医者・医師のための離婚戦略

医者の方必見!医師のための離婚戦略

さて、当事務所では医者の方からの離婚相談も比較的多くお受けしています。

そこで、今回は、医者の方に顕著な特徴を述べながら、医者の方がどのように離婚の手続きを進めて行くべきか、「離婚戦略」とも言えるものを述べてみたいと思います。

 

1. 医者・医師の離婚の特徴

まず、医者の方の離婚に関する特徴は以下の通りです。

不貞をしてしまっているケースが多い

やはり医者は、経済的社会的に恵まれた地位にある一方で、夜勤宿直など仕事上の環境により「出会い」が多いようで、弁護士に離婚を相談する時点ですでに不貞をしてしまっている(そしてそれが妻にバレている)ケースが多いように感じます。

 

妻が離婚に応じないケースが多い

経済的に恵まれた医者の状況は、通常、妻もその恩恵を受けています。

したがって、経済的な部分だけで考えると、妻が離婚に応じるメリットはありません。

そのため、いかに夫婦関係が破綻し、会話がなく冷めきった状況であっても、妻が離婚になかなか応じてくれない、そうした状況がすでに10年に渡っている、などといった状況が良く見受けられます。

 

別居中、莫大な生活費を払い続けているケースが多い

医者の年収が高いことは周知の通りです。

2000万円を優に超える場合も少なくありません。

そのため、別居期間中、妻の生活費はもちろんのこと、子供達の学費も含めて、毎月40万円を超える金額を妻に対して送金している例も見られます。

 

2. 簡単には行かない医者の離婚

1に挙げたような状況だと、妻に離婚に応じてもらうのは簡単ではありません。

まず、離婚をすれば、妻は毎月もらえていた生活費がなくなるか、あるいはグッと減額されてしまいます。

したがって、妻がそうした生活に慣れきってしまっているケース(結婚して10年を経過しているケースなど)では、いかに医者である夫が不貞をしていようが、離婚には応じず、毎月の生活費をもらい続けることを選択しがちです。

 

特に、医者である夫が不貞をしているという場合になると、有責配偶者からの離婚請求が裁判では認められづらいという状況になります。

この場合、通常8年から10年程度の別居期間が必要とされています(詳しくは、「有責配偶者でも諦めないで!離婚を実現するための正しいポイント」をご参照ください。)。

妻は、その状況を最大限利用して、10年でも高額の生活費をもらえるだけもらおうとするわけです。

 

そこで、医者である夫がこの状況を打開して離婚をするためには、

 いずれ裁判で決着をつける可能性も見据え、まずは別居期間を作ること

 現在の生活水準に安住している妻に渡す生活費を可能な限り抑えること

この2点を強く意識する必要があります。

 

前者は交渉や調停で解決できない場合であっても、裁判による解決の道を残しておくためであり、後者は、妻にとっての婚姻維持のメリットを可能な限り小さくし、交渉や調停での解決をやりやすくするためです。

(もちろん、ご自身の経済状況を改善することにも繋がります。)

以上を踏まえて、医者である夫が取るべき離婚戦略を述べます。

 

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3. 医者・医師である夫が取るべき離婚戦略

 

(1) 生活費の金額の約束はしない!

まず、別居後の生活費については、できる限り合意ではなく、審判で決めてもらった方が良いと思います。

なぜなら、生活費・婚姻費用を合意するという場合、通常、妻の期待する金額に基づくことになるため、本来裁判所が命ずる金額よりも高額になりがちだからです。

 

月々30万円を優に超える金額の約束を、しかも書面でしてしまう医者の方を時々お見受けしますが、やめた方が良いです。

一度高額の生活費を毎月受給できることになれば、それは妻の既得権となります。

原則として減額はできません。ますます妻は離婚に応じなくなるでしょう。

 

生活費の金額は、家庭裁判所の審判で決めてもらうことをお勧めします。

家庭裁判所での審判であれば、養育費・婚姻費用算定表に基づいて決めてもらうことができます。

また、年収が2000万円を超える場合は2000万円を上限として判断してくれたり(東京家裁の裁判例)、住宅ローンの負担を考慮してくれたり、私立学費の負担も一部に留めてくれたりと配慮をしてくれます。

不貞相手との間に認知をした子がいれば、その子の扶養の必要もありますから、その点も重視してくれます。

 

なお、審判の前に調停を踏まえることが多いですが、調停委員の知識不足や合意への圧力などを考えると、弁護士をつけない場合は調停での解決はお勧めできません。

調停では今あげたような事柄を正しく計算に反映できず、大幅に損をしてしまうことが良くあります(詳しくは、「調停はダメ!?婚姻費用は「審判で」決めるべきか?」をご参照ください。)。

 

なお、家庭裁判所での生活費・婚姻費用の調停や審判は、通常、妻の申し立てをもって行われることになります。

生活費について割高な請求がされている状況でしたら、妻に対して調停・審判を申し立てるよう伝えましょう。

妻が非常識な金額要求を執拗に続ける場合は、夫側から申し立てをするというケースも稀にあります。

 

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(2) 確実に別居を行う!

離婚に応じない妻が相手の場合、確実に別居を行うという点が大事です。

いずれ裁判で決着をつけることも念頭に置く場合は、別居期間というものが絶対的に必要です。

特にこちら側が有責配偶者である場合(すなわち不貞をしてしまっておりそれがバレてしまっている場合)は、別居期間が長期に渡ることが条件になってきますのでなおさらです。

 

別居をしているのかどうかが曖昧だと、後で妻から「その時はまだ完全な別居ではなかった」などと言われかねません。

妻のそうした主張が認められると、別居期間が短くなってしまいます。裁判になった場合に離婚できる要件を満たしづらくなるのです。

 

特に、医者の方の仕事は極めてハードです。

そのため、夜勤や宿直が重なっているため、勤務先の病院近くにセカンドハウス的なものを借りたり、不貞相手の所に身を寄せていることもあろうかと思います。

ところが、そうした中で週に1回、あるいは月に1回程度自宅に帰っていたという状況だと、妻は後から、「それは別居ではなかった!」と主張します。

 

したがって、確実な別居であることを担保するために、不容易に自宅で過ごすことは避けた方が良いでしょう。

今の状況は別居状態であるという点を、メールやラインで念押ししても良いです。

また、妻と一緒に外出することも避けるべきです(あとから、夫婦関係は円満だったなどと主張されてしまいます。)。

 

(3) 不貞相手との間に子供ができたらしっかりと認知を!

 

不貞相手との間に子供ができた場合は、しっかりと認知をした方が良いでしょう。

そのお子様のためでもありますし、妻に渡す生活費も抑えられます。

新しいお子様のための扶養にお金を回さなければならないからです。

すでに生活費の金額が定められていたとしても、婚姻費用の減額請求を家庭裁判所に申し立てることで減額が認められます。

 

なお、すでに不貞相手との間の子が誕生することがわかっていたのに、妻と生活費を合意で決めてしまった場合は、原則として後から減額できません。

ここは要注意です。

ですので、先に書いた通り、簡単に生活費の約束だけはしないようにしましょう。

 

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(4) 離婚調停手続の利用

妻が離婚に応じない一番の理由は、今の生活水準が維持できなくなることを恐れるからです。

 

したがって、普通の交渉で離婚に持っていくのはかなり厳しいと言えます。

妻は、今の状況に依存した生活をしてしまっているため、そこから脱却した後のことを具体的にイメージできていない可能性があります。

そもそも、自分に有利な離婚条件がどのようなものなのかを考えること自体になかなか踏み出せないこともあります。

 

そういう場合は、第三者の影響力も使った方が良いでしょう。

とはいっても、親族の方々を巻き込むのはお勧めできません。

親族は血の繋がりによる結合ですから、必ずいずれかの立場にたちます。妻側の親族であれば妻側に立つことは必須です。

そうすると結局、こちらとしては、妻以外に説得をしなければならない対象者が増えるだけになってしまうのです。

 

そこで考えるべき手段は家庭裁判所での離婚調停ということになります。

離婚調停の申し立てを行い、弁護士、調停委員、裁判官といった第三者的な立場の人を巻き込みながら、じっくりと話し合いを進め、相手の気持ちが変わるよう手を尽くしていくことが、一番確度が高い方法だと思います。

 

弁護士のホンネ

今回は経験を踏まえ、「医者の方の離婚」に特化してまとめてみました。
離婚は色々なパターンがありますが、医者の方の離婚にはある程度の共通項があるように感じています。

上に記載した内容はもちろん絶対的なものではありませんが、かなり有効な指針にはなるはずです。

今回は外形的な行動指針を記述しましたが、機会があればより内容に踏み込んだものもご提供できればと思います。
皆様の離婚に向けた行動に少しでもお役に立てましたら幸いです。

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