配偶者と別居した後ならば新しい相手と付き合っても良いの?弁護士の解説

婚姻関係が継続したまま別居に至ったとき、次に進むために新しい相手と付き合ったり、同棲をしたりしたいと思われる方もいるのではないでしょうか。

しかし、これが不貞行為とみなされると、自らが有責配偶者となってしまいますし(その結果、離婚するハードルも高くなります。)、慰謝料請求も認められてしまいます。

そのため、別居後に恋に落ちた他の異性とすぐに新しい付き合ったり、同棲をしたりすることを不安に思われる方もいるでしょう。

そこで、裁判所の基準も踏まえて、どのように考え、対処すれば良いのか、以下で解説していきます。

なお、有責配偶者からの離婚請求は、「有責配偶者でも諦めないで!離婚を実現するための正しいポイント」で解説しております。

1 別居したからといって婚姻関係の破綻が認められるわけではない

まず、原則として、婚姻中の者が、配偶者以外と肉体関係などを持つと不貞行為と認められます。

この不貞行為をした側は、有責配偶者となり、裁判で離婚が認められるためには、その他の条件にもよりますが約8年ほどの長期の別居が必要になってしまいます。そのため、離婚したい側からすると、有責配偶者となることはできるだけ避けなければなりません。

ただ、婚姻関係が破綻した後なら、配偶者以外と肉体関係などを持ったとしても、不貞行為とはみなされません。

最高裁平成8年6月26日判決では、以下のように判断しています。

「甲の配偶者乙と第三者丙が肉体関係を持った場合において、甲と乙との婚姻関係がその当時既に破綻していたときは、特段の事情のない限り、丙は、甲に対して不法行為責任を負わないものと解するのが相当である。」

しかし、この婚姻関係の破綻というものを裁判所は厳しく考えるため、別居しているからといってすぐ婚姻関係が破綻しているとは認めてはくれません。

2 別居期間の目安

裁判所は、別居期間や別居に至る理由を総合考慮して、婚姻関係が破綻しているか決定します。そのため、婚姻関係の破綻を主張したい側は、配偶者とのやり取りの証拠などを用いてどれだけ夫婦関係が破綻しているかということを主張していきます。

そのため、破綻の証拠が多くあれば別居期間が短期間でも破綻が認められることもあり、別居期間がどのくらいなら破綻が認められるとは一概にはいえません。

しかし、裁判所が婚姻関係が破綻しているかどうかを見る際に、一番重視するのは、別居期間であるため、結局、最低何年別居していれば破綻が認められるかどうかの目安は大体予測することはできます。

その破綻が認められる別居期間の目安は、およそ3年から5年と考えられます。そのため、新しい相手との堂々と会ったり、同棲をしたりするのは、別居から3年後を見た方が良いということになるでしょう。

この3年という別居期間が経てば、有責配偶者とみなされたり、新しい相手が慰謝料請求されることを避けることができる可能性は高いです。

ただ、当然、別居期間以外の要素も見られるため、別居中も配偶者と連絡と取り合ったりしてしまっていると、3年間別居していても破綻とは認められない恐れもあります。

一方で、1年から2年程度の別居期間で婚姻関係が破綻しているとみなされるケースもあります。詳しくは、「別居期間が短くても裁判で離婚が認められた具体例!」をご参考ください。

3 すでに有責配偶者となっている場合はどうか

しかし、同居中や別居してすぐの不貞行為がすでに配偶者に証拠として押さえられており、有責配偶者が確定している場合はどうでしょうか。

このとき、もうすでに有責配偶者であることは確定しているので、その後いくら会ったり、同棲したりしても有責配偶者であることには変わりありません。つまり、裁判で離婚が認められるために約8年ほどの長期の別居が必要になることに変わりはありません。

そのため、すでに有責配偶者となっている場合は、上記の2について考慮する必要は乏しいでしょう(なお、別居後の交際の倫理的な問題はもちろんありますが、それは本記事の趣旨の範囲外になります。また、弁護士の立場上、別居後の交際を推奨することは決してありませんので、その点はご留意ください。)。

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 法律相談を受けていると、別居後、まだ離婚は成立していないが、一人で生活することは寂しいので、新しい恋人と会ったり、生活したりして良いかという質問を受けることがあります。また、別居後に他の異性と出会ってしまい、すでに恋に落ちてしまっているケースもあります。

別居してすぐの場合は、当然やめた方が良いというアドバイスになります。一方で、すでに別居から3年ほど経っており、配偶者との婚姻関係の破綻が他の証拠からも明らかな場合は、法的には問題がない場合もあります。

一方で、別居後の交際によって、配偶者との離婚の話が進みづらくなる場合もあるでしょうし、婚姻費用をもらっている側の場合は、権利の濫用として婚姻費用が貰えなくなる可能性があることにも注意が必要です。

専門家に相談をした上で、最終的には自己責任で判断をすることになるでしょう。

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