

プロキオン法律事務所(https://rikon-procyon.com/)(横浜で離婚に特化した法律事務所として東京と横浜に事務所を構えています。)の代表弁護士の青木です。離婚や男女問題に特化した弁護士として、年間200回以上の離婚調停や裁判に出席しています。
夫側、妻側、それぞれに立場に応じて弁護活動を行っています。
(弁護士 青木亮祐 /プロキオン法律事務所 代表弁護士)
離婚は、人生の新たなスタートラインに立つための大切な決断です。しかし、感情的になりやすい状況で、法的な知識がないまま手続きを進めてしまうと、後々後悔することにもなりかねません。
私はこれまで、多くの女性の離婚問題に携わってきました。その経験から、女性が離婚を考える際に、特に知っておいていただきたい5つのポイントを、法律の専門家としてわかりやすく解説します。
離婚後の生活設計を具体的に立てる
離婚を決意したら、まず最初に「離婚後の生活」を具体的にイメージすることが重要です。この準備が、あなたの今後の人生を安定させるための土台となります。
1. 経済的な自立を確立する
- 収入源の確保:
- どのような形で収入を得ていくか、具体的なプランを立てましょう。正社員として再就職するのか、資格を活かした仕事に就くのか、ご自身の状況に合わせて検討が必要です。
- 生活費の把握:
- 家賃、食費、光熱費、通信費など、毎月かかる生活費を正確に計算してください。子どもがいる場合は、教育費や習い事の費用も忘れずに計上しましょう。
2. 住居の確保
- 現在の住居に住み続ける場合:
- 夫名義の持ち家に住み続ける場合、夫から賃料を支払う形で借りる、財産分与で名義変更をするなど、法的な手続きが必要になります。
- 新たな住居を探す場合:
- 新しい家を探すには、初期費用や引っ越し費用がかかります。資金計画をしっかり立てておきましょう。
財産分与・慰謝料・養育費の知識を身につける
お金の問題は、離婚調停や裁判で最も争いになりやすい部分です。正しい知識を持って交渉に臨むことが、ご自身や子供の権利を守ることに繋がります。知識がない場合、家族や調停委員の意見に流されて、不利な解決に至ってしまうケースも少なくありません。
1. 財産分与
財産分与とは、夫婦が協力して築き上げた財産を、離婚時に公平に分け合うことです。
- 対象となる財産:
- 預貯金、不動産、自動車、生命保険の解約返戻金、退職金など。
- 名義が夫単独であっても、婚姻中に形成された財産は原則として財産分与の対象になります。
- 分与の割合:
- 原則として、2分の1ずつ公平に分け合います。
- 専業主婦の方でも、夫の収入形成に対する貢献が認められ、2分の1の権利があると認められるケースがほとんどです。
2. 慰謝料
慰謝料とは、配偶者の不貞行為(不倫)やDV(家庭内暴力)、モラハラ(精神的暴力)など、有責行為によって受けた精神的苦痛を償うためのお金です。
- 慰謝料請求の条件:
- 慰謝料を請求するためには、不貞行為やDVなどを証明する客観的な証拠が必要です。ご自身だけで証拠を集めるのが難しい場合は、弁護士にご相談ください。
- 金額の相場:
- 法律で金額は決まっていません。離婚原因の悪質性や婚姻期間など、様々な事情を考慮して決定されます。
3. 養育費
養育費は、子どもが経済的・社会的に自立するまでに必要なお金であり、親の義務です。
- 金額の算定:
- 裁判所が公表している「養育費算定表」が基準となります。これは、夫婦それぞれの収入や子どもの人数、年齢などから、適切な金額を導き出すための表です。
- 書面化の重要性:
- 口約束は非常に危険です。 後々トラブルになることを防ぐため、公正証書や調停調書として書面に残し、強制執行ができるようにしておくことが、子どもを守るために不可欠です。
子どもの親権と面会交流を真剣に考える
子どもがいる場合、離婚の話し合いで最も重要になるのが「親権」と「面会交流」です。親権については、必ず離婚時にどちらにするかを決めておく必要があります(令和8年度からは共同親権が開始しますが、その運用については現時点では未知数の部分が大きいです。)。
1. 親権
親権とは、子どもの財産管理や、子どもの世話・教育を行う権利と義務です。
- 親権者の決定:
- 夫婦で話し合って決めることが原則ですが、合意できない場合は家庭裁判所の判決で決めることになります。
- 裁判所は、子どもの利益を最優先に考えて判断します。母親だからといって必ずしも親権が取れるわけではありませんが、子供の監護をメインで行なってきたのであれば、よほどのことがない限り、認められる可能性が非常に高いと言えるでしょう。
2.面会交流
面会交流とは、子どもと離れて暮らす親が、子どもと会ったり、手紙や電話で連絡を取ったりすることです。
- 面会交流の権利:
- 子供は、離婚後も片方の親と会う権利があり、親権者であっても正当な理由なく面会交流を拒否することはできません。また、実施をしておいた方が、相手に教育費の支援に応じてもらいやすいという実情もあります。
- 取り決め:
- 面会交流の頻度、場所、方法など、具体的な内容を離婚時に決めておくことが、子どもの心の安定のためにも重要です。
離婚の種類と手続きの流れを把握しておく
離婚には大きく分けて3つの方法があります。最後の裁判は、いきなり起こすことはできず、必ず調停を経ておく必要があります。すでに別居中の場合は、調停を申し立てるのが合理的と言えるでしょう。
1. 協議離婚
- 夫婦の話し合いだけで合意して離婚する方法です。 9割以上がこの方法で離婚しています。
- 夫婦が離婚に合意し、離婚届を役所に提出すれば成立します。
2. 調停離婚
- 協議離婚で合意に至らない場合、家庭裁判所の「調停」を利用します。
- 裁判官や調停委員が間に入り、公正な立場で話し合いを仲介してくれます。
- 一ヶ月半に一回の頻度で話し合いが設けられ、ペースメーカーとしても使い勝手が良いです。
3. 裁判離婚
- 調停でも合意に至らない場合、家庭裁判所に「裁判」を起こします。
- 法律で定められた離婚原因がある場合(不貞や長期の別居など)にのみ認められます。
- 裁判は時間と費用、精神的負担が大きいものです。
迷ったときは弁護士に相談してください
「弁護士に依頼するなんて大げさな…」と思われがちですが、それは大きな誤解です。弁護士は必ず相談者の味方をする義務があります。離婚前に必ず一度は相談をしてみるべきです。
1. 弁護士に相談すべきケース
- 夫が話し合いに応じてくれない、もしくは一方的に不利な条件を提示してくる
- 夫がDVや不倫をしていて、精神的・肉体的に負担が大きい
- 財産分与や養育費、慰謝料などの金額で揉めている
- 親権について争いがある
- 法律的な手続きや書類作成に不安がある
2. 弁護士に依頼するメリット
- 法的な観点から最適な解決策を提示できます。
- 交渉や手続きをすべて代行するため、ご自身の精神的負担を大きく軽減できます。
- 相手との直接的なやりとりを避けられます。
- あなたにとって最も有利な条件で離婚を成立させられる可能性が高まります。
ご自身のケースが弁護士に相談すべきかどうか迷われたら、まずは一度ご相談ください。多くの法律事務所で初回相談は無料です。あなたの話をじっくりお伺いし、今後の見通しや取るべき手段について、丁寧にお伝えします。
弁護士のホンネ

離婚は、あなたの人生を再構築するための大切なステップです。しかし、感情だけで突き進むのではなく、正しい知識と専門家のサポートを得て、冷静かつ計画的に進めることが成功の鍵となります。
離婚後にトラブルが生じて、弁護士を入れずに取り決めた協議書などを見て、「離婚前に弁護士に相談してくれていればなあ」との思いを抱く機会がとても多くあります。
この記事が、あなたの未来を拓くための一助となれば幸いです。
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