モラハラ、つまり、配偶者の暴言や陰湿な振る舞いによって、別居や離婚に至る方々は後を経ちません。
ところが、いざ離婚問題に直面したとき、そうした配偶者の暴言や振る舞いを証明するものが何もないことで、配偶者に対して慰謝料を請求できなかったり、逆にこちらの問題点を示されたりしてしまう場合があります。
そうした悔しい事態を回避するために、別居や離婚を見据えて、同居時から配偶者のモラハラ行動を記録できる方法はないでしょうか。
いくつか方法がありますので、今回はその方法を三つご紹介します。
1 ラインのKeepメモ
皆さんも既にご利用だと思いますが、スマートフォンアプリであるライン(Line)は、家族間のコミュニケーションツールとしても良く利用されています。
このラインの機能の一つに、Keepメモというものがあります。トークルームを一覧できる場所に、一つのルームとしてこのKeepメモがあるのですが、これが、自分の日記代わりとして利用できます。
そこで、このKeepメモ内に、配偶者から言われた言葉や行いを残しておき、いざ離婚となった時に利用すると良いでしょう。
「普通の日記でも良いのでは?」と思われるかもしれませんが、普通の日記は、「いつ書かれたものか」ということの証明が難しく、後から書いたものではないか(つまり、後になって書かれたものであり、嘘ではないか)と疑問を持たれてしまいがちで、裁判でも証明力が高いとは言えません。そこで、このKeepメモが役に立ちます。
普通のライントークと同様に、Keepメモ内で打ったテキストは、そのままKeepメモ内に残り、書いた日付と時間とともに残ります。
スマートフォンにデフォルトで入っているメモアプリも悪くないのですが、メモアプリは、一つのまとまった文章を書くのに適しており、しかも更新をしてしまうと、更新日時が上書きで記録されてしまうので、「いつ書かれたものか」を証明するかという点では少し不便です。
したがって、まずはこのKeepメモを利用するのが最も簡便であり効果も大きいと言えるでしょう。
2 鍵アカウントでツイッター
次に、ツイッター(Twitter)の利用です。
離婚するまでの間の情報収集の一環として、ツイッターアカウントを作成するのは良いと思います。ついでに、そのアカウント内で日々の出来事をつぶやきながら、配偶者の行動の記録をとるという方法があります。
ただ、つぶやいた内容を公開したくない場合も多いと思います。特に、その内容が深刻であったり、固有名詞を出す場合などです。公開すると、配偶者にも見つかる可能性がないとも言えません。
そこで、ツイッターの個々の呟きの公開先を必要に応じて自分のみにするか、もしくは、アカウント自体を鍵アカウントにして、自分が許可した人以外は見られない状態にすることが考えられます。
こうした呟きの内容は、いざとなったときにプリントアウトして提出すれば、書いた日付が証明されている日記として利用できるでしょう。
3 録音もした方がベター
文字の記録だけではなく、音声記録(可能であれば映像・動画記録)もあった方がベターです。
最近は、スマートフォンの録音アプリが豊富にありますので、これを利用して、配偶者の暴言が始まった際や始まりそうな際に記録化することをお勧めします。
文字の記録だけだと、裁判所も、本人の創作の可能性を完全には払拭し切れません。したがって、文字の記録を補完するものとして、音声記録は最適です。
まとめ
- 配偶者のモラハラは証拠がないことが多い!
- 日記だと「いつ書かれたものか」がはっきりせず、証拠として弱い!
- Keepメモ、ツイッターでの呟きは日記代わりとして有効な方法!
- 文字の記録だけでなく、音声記録もあった方がベター!
弁護士のホンネ

配偶者のモラハラによる別居や離婚は後を立ちませんが、厄介なのはそれが証明できないということです。不貞や暴力は証拠として残りやすい一方で、モラハラは証拠として残りづらいものです。
そのため、長年の相手からのモラハラに耐え兼ねた末に、自分が不貞に至ってしまった、という不倫の典型的なパターンでも、裁判所からは不貞をした方が悪いとされ、離婚条件などで不利になってしまうケースが本当に良くあります。
こうした事態を避けるためにも、上記でご説明した方法を検討していただければと思います。