妻が専業主婦になりたいと言ったら。離婚時の夫のリスクを解説!

1 妻が専業主婦になっても夫も家事をしなければ非難される

妻が専業主婦になりたいと言った時、その理由はご家庭によって様々でしょう。妻の精神的な病状が原因であったり、職場でのいじめが存在したり、家事と仕事の両立が不可能な事態であったりなどなど。

しかし、妻に専業主婦になってもらっても良いのか、夫としては慎重に判断をすべきだと思います。それは、夫婦の3分の1が離婚するという現実を見据えてのアドバイスです。以下、弁護士の知見から解説します。

1 妻が専業主婦になっても夫も家事をしなければ非難される

離婚問題で対立し、裁判などになったとき、妻側から、夫の家事の負担不足を非難され、慰謝料を請求されることが多くあります。実際に慰謝料として認められるケースは必ずしも多くありませんが、全く家事をしていなかったということが事実であれば、裁判所の心証が極めて悪くなるのは事実です。

一方で、妻が専業主婦であり、仕事を全くしていなかったとしても、裁判所がそれを非難することはまずありませんし、ましてや妻が慰謝料を支払わなければならなくなることはありません。

つまり、

仕事→しないことにより裁判所から非難される可能性はない。(慰謝料が生じる余地はない。※ただし男性が正当な理由なく仕事をしない場合は別。)

家事→しないことにより裁判所から非難される可能性がある。(慰謝料が生じる余地がある。)

という、現実があります。

家事というのは、いわば必ずやらなければならない仕事として、通常の仕事以上に神聖化されているのです

したがって、妻が専業主婦になりたいと言って、実際に専業主婦になったからといって、夫が家事をしないで良いということにはならないのです。極めて不公正に聞こえるかもしれませんが、それが近時の裁判所の姿勢です。そのため、妻のそうした要請に応じる場合は、夫としては相当な覚悟(稼働は一馬力になる一方で、自分も家事を担わなければならない)を持つ必要があるでしょう。

2 別居すれば、妻の収入はほぼないことを前提として生活費を払う義務が生じる

2 別居すれば、妻の収入はほぼないことを前提として生活費を払う義務が生じる

先ほども述べた通り、夫婦の3分の1は離婚します。その前段階として別居を経ることが多いですが、最近は、別居中に妻側が婚姻費用請求を行うことが盛んに行われています。婚姻費用というのは、別居期間中に妻(または収入が低い側)に払わなければならない生活費のことです。

婚姻関係がどんなに破綻していたとしても、法律上離婚していない限り生活費を支払わなければならないというのが、現在の裁判所のスタンスです。妻と同居しておらず、妻から何らの助力を得ていない場合であっても、そうした一方的な義務が生じます。税金ですら社会インフラの利用という形で対価がある一方で、婚姻費用はそうした対価が一切ない、現代社会でも稀な一方向的な義務ですので、覚悟してください。

さて、専業主婦の妻と別居した場合に妻に渡すべき生活費の金額は、裁判所の公表している婚姻費用算定表(https://www.courts.go.jp/toukei_siryou/siryo/H30shihou_houkoku/index.html)に応じて取り決めがなされるのが通常です。

各表をご覧いただければすぐ分かると思いますが、生活費の金額は、夫婦の収入に応じて決められます。夫の収入が同じでも、妻も収入があれば、それに応じて少ない生活費の支払いで済みますが、妻に収入がなければ、夫が支払うべき生活費は高額になります。

妻が専業主婦の場合でも、実際に仕事をする能力があるにもしていない場合は、パート程度の収入力(100万円から120万円程度)があるものとして計算されること通常ですが、仕事を辞める前の正社員時の収入が認定されることはまずありません。したがって、妻が専業主婦となり、その後別居に至った場合、相当な金額負担を覚悟する必要があります。

3 もちろん財産分与で財産は半分に

3 もちろん財産分与で財産は半分に

財産分与は、夫婦名義の財産を分ける制度ですが、それぞれが得る金額を同じとする2分の1ルールが原則となっています。つまり、夫婦名義の財産を2分の1ずつ分配することになります。不動産についても、登記上の持分は関係ありません。ローンを度外視すれば、住宅を承継する側が、住宅を承継しない側に、住宅の評価額の半分を支払うことになります。

そして、これはもちろん、妻が専業主婦の場合も同じです。夫が築き上げたすべての財産の半分を渡さなければならないことになります。

こうした離婚時のリスク(それも、3分の1の確率で発生するという極めて高確率なリスク)を想定し、本当に妻に専業主婦になってもらって良いのか、慎重に判断する必要があるでしょう。

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本文では、妻に専業主婦になってもらって良いのか、考えるべきポイントを記載しました。しかし、もちろん、様々な経済的な損失よりも、守るべきものがある場合も多いと思います。妻の健康や子供の成長など、各家庭においては様々な考慮要素があるはずです。そうしたことと、離婚時のリスクをすべて考慮に入れた上で、稼働を一馬力にしても良いかどうか、最終的にご判断いただくと良いと思います。

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