父親が本気で親権を取るために必要な3つの行動

弁護士の荒木です。 

妻にはもう愛着はないから離婚したい!けれど離婚したら子どもは妻に取られてしまうから離婚に踏み出せない・・・。

という父親は世の中にたくさんいます。

確かに、子供がいる夫婦が離婚した場合、8割以上は母親が親権者となるのが日本の現状だと言われています。

実際、平成29年の調停離婚では母親が親権者となるケースが90%と圧倒的です( 平成29年 司法統計年報 3 家事編 第23表)。

このようなデータが、父親は親権を取れないというイメージにつながっているのだと思います。

しかし、父親が母親よりも親権が取りにくいのかといえばそんなことはありません。

本気で親権獲得を目指し、必要な行動を行った父親は、多くの場合親権を獲得できています

今回は、私の経験をもとに、親権を獲得した父親たちが共通して行っていた行動のうち、特に重要な3つの点をご説明します。

1.そもそもなぜ親権を取る父親が少ないのか

親権及びその前提となる監護権を決定する際、最も重要視されるのが、婚姻生活中に誰が主に子どもの世話をしていたかです。

裁判所は、それまで最も子どもの世話をしていた親と離婚後も一緒に暮らす方が子どもは幸せだろうと考えます。

現在の日本では、母親が専業主務もしくはパートタイムで働きながら、子どもの世話をするという夫婦のスタイル多数を占めています。

たしかに、育メンなどと呼ばれる育児に積極的な父親は増えてはいますが、父親はフルタイムで働いていることが多いせいか、日常的に母親以上に子ども世話を行うというのはごく少数にとどまっています。

そのため、必然的に親権を取る父親は少なくなっています。

しかし、裏を返せば、裁判所は父親だからといって親権者にふさわしくないと考えているわけではありません

子どもの世話など必要な行動をきちんと行っていれば、母親の場合と同様に評価されます。

2.親権を獲得した父親に共通の行動① 〜子どもの世話は母親以上に積極的に〜

親権を獲得した父親に共通の行動の1つ目は、同居中の積極的な育児参加です。

1 そもそもなぜ親権を取る父親が少ないのか」でも述べたとおり、裁判所が親権の判断で一番重視するのは、同居中にどれだけ子どもの世話をしていたか(どちらが主たる監護者であったか)です。

親権を獲得した父親は、その多くが、別居の半年から1年前にかけて母親以上に積極的に育児を行なっています

父親の育児参加というと、子どもの遊び相手が中心になりがちですが、私の経験上、子どもの遊び相手をしていたことはあまり重要視されません。

それよりも、食事、入浴、寝かしつけなどの身の回りの世話をどれだけ行なってきたかが重要になります。

また、保育園の連絡帳の記入も大きなポイントになります。

どれだけの頻度で自分が子どもの世話をしているかということが客観的な証拠として残る上、記載内容が充実していればそれだけ子どものことをしっかり把握しているということがアピールできます。

連絡帳は積極的に記載するとともに、普段の子どもの様子や具体的な世話の状況を書き込み内容を充実させましょう。

以上のように、少なくとも半年、できれば1年間は、母親以上に積極的に子どもの身の回りの世話を行う必要があります。

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3.親権を獲得した父親に共通の行動② 〜別居時には子どもは自分の側に〜

親権を獲得した父親の多くは、母親以上に積極的に育児を行った上で、別居の際には子どもを自分の側に連れています。

裁判所の親権判断の重要な基準の一つに、監護の継続性というものがあります。

これは、子どものためには、監護者や監護環境はできるだけ変えない方がいいという考え方です。

別居時に子どもを連れている側の親は、その後はずっと単独で子どもの世話をすることになるため、離婚に際してもその監護状況を尊重して親権を非常に認められやすくなります。

そのため、別居時には必ず子どもを連れている必要があります。

ただし、注意しなくてはならない点があります。

別居時に子どもを連れて家を出る行為は、違法性のある行為と評価される可能性があるという点です。

違法性があると評価されれば親権獲得には非常に不利になります。

同居中に子どもの世話を多くしていた方の親が連れて行った場合は違法性があると評価されることは少ないですが、世話が少なかった方の親が連れて行った場合は、違法性があると評価されてしまう可能性は高くなります

この点からも、同居中に子どもの世話を積極的に行うことは重要です。

以上のように、別居時には子どもを自分の側に連れている必要があります。

4.親権を獲得した父親に共通の行動③ 〜しっかりとした監護補助者を準備〜

別居時に子どもを自分の側に連れていることができたとしても、その後の子どもの世話をきちんとできなければ親権者としては認められません。

親権を獲得した父親の行動に共通する3つ目の点は、別居後に子どもの世話を助けてくれる監護補助者を用意していることです。

多くは父方の祖父母など父親の親類で、父親及び子どもと同居もしくは極めて近くに住んで子どもの世話を補助するという態勢を取っている人が多数です。

現実問題として、フルタイムで働く父親が一人で子どもの世話を全て行うことは難しく、監護補助者の存在は必須です

できるだけ育児の実績のある人物に、同居もしくは近所に住んでもらう必要があり、父方の祖父母の協力が得られるなら理想的です。

監護補助者についてはポイントが2つあります。

1つ目は、同居中から将来の監護補助者と子どもとの交流の機会を多く作り、子どもとの良好な関係をあらかじめ築いておくことです。子どもが監護補助者に懐いていることは親権にプラスになります。

2つ目は、監護補助者に子どもの世話を任せきりにせず、同居中と同様に父親も積極的に育児を行うことです。監護補助者に監護を任せきりにすることは親権にマイナスになります。

以上のように、しっかりとした監護補助者を用意することは、父親が親権を取るには必須です。

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5.まずは子どもの世話を積極的に

このように、父親が親権を獲得しようと思うならば、①少なくとも半年〜1年程度は母親以上に育児をし、②別居の際には必ず子どもを自分の側に連れ、③別居後は監護補助者の協力を得て充実した監護態勢を取る必要があります。

まずは子どもの世話を積極的に行うことから全てが始まります。

親権に近道はありません

本気で親権を獲得したいと決意したならば、最低半年間は母親以上に子どもの身の回りの世話をすることから始めてみるのがよいでしょう。

弁護士のホンネ

本文の3つの点には入れませんでしたが、別居後に子どもと母親との面会交流を積極的に認めることも重要です。

裁判所の親権判断の基準の一つに、面会交流の寛容性というものがあります。

これは、子どもと他方の親との面会交流を積極的に認める親を親権者としてふさわしいと評価するという基準で、子どもには、片方の親とだけでなく、両方の親と会って愛されることが必要であるという考えに基づいています。

この基準は、本文の3つほど重要視される基準ではありませんが、頻繁に子どもと会えることで母親の気持ちも和らぎ、離婚に関する紛争自体が良い方向に向かうこともあります。

何より子どもにとっては自由に母親に会えることは嬉しいことだと思います。

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