離婚するなら慰謝料を取りたい!慰謝料ってどういう場合に請求できるの?(浮気・暴力・セックスレスなど)

 

旦那から離婚したいと言われた。

離婚してもいいけど、慰謝料は取りたい!

というご相談を受けることは多いです。

 

離婚をする際、必ず慰謝料というものが認められるわけではありません

当然、慰謝料請求ができるだけの理由が必要になります。

また、その理由によって認められる慰謝料金額も変わってきます。

 

そこで、今回は、

・どんな場合に慰謝料を請求できるの?

裁判で認められている慰謝料金額ってどれくらい?

・慰謝料を請求するためには証拠が重要!

について、お話ししていきます。

 

1 離婚するときって慰謝料を必ず請求できるの?

 

離婚に伴って相手に対して慰謝料を請求するためには、法律上の理由が必要です。

単に、「旦那から離婚したいと言われたけど悔しいから慰謝料は取りたい」と言った感情的な理由のみでは、当然慰謝料を請求することはできません

 

判例によれば、「離婚に伴う慰謝料」の法的性質は、「有責行為により離婚をやむなくされ精神的苦痛を被った」という不法行為に基づく損害賠償である(最判昭46・7・23民集25・5・805)としています。

 

そのため、有責行為(婚姻関係を破綻させた悪質な行為)に該当するような事情、例えば、旦那さんが浮気をしていたとか旦那さんから暴力を振るわれていたなどといった事情が必要になります。

 

2 裁判で認められる慰謝料の金額ってどれくらい?

 

実際の裁判例ではどのような場合に、いくらぐらいの金額が慰謝料として認められているのでしょうか。

以下では、配偶者が浮気をしていた場合配偶者から暴力を受けていた場合その他の事情がある場合のそれぞれの慰謝料の金額について、裁判例を紹介していきます。

 

(1) 浮気(不貞)を認定し慰謝料を認めた事案

浮気・不貞がある場合は、慰謝料額として100万円を超える傾向が安定的に伺えます。

 

ア 妻が請求者

  • 認定額:150万円(請求額:1000万円)

:婚姻期間5年〜10年(東京地判H18・3・14)

 夫の浮気及び多額の借財が算定要素となった事案

  • 認定額:250万円(請求額:300万円)

:婚姻期間5年未満(東京地判H18・6・15)

 夫の浮気、暴言・暴力が算定要素となった事案

  • 認定額:300万円(請求額:500万円)

:婚姻期間30年以上(東京地判H19・6・28)

 夫の浮気の他、夫からの離婚請求、夫が自宅と長男宅のドアを破壊したことが算定要素となった事案

  • 認定額:300万円(請求額:財産分与として1080万円)

:婚姻期間57年(京都地判H22・8・31)

 財産分与の追加請求について、慰謝料的財産分与を認定した事案

 

イ 夫が請求者

  • 認定額:200万円(請求額:300万円)

:婚姻期間5年未満(東京地判H18・4・28)

婚姻関係が円満でなく、浮気行為自体が離婚の決定的な要因とはいえない事案

  • 認定額:120万円(請求額:500万円)

:婚姻期間10年〜20年(東京地判H22・1・7)

 財産分与が請求できる期間を経過してしまっていること、不貞、離婚から相当な期間が経過していること、子がいないことなどが算定要素となった事案

 

(2) 暴力を認定し慰謝料を認めた事案

暴力が一方的で、かつ怪我を負うような程度のものであれば、不貞と同様、100万円を超える傾向にあると言えます。

 

  • 認定額:400万円(請求額:500万円)

:婚姻期間20年〜30年(東京地判H17・6・22)

 夫が、夫の意向に沿わない妻の態度について極端に侮辱し暴行を加えた事案

  • 認定額:200万円(請求額:200万円)

:婚姻期間5年未満(東京地判H17・9・28)

 口論が高じて夫が妻に暴力に及んで負傷させたり、食器類を叩きつけて破損させたりした事案

  • 認定額:100万円(請求額:500万円)

:婚姻期間5年未満(東京地判H18・1・17)

 夫による妻に対する暴言・暴力が算定要素となった事案

  • 認定額:200万円(請求額:2500万円)

:婚姻期間10年〜20年(東京地判H18・7・27)

 夫が妻に対して暴力に及び、妻が腰の骨にひび、肋骨不全骨折の傷害結果が生じた(診断書あり)事案

  • 認定額:300万円(請求額:500万円)

:婚姻期間30年以上(東京地判H21・8・28)

 夫が妻に対して、首を絞めると同時に離婚届を書かせようと脅迫した事案

  • 認定額:500万円(請求額:1000万円)
   :婚姻期間5年〜10年(東京地判H22・7・5)
 夫が妻に対し、身体的・精神的暴力を行い、妻が訴訟中においても心身のバランスを崩していた事案
  • 認定額:20万円(請求額:500万円)

:婚姻期間5年未満(東京高裁H23・9・29)

 夫の妻に対する暴力行為があった事案

 

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(3) その他の原因による離婚

浮気や暴力以外のケースでは、その責任の重さを画一的に判断することは難しく、以下のように非常に大きな振れ幅があります。

 

  • 認定額:50万円(請求額:50万円)

:婚姻期間5年未満(東京地判H17・6・22)

 同居時における妻の非常識な行動が算定要素となった事案

  • 認定額:200万円(請求額:300万円)

:婚姻期間5年未満(東京地判H17・11・22)

 夫の浮気を疑わせる状況があり、夫が生活費の負担をしていなかったことが算定要素となった事案

  • 認定額:300万円(請求額:500万円)

:婚姻期間5年〜10年(東京地判H19・3・28)

 夫による性交渉の拒絶、夫からの離婚請求による婚姻関係の破綻などが算定要素となった事案

  • 認定額:100万円(請求額:1000万円)

:婚姻期間5年未満(東京地判H19・5・28)

 夫の性的不能が算定要素となった事案

  • 認定額:700万円(請求額:2000万円)

:婚姻期間5年〜10年(東京地判H19・11・7)

 夫が長年にわたり一方的に同居・協力義務を放棄していたこと、妻が医師であり今後子育てをしながら医師業務を行うことに、精神的・肉体的・経済的に相当な負担が予想されることなどが算定要素となった事案

  • 認定額:300万円(請求額:1000万円)

:婚姻期間30年以上(東京地判H21・4・27)

 夫が調停成立後も養育費の支払いをせず、障害のある妻が一人で子を養育していたことが算定要素となった事案

 

3 慰謝料を認めてもらうには証拠が重要!!

 

慰謝料が認めてもらえるためには、浮気をしていたことや暴力を振るわれていたことについて、裁判官が本当にその事実があったのだと信用してもらえるような証拠が必要になります。

単に夫が浮気をしている!あやしい!というだけでは認めてもらえません。

 

また、夫婦間の話し合いの中では浮気について認めていたのに、客観的な証拠がないことをいいことに裁判では浮気を否定される可能性もあります。

そのため、証拠は必ず保管しておきましょう

 

浮気の証拠について詳しくは、こちらの記事を参考にしてください。

不倫を証明するため知っておくべき証拠ベスト5!ここに紹介!

 

また、暴力については、医師の診断書や警察への相談記録などが証拠として重要になります。

 

 

<まとめ>

・離婚に伴う慰謝料請求をするには、浮気や暴力といった婚姻関係を破綻させた悪質な行為が必要

・浮気や暴力行為があるケースでは安定して100万円を超える傾向にある

・そのほかのケースでは、個別の事情に応じて50万円から700万円と幅広い

慰謝料の請求のためには、客観的な証拠が重要

 

弁護士のホンネ

離婚に伴う慰謝料については、上でご説明したとおり、離婚によって当然に発生するものではありません。

請求する側でもされる側でも、婚姻関係中の出来事について慰謝料を請求するに足りる事情があるのかをよく検討すべきです。

離婚や慰謝料の問題について、自分がどのような立場であるのかを把握するためにも、お困りの際には、是非一度弁護士にご相談することをおすすめいたします。

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