【合意する前に読もう!】面会交流調停を行う際の注意点

弁護士

プロキオン法律事務所(https://rikon-procyon.com/)(横浜で離婚に特化した法律事務所として東京と横浜に事務所を構えています。)の代表弁護士の青木です。離婚や男女問題に特化した弁護士として、年間200回以上の離婚調停や裁判に出席しています。
夫側、妻側、それぞれに立場に応じて弁護活動を行っています。
(弁護士 青木亮祐 /プロキオン法律事務所 代表弁護士)

今回は、面会交流調停で、面会条件の話し合いをする際の注意点をお伝えします。合意をしてからでは遅い場合もありますので、ぜひ、調停成立前にお読みください。

1 執行力を持たせるのであれば具体的な取り決めを

よく言われている事ですので、今更かもしれませんが、面会交流調停を行うのであれば、それに一定の強制力を持たせたいところです。その場合、子供を監護している側が約束を破った場合に、強制的に面会交流が実現できるようにしましょう。

具体的には、①いつ、②どこで、子供の引き渡しを行い、子供を返すのか、という点が明確になっていることが重要です。

そのため、毎月第何曜日の何時、JR○○駅改札口で引き渡し、同じ日の何時に返す、というところまで明確にしておきましょう。2ヶ月に一回の場合は、偶数月、または奇数月という定め方をするのが通常です。それより頻度が低い場合は、月を特定するのが良いでしょう。

<例>
相手方は、申立人に対して、以下の条件で申立人と子が面会交流をすることを認める。
(1)実施日 毎月第2土曜日(代替日を第3土曜日とする。)
(2)時間 午前10時から午後6時
(3)受け渡し場所 JR○○駅西口改札口前

このような取り決めであれば、相手が取り決めに応じない場合に、間接強制という執行手続きを行って、面会交流を実現できる可能性が高くなります。

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強制的に面会交流する条件とは?

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2 手続中も、面会交流の実施の打診を続けましょう!

面会交流調停という話し合いの場で面会条件を決められなければ、裁判官が判断する面会交流審判へと移行します。

調停や審判を含めると、相当な期間が経過することになります。そのため、手続期間中も、面会交流の打診を行うようにしてください。

また、「1」で述べたように、せっかく面会交流調停や審判を行うのであれば、執行力(強制力)のある取り決めにしたいところです。ところが、審判に移行しても、裁判官は執行力が生じるような、具体的な取り決めまではしてくれない場合もあります。

そこで、調停や審判中も面会交流を打診していたのに、応じてくれない、ということを証拠資料に残すべく、手続中も面会交流の打診をするようにしましょう。そのような打診が続いていたにも関わらず、相手が応じない場合、裁判官によっては、執行力(強制力)のある取り決めにする必要性が高いとして、具体的な条件を審判で命じてくれる可能性が高まります。

3 宿泊について別途協議条項をつけましょう!

面会交流調停では、月に1回程度子供と会うことには了解してくれても、宿泊までは認めてくれないことも多いです。そうした場合、いずれは宿泊についても話し合いの対象にするという取り決めをしておきましょう

というのは、一度面会交流調停で合意に至ると、前提となる事情の変更がない限り、新たな取り決めができない可能性があるからです。

実際にある事件ですが、前の面会交流調停で、面会条件の合意の際、宿泊に関する交流は、いずれ話し合いましょうということになっていました。ところが、後から宿泊の面会交流を求めて調停を申し立てたところ、審判で、すでに面会交流条件については十分に話し合いし尽くしたのだから、事情の変更がないとして、宿泊の交流の可能性について判断してもらえなかったのです。

一度取り決めた面会交流条件は簡単には変更できません。それを示した東京高裁決定を参考として挙げておきます。

(東京高裁平成31年2月1日決定 ウエストロー・ジャパン搭載)

当事者双方は,本件協議書に定めた条件で協議離婚することに合意したのであるから,本件協議書において,未成年者の面会交流について合意した事項は尊重されるべきであり,本件協議書の合意をするに当たって基礎とした事情に変更等があり,未成年者の福祉に照らして本件協議書の合意を変更することがやむを得ないような場合を除いて,本件協議書の合意に沿った面会交流の方法等によるべきものとすることが相当である。

そのため、面会交流調停での合意の際には、「宿泊を含む面会交流については、子が○才になった時に、別途協議して決することとする。」などの文言を必ず入れておきましょう。

4 離婚調停の際は、「面会交流については別途協議する。」が必要

離婚調停で面会交流の合意をする際、少し注意が必要です。

というのは、離婚調停で、子供との関わりに関して取り決めをしている場合(例えば、子供の学校行事への参加や、手紙のやり取りに関する取り決めのみがある場合など)、それが面会交流に関する取り決めだったとみなされる可能性があります。実際に面会交流として取り決めた場合であれば良いのですが、そうではなく、後から取り決めるつもりだった場合、面会交流調停を別途申し立てても、離婚調停の時に解決済みとみなされてしまう可能性があります。

そのため、離婚時の取り決めとは別に、後から、きちんと面会交流条件の取り決めをしたい場合は、離婚の調停条項の中に、「面会交流については別途協議して決する。」旨の記載が不可欠です。

離婚後の面会交流は、大切な子供とのほぼ唯一の接点となってしまいます。注意して調停に臨むようにしましょう。

<まとめ>

☑️面会交流の条件を取り決める際は、時間や場所を特定できる程度に具体的な内容にしましょう!

☑️調停や審判の手続中、相手に面会交流の打診を行い続けましょう!

☑️いずれは宿泊もしたいのであれば、「宿泊を含む面会交流については、子が○才になった時に、別途協議して決することとする。」旨の取り決めを必ず入れておきましょう!

☑️離婚時の取り決めとは別に、後からきちんと面会交流の取り決めをしたい場合は、離婚調停では、「面会交流については別途協議して決する。」旨の取り決めをしておきましょう!

弁護士のホンネ

弁護士 青木
弁護士のホンネ

面会交流については、年々裁判所の判断が厳しくなっているように感じます。10年程は、面会交流はよほどのことがない限り、当然に認められるべきこととして、裁判官も積極的に相手に対して働きかけをしていました。また、審判でも、間接強制が可能な程度に具体的な取り決めをしてもらえたように思います。しかし、昨今は、面会交流は親の権利ではなく、子の福祉のために存在するという建前が前面に出ており、面会条件が決まるまで異常なまでの時間を取られるようになりました。

おそらく、抜本的な解決のためには、別居の際の子供の連れ去りという初動部分に法的な規制を加えることだと思われますが、立法府が本腰を入れない限り、解決の見通しが立たず、歯痒いところです。

そうした状況の中でも、なんとか健全な面会交流が実現されるべく、本記事が少しでもお役に立てましたら幸いです。
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