
男女関係が多様化している現代社会において、交際相手との間に子供ができることは多いです。
本来、子供ができるということはこの上なく嬉しい事柄です。
しかし、悲しいことに、交際相手が既婚であるということを隠して交際し、その結果として子供ができてしまうこともあり、そのような事情の方がご相談に来られることもあります。
今回は、交際相手に未婚であると騙されていた場合に、子供を認知してもらう際のリスクや対策を説明します。
1 認知してもらう場合のリスクとは?
認知とは、交際相手の男性が子供の父親であることを法律上明らかにする(認めさせる)制度であり、認知には、①任意認知と②強制認知の2種類が存在しています。
認知の種類や手続きに関しては別の記事(『認知とは?結婚前にできた子供の法律上の扱いを含めて解説します!』https://riko-net.com/divorce-children/legitimize-a-child)にて紹介していますので、そちらをご確認ください。
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認知がなされることにより、交際相手の男性に養育費の支払義務が発生しますので、認知手続きを行うメリットは存在します。
一方で、認知に伴うリスクも存在します。
認知がなされると交際相手の男性の戸籍に認知をしたということが記載されることになります。
このため、交際相手の男性の配偶者(妻)が戸籍を確認すれば、自分の配偶者(夫)が別の女性との間で子供をつくり、認知をしていることが明らかになってしまいます。
その結果、交際相手の男性の配偶者から不貞行為に基づく慰謝料の請求を受ける可能性が出てきます。
つまり、認知してもらう場合のリスクとは、交際相手の男性の配偶者から慰謝料請求をされる可能性が高まるというものです。もちろん、未婚であると騙されている場合は、不貞に関する「故意」がないので、法律上は慰謝料は発生しないはずですが、実際に裁判所が認めてくれるかについては、証拠としてどのようなものが残っているかによります。したがって、リスク自体は残ります。
2 リスクをできる限り回避しつつ認知してもらうための対策とは?
では、リスクを回避しつつ認知してもらうための対策はないのでしょうか。
①戸籍の記載に関する対策?
一つには、戸籍の記載に関する対策が考えられます。認知については戸籍に記載されることになりますが、認知後に転籍手続きを行うことにより、転籍後の戸籍には認知の記載はなくなります。
しかし、交際相手の男性が実際に転籍手続きをしてくれるかは不透明ですし、交際相手の男性の配偶者が転籍前の戸籍を取得すれば、認知の事実は判明します。また、交際相手の配偶者に対する態度としては、倫理的な問題もあります。
②慰謝料請求をされたときに備えての対策をすべき!
より現実的な対策としては、交際相手の配偶者から慰謝料請求をされてしまうことを見据えての対策になるでしょう。交際相手の男性に、自分が責任を持つということを書面で約束してもらうのです。
具体的には、合意書や公正証書を作成し、次のことを取り決めることが考えられます。
・交際相手の男性が未婚であると騙して(既婚者であることを隠して)いたことを認めること
・万が一交際相手の男性の配偶者から慰謝料請求があった場合や、慰謝料請求が認められてしまった場合、その慰謝料の全額について交際相手の男性が責任をもって支払うこと
以上の取り決めを行なった上で、正式に認知をしてもらいましょう。
そして、認知後は養育費の取り決めを行うことも忘れないでおきましょう。
まとめ
- 妻子のいる男性に認知してもらうと、戸籍に認知の記載がされるため、その配偶者から慰謝料請求をされる可能性が出てくる!
- 慰謝料請求をされてしまうことを見据えて、交際相手の男性に責任をもってもらうことを取り決めるのが有効な対策!
- 認知後は養育費の取り決めも忘れずに!

今回は、交際相手の男性に未婚であると騙されて子供ができてしまったという場合に、認知を求める際のリスクとその対策をご紹介しました。
意外にこうしたご相談も多いため、一見ニッチなことではありますが、紹介させていただきました。
たとえ未婚であると騙されていたとしても、男性の奥様から慰謝料請求をされる可能性自体はありますので、可能であれば認知を正式にする前に対策をしておくべきだと思います。そして、認知後は養育費の取り決めもしっかりと行いましょう。お子様の健全な生活のために、どうしてもお金は必要になります。
今回の記事が、少しでもお役に立てれば幸いです。