります。
もっとも、快く合意をしてもらえるとは限りませんし、養育費の取り決めの際に裁判所の手続きや公正証書を利用している場合には、養育費について強制執行をされる可能性もありますので、あまりおすすめはしにくい方法です。
② 裁判所を利用した方法
これは、裁判所に対して養育費減額調停を申し立てるという方法になります。
調停手続きは、裁判所を利用したお話し合いの手続きですが、裁判所という第三者が間に入るので比較的話が進みやすいです。
もっとも、裁判所としては、以前に養育費の取り決めをした際と比較して、養育費の減額をするに足りる事情の変更が必要という考え方をしていますので、この点は注意が必要です。
2 養育費を下げる原因となる事情とは?
① 収入の変化
元妻の収入が上がったり、あなたの収入が下がった場合は、養育費を減額できる可能性があります。
ただし、年収が数十万円程度変化する程度ですと、養育費は計算上数千円減る程度にとどまる場合があります。裁判所は1万円単位で算定し、千円単位のものは切り上げるか切り捨てるかをする傾向にありますので、申し立てをしたとしても、減額が認められない可能性もあります。
また、自らの意思で転職をするなどして収入が下がった場合も、減額が認められないケースもあります。
また、元妻の収入状況がどうなっているかも、調停を申し立てる前は分からないことが多いです(教えてくれないことが多い。)。調停を申し立てれば、収入資料が開示されますが、その時に初めて正確な計算ができることになります。
② 再婚して新たに子供が誕生
養育費を下げる原因となる事情として、もっともわかりやすい事情としては、あなたが再婚して新しい妻との間に子供が生まれたというものです。
裁判所の基本的な考え方としては、養育費は子供の人数と年齢で割り付けるという考え方ですので、子供の数が増えた場合は1人あたりの養育費の金額は下がります。
もっとも、注意点としては、元妻との間の子供の養育費を取り決める時点で再婚相手との子供がまだ生まれていないことが条件となります。
元妻との間の子供の養育費を取り決める時点で再婚相手との子供が生まれている場合、再婚相手の子供の存在も踏まえた上で元妻との間の子供の養育費を取り決めたと考えられてしまうため、養育費を下げる原因と考えられなくなってしまうのです。
③ 子供が養子縁組
養育費を下げる原因となる事情として、認められやすい事情の1つが、元妻が再婚して、再婚相手と子供が養子縁組をしたという事情です。
この場合、子供の扶養義務を第一に負うのは、元妻の再婚相手の男性ということになりますので、養育費を下げる(0円にする)ことが認められやすいです。
もっとも、元妻が再婚しているかという点や、その再婚相手と子供が養子縁組をしているかという点は、なかなか把握することが難しい事情ではあります。子供の戸籍謄本を取得するなりして、定期的に子供の身分状況を確認することをお勧めします。
まとめ
養育費を減額する方法としては、
①当事者の合意
②裁判所での養育費減額調停
という方法がある!養育費を減額できる場合としては、
①収入が変化した時
②再婚して新たに子供ができた時
③子供が縁組をした時
などが挙げられる!
弁護士の本音
養育費については、一度取り決めをしたらその金額を下げることができないと考えている方は一定数いらっしゃいます。
ですが、自身の収入に比較して多額の支払いをしている場合や、新しく扶養する家族(再婚相手との間の子供)ができた場合には、養育費を下げることが可能になるケースがあります。
今回は、養育費を下げる方法と養育費を下げる原因となる事情についてご説明しました。
紙面の関係上十分に記載しきれていない部分もございますので、もし疑問点等ありましたら、ご相談にいらしていただければと思います。