１ 離婚弁護士が多すぎる！？
「離婚問題を担っている弁護士や法律事務所が多すぎて、いくつかの弁護士に相談をしたが、ようやく先生のもとに辿り着けてよかったです。」
ご相談時にこのようなお言葉を頂戴することが増えました。
５年ほど前までは、離婚に特化した法律事務所は数えられるほどだったと思いますが、最近はそうした事務所も増えてきているように思います。
また、手広くいろいろな分野を手掛けている法律事務所も、離婚に特化したホームページを作るなどして、集客に勤しんでいるようです。
要するに、離婚専門弁護士（またはそのように自称している弁護士）が増えすぎてしまったんですね。
そのため、本当に離婚問題で悩んでいる方が、どこの弁護士や法律事務所に相談をすれば良いのか、そこで悩んでしまうことが増えたようです。
我々の事務所は、設立当初から離婚に特化した法律事務所としてやってきましたので、横浜や東京にお住まいの方であれば、自信を持って「どうぞ私どもの事務所に」とご案内しますが、地方にお住まいの方やそのほか事情のある方に対してはそのようには行きません。
そこで、（離婚に限らず）弁護士・法律事務所を選ぶ際のポイントを、私の考えのもと解説したいと思います。
２ まずは法律相談をいくつか受ける！
いくつか法律相談を受けていただければわかると思いますが、どの弁護士に相談するかによって、受けるアドバイスが全然違うということが多くあります。場合によっては、弁護士によって正反対の結論になっているようなケースもあります。
例えば、有責配偶者（不貞をした側の配偶者）のご相談者に対しては、裁判例を振りかざして、「離婚は当面無理ですので、時間をおいて、あと５年ほど経過してから再度考えてはいかがでしょうか。」と、裁判官のようなスタンスから述べる弁護士もいますし、一方で、「裁判例はともかくも、協議や調停は、交渉です。交渉では裁判例に従わなければいけないわけではありません。大事なのは、利害関係です。そこに着目して話し合いを試みましょう。」と、相談者の目線でアドバイスしてくれる弁護士もいるはずです。
いくつか法律相談を受けると、時々、相談をして感動した、という経験をすることがあるはずです。
それは、①疑問点が解消されたことと、②前向きになれて勇気が出てきたこと、そして③この弁護士になら任せてみたいと思えたこと、それらが全て備わった時に生じます。
どのような案件であっても、必ず適切な解（最適解）というのがあります。それが腑に落ちて納得できた時に、このような思いを抱けるはずです。
ぜひ、いくつか法律相談を受けて、判断してみてください。
３ レビューや口コミに惑わされないこと
飲食店などを選ぶ際、レビューや口コミを参考にする方は多いと思います。私自身も、そうした場所に行く際は結構確認します。
しかし、こと法律事務所や弁護士に関しては、あまりお勧めできないところです。
というのは、弁護士の仕事は、必ず敵を作る構造になっているからです。
ネットのレビューや口コミは匿名ですから、その方が相談者・依頼者なのか、それとも相手方なのかわかりません。
弁護士が依頼者にとって良い仕事をすれば、当然、その分相手方にマイナスが生じています。特に、弁護士は代理人として前面に立って相手方と戦いますから、相手にとっては、本来、赤の他人である弁護士は敵に見えます。その結果、相手の弁護士のレビューに低い評価をしたり、歪曲した事実を載せるなどして一種の報復をすることが頻繁にあります。したがって、鵜呑みにするのは危険と言えます。
もちろん、弁護士の対応に本当に問題がある場合もあるでしょうし、一方で、投稿した方が問題のあるクレーマーの場合もあるでしょう。ただ、そこの見極めは、法律事務所の場合、極端に難しいと思います。弁護士と依頼者の関係は、外部からは分からないさまざまな要素がありすぎます。
結局、実際に法律相談を受けて、その弁護士からどのような印象を受けるか、それに勝る材料はないと言えます。
４ 弁護士会・法テラスの法律相談は受けるべきか？
一方で、弁護士会や法テラスの法律相談を受けた方が良いのかについて、私見をお伝えします。
結論からいうと、弁護士会、法テラスの法律相談を受けることについて、私としてはあまりお勧めはしません。
というのは、弁護士会の法律相談や、法テラスの法律相談は、営業活動の一環として名乗りをあげた弁護士の中で、当番制で割り当てられているものです。その弁護士がどのような分野に強いのか、全く判断材料がないまま、当てずっぽうで弁護士に相談をするのと同じですので、その相談のレベルは保証されていません。それは、数いる弁護士の中で、ダーツを投げて当たった弁護士に相談をするのとほぼ同じであるということを、理解しておく必要があるでしょう。間違っても、弁護士会や法テラスが、弁護士の能力や態度を評価した上で割り振っているわけではないので、注意してください。
結局、インターネットを中心とする情報媒体から、いくつか離婚に強そうな弁護士を選んで法律相談を重ね、一番自分にフィットした（時には感動した）弁護士に依頼をするのが、最も納得できるものだと思います。
弁護士の本音
この数年で本当に離婚に特化した弁護士が増えましたね。これまで、離婚問題というのは、複雑な人間関係が絡み合う、時には子供を巻き込む感情的なもので、弁護士からは敬遠されていた部分もありました。それが、弁護士増加に伴い、ほぼ専門的に取り扱う弁護士が増えたことは国民の皆様にとっても喜ばしいことだと思います。
一方で、どの弁護士に依頼をすれば良いのかという悩みも増えてしまったことは間違い無いでしょう。今回は、そのような、離婚問題に立ち向かう第一歩で悩んでしまった方のために記事を書きました。少しでもお役に立ちましたら嬉しく思います。
