家庭裁判所調査官が重視する親権・監護権の判断ポイント

家庭裁判所調査官が親権・監護権の判断で重視するポイントを公開!

横浜駅の弁護士の青木です。
今回は、多くの方々が疑問に思っている、親権・監護権の判断が、どのような点でなされているのかについてご説明したいと思います。現在、親権や監護権で配偶者と争っている方や、これから調停・審判で争う予定の方は必見ですので、どうぞお読み下さい。 

1 親権と監護権の違い

まずは、親権と監護権の意味について確認しておきましょう。
親権とは、あなたが離婚をした後に、子供を養育したり、子供のために学校や塾と契約したり、あるいは子供を叱ったりする権利のことを言います。一方、監護権は、子供を現に育てる権利のことを言いますが、通常は親権に含まれているものです。監護権が取り出されるのは、多くは、まだ離婚に至っていない夫婦が、別居中、離婚に至るまでの間、どちらが子供を育てるかで争いになるケースです。父母ともまだ離婚をしていないため、親権自体は持っているわけです。
そういうわけで、親権は離婚後の権利、監護権は別居期間中の権利、と考えておけばよいでしょう。
より詳しい説明については、「意外と知られていない?親権と監護権って何が違うの?」をご覧いただければと思います。

2 家庭裁判所調査官の役割

さて、夫婦(父・母)が別居期間中、子供はいずれかの親と共に生活をすることになります。多くは、妻(母)が子供を連れて実家に帰ったというようなケースです。こうした場合、夫(父)が取りうる方法としては、家庭裁判所に対して、監護権者の地位の指定の審判を申し立てるというものです。家庭裁判所は、別居期間中、どちらが子供を育てるべきか判断する権限があるのです。このとき、家庭裁判所はほぼ例外なく、家庭裁判所調査官という方を指名します。裁判所で働く国家公務員です。

なお、親権が争いになっている調停や裁判でも、家庭裁判所は家庭裁判所調査官を指名することがほとんどです。

この家庭裁判所調査官という方は、裁判官が監護者の地位や、親権者を指定するための判断のために、必要な調査をし、調査官としての意見を報告する役割を負っています。裁判官は子供を直接に観察するわけではありませんから、この調査官による報告というのが、実は絶大な影響力をもっていて、裁判官はこの調査官の報告に則った判断をすることがほとんどです。調査官は、どちらが監護者であるべきか、あるいは親権者であるべきかという評価にかかる部分まで裁判官に報告をします。ですから、いかに調査官による調査というのが重要なのかお分かりでしょう。調査官による調査に対しては、十分な準備をしなければなりませんし、調査官による面談などでは、自分がいかに子育てに尽力してきたかを力説すべきでしょう。

家庭裁判所調査官がどのような手続きを経て裁判官に報告をするのかについては、「面会交流や親権・監護権などに大きな影響のある調査官調査ってナニモノ?」をご覧ください。

ここでは、家庭裁判所調査官がそうした調査の結果、裁判官に報告を行う際に重視するポイントについて押さえましょう。

3 家庭裁判所調査官が親権・監護権の判断で重視するポイント

(1)現在どちらが子供の面倒をみているか

調査官(というか裁判所)は、現在の子供の生活をガラリと変えてしまうことに抵抗感を強く持っています。子供の成長にとって、安定した環境で、少しずつ物事を学びながら育つことが大切だと考えているからです。そしてそれは、もっともなところがあるでしょう。ですので、現在どちらが子供を見ているのかという点は非常に重要です。これが重要であるあまりに、子供を奪取する事件が起きたりしますが、さすがにそのような行動に対しては裁判所は非常に厳しいです。そういうわけで、別居時にどちらが子供を引き取ったかということが、後々の監護権・親権の決定打になることが多いです。

(2)これまでどちらが子供の面倒をみてきたか

また、調査官はその調査の中で、これまで子供の面倒を見てきたのか、非常に具体的に調べます。ただ、「子供の面倒」といってもちょっと抽象的ですよね。そこで、実際に調査官が重視する具体的な「子供の面倒」について以下に列挙します。

  • 赤ちゃんのときにミルクを飲ませていたのは主に誰か
  • 赤ちゃんのときにおしめを替えたのは主に誰か
  • 子供をお風呂に入れたのは主に誰か
  • 子供の離乳食を作ったのは主に誰か
  • 子供の食事の世話をしたのは主に誰か
  • 朝、子供を起こしていたのは主に誰か
  • 子供に歯磨きをしてあげていたのは主に誰か
  • 子供の服を着替えさせたのは主に誰か
  • 子供と一緒に添い寝をしたのは主に誰か
  • 子供に絵本を読んであげたのは主に誰か
  • 子供の服や身の回りのものを買ったのは誰か
  • 保育園などの送り迎えをしたのは主に誰か
  • 保育参観などの行事に参加したのは主に誰か
  • 保育園などの連絡帳を書いたのは主に誰か
  • 子供の服や持ち物に名前を書いたのは主に誰か
  • 子供と休みの日に一緒に遊んだのは主に誰か
  • 子供を病院などに連れて行ったのは主に誰か
  • 子供の誕生日プレゼントを買ってきたのは主に誰か

どうでしょう、だいぶ具体的に見えてきませんか。これらを列挙していくと、どちらが子供の面倒を見てきたのか、だいぶ明らかになってくるといえるでしょう。

(3)その他の点について

その他にも、親権や監護権の判断においては調査官が重視するポイントはいくつかあります。しかし、ほとんどは、上記(1)か(2)で説明できてしまうでしょう。「母性優先の原則」という言葉があったりしますが(裁判所は別にこういう言葉を使っていません)、母親だから原則として親権・監護権が認められるということはありません。ただ、母親であれば通常、中心になって子供の面倒を見てきたことが多く、実際にもそのように判断されることが多いため、親権・監護権が認められやすいという傾向があるにすぎません。結局、上記でいう(2)の問題といえるでしょう。また、兄弟不分離だとか、子供の気持ちだとかが大事と言われますが、それもやはり(1)や(2)よりは重要性としては劣るといえるでしょう。もっとも、子供が中学生以上であると、子供の気持ちが相当に重視されることは指摘できます。

以上の実情をぜひ押さえておいていただければと思います。これを念頭に、調査官による調査に協力し、あるいは主張を行っていきましょう。しっかりと対応できるかによって、結果がガラリと変わることもありますので、十分に準備をして臨みましょう。

 

弁護士のホンネ  

母性優先の原則だとか、兄弟不分離の原則だとかいう言葉があったりしますが、母親を優先するとか、兄弟を分離しないことを原則とするとかいう決まりがあるわけではありません。
結局、子供の成長にとってどちらが子育てをするのが良いのかという判断です。そうですから、どちらがより子供と時間を共有してきたのか、という点が最も大事といえます。それが結果的に母親に親権・監護権が認められる傾向になったり、兄弟を分離しない形での判断になったりするということですね。

子供の親権や監護権でモメる調停に参加するときは、やはり調査官にちゃんと事情をわかってもらうことが絶対に必要です。調査官も全てを聞いてくれるわけではありません。こちらからもしっかりと伝える必要があります。そして、なんでもかんでもいうのではなく、やはり上記のポイントに沿って整理した事実をしっかりと伝えていきましょう。それが離婚後も子供と一緒にいられるかどうかの決め手になることがあります。

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