第三者機関を使った面会交流について

面会交流の第三者機関って??夫婦間で直接子供の受け渡しをできない時は

ご相談者様
面会交流をしたいけど、夫と直接会いたくない…
ご相談者様
嫌な思いをするから、面会交流の日にちについて直接やりとりをしたくない…
ご相談者様
妻から、子供との面会交流について、第三者機関を使いたいとの申し出を受けた…

   

面会交流は子供の福祉にとって重要なものですが、このようなお悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか?

最近では、面会交流の実施に伴って、ご夫婦本人に代わって連絡をしてくれたり、面会交流に立ち会いを行う第三者機関を利用する事例が増えています。

それでは、一体面会交流の第三者機関とはどのようなものなのでしょうか?

離婚・男女トラブル専門の弁護士が、解説いたします。

1.そもそも第三者機関とは何モノ?

面会交流における第三者機関とは、父母間の葛藤が強かったり、感情的な対立が強かったりするときで、父母間での直接の面会交流におけるやり取り(連絡調整や子供の受け渡しなど。)が難しい場合、父母に代わって支援・援助してくれる機関です。
ただし、通常、支援ごとに費用が発生します(有料)。

代表的な第三者機関として、以下の機関が挙げられます。

2.第三者機関では、どのような支援・援助をしてくれるの?

それでは、面会交流の第三者機関はどのような支援をしてくれるのでしょうか?
具体的な支援・援助の内容は、第三者機関により異なるのですが、以下の3つが中心的な業務となります。

(1)面会交流の付き添い

第三者機関の職員が、面会交流(1〜3時間程度)に付き添う形式です。
面会の場所は、第三者機関の事務所内のこともあれば、現地集合・現地解散の場合もあります。
子供が安心して楽しく面会交流を実施できるよう、第三者機関の職員がサポートします。

(例)
非監護親(一緒に住んでいない親)が子供を連れ去る具体的な危険がある事案
子供が乳幼児の事案
子供と非監護親との関係に不安がある事案

(費用相場)
数万円〜

(2)子供の受け渡し

父母が直接顔を合わせたくない場合、父母に代わって、子供の受け渡しをしてくださいます。
1の付き添い型とは異なり、第三者機関はもっぱら受け渡しの時点のみ立ち会い、面会交流自体には立ち会いません。

(例)
父母間が高葛藤であり、直接の受け渡しが難しい事案
子供と非監護親との関係は良好である事案

(費用相場)
1〜数万円

(3)連絡調整型

父母が面会交流の日程や場所の調整などをできない場合、父母に代わって、調整を行います。
1・2とは異なり、子供の受け渡しは父母本人が行います。

(費用相場)
数千〜1万円

3.第三者機関の利用を検討するケースとは?


それでは、どのようなケースで面会交流の第三者機関を利用するのでしょうか。

東京高裁は、監護親の母親が父親からの精神的虐待を主張し、第三者機関の利用を主張した事案における面会交流審判の即時抗告事件において、下記の事例で、第三者機関を利用した面会交流の実施を命じています(東京高裁平成25年6月25日面接交渉審判に対する抗告申立事件決定WL)。

「原審申立人【注・非監護親である父親】と未成年者との面会交流を未成年者の福祉に適う形で継続していくためには,原審相手方【注・監護親である母親】の協力が不可欠であり,面会交流の実施に関して,原審相手方【注・母親】と原審申立人【注・父親】との間に信頼関係が形成されていることが必要である。」
「これを本件についてみると,現時点においては,当事者間に離婚をめぐる紛議が係属しており,また,原審相手方【注・母親】は,原審申立人【注・父親】から別居前に精神的な虐待を受けたと主張したり,原審申立人【注・父親】による未成年者の連れ去りを懸念するなど,当事者間の信頼関係が失われている状況にある。
したがって,原審相手方【注・母親】において,原審申立人【注・父親】との面会交流に消極的になったり,原審申立人【注・父親】によって未成年者を連れ去られる危険性があるとの懸念を抱くことにもやむを得ない事情があるといえる。」
「したがって,当裁判所は,このような状況を考慮すると,原審申立人【注・父親】と未成年者の面会交流を早期に開始し,正常化していくためには,当初は,原審相手方【注・母親】の懸念にも配慮して,第三者機関の立会いという制限された方法で,回数も控えめにして面会交流を開始するのが相当であると判断する。」
「面会の方法や回数について,当初,上記のような制限をすることは,原審申立人【注・父親】にとっては不本意なことであるとしても,原審申立人【注・父親】が,これに応じて,面会交流のルールが遵守され,円満に面会交流が実施されることを現実の行動で示していくことにより,原審相手方【注・母親】の不安は解消されていくものと考えられる。」
「さらには,原審相手方【注・母親】の不安を反映して原審申立人【注・父親】との面会に消極的になっている未成年者の心理も,これに伴って自然に修正され,原審申立人【注・父親】との正常な情緒関係を自然に回復していくことが可能となる。」
「そして,このような経過の実情を踏まえて,面会の方法や回数を拡大していくのが,結果としては,最も円滑に,かつ,速やかに,原審申立人【注・父親】と未成年者との正常な面会交流を実現し,未成年者の福祉に適うものである。性急に面会交流の方法や範囲を拡大することは,かえって,未成年者の心理に葛藤を生じさせ,原審申立人【注・父親】と未成年者との正常な情緒的関係の回復,維持の妨げとなり,未成年者の福祉に反することとなるおそれが大きく,相当ではない。」

以上の通り、東京高裁は、

  • 当事者間に離婚をめぐる紛議が係属していること
  • 母親は父親から別居前に精神的な虐待を受けたと主張していること
  • 母親は父親による子供の連れ去りを懸念していること

などの事情をもとに、当事者間において、面会交流を実施するに足りるだけの信頼関係を構築するためには、第三者機関の利用はやむを得ないものと判示しています。

以上の通り、裁判所は、離婚などで当事者間に争いがあったり、監護親が非監護親からのDV・精神的虐待などを主張していたりするケースでは、非監護親の主張を認めて第三者機関の利用を是認する傾向にあると言えます。

ただし、東京高裁の上記裁判例によると、実際にDVや精神的虐待の事実がなかったでっち上げDVの事案や、監護親側にも責任がある場合(不倫の事実があるなど。)でも、監護親(裁判例では母親)が、非監護親(裁判例では父親)からのDVや精神的虐待があったと主張すれば、それだけで第三者機関の利用が認められ、結果として面会交流の実施が制限されてしまいます。

でっち上げDV・精神的虐待や監護親有責の事案にまで、闇雲に第三者機関の利用を肯定すると、子供の福祉の観点からすると相当ではありません。

そのため、別居に至る経緯や、DV・精神的虐待の事実の有無について、証拠に基づいて、きめ細やかな事実認定を行った上で、第三者機関を利用するべきか、そうでないべきか判断するべきだと個人的には思います。

4.第三者機関を利用する場合の注意点!

(1)費用について

2において費用相場を記載した通り、第三者機関から面会交流の支援を受けるためには、1回あたり下記のような費用が発生します。

  • 付き添い型 数万円〜
  • 受け渡し型 1〜数万円
  • 連絡調整型 数千〜1万円

そして、費用の負担割合については、父母間の話し合いで決まります。
ただし、面会交流は子供の福祉のために行われるものなので、通常、費用は各々折半となります。

(2)面会交流の条件について

第三者機関では、面会交流の支援について月1回までとの規定があるケースが多いです。

そのため、月2回以上の面会を求めるケースでは、第三者機関の利用は困難です。
また、宿泊付きの面会交流についても、第三者機関ではサポートを行なっていないのが通常です。

(3)期間について

第三者機関によっては、支援の期間を約1年までと定めているケースがあります。

その場合、支援の開始から1年経過した時点で第三者機関は「卒業」となり、その後は父母間で直接、連絡調整や受け渡しなどを行わなくてはなりません。

そのため、第三者機関から支援を受けている期間も、徐々に父母間での直接のやりとりを行い、慣らしていった方がベターです。

 

弁護士のホンネ

昨今、面会交流の調停や審判などは爆発的に増加傾向にあります。
その一方で、日本での面会交流に対する行政や司法の支援体制は、諸外国(特に欧米諸国)に比べて、まだまだ未発達です。
その点、費用はかかりますが、第三者機関の利用は、高葛藤を抱えている父母にとっては心強い味方となります。
第三者機関に頼りすぎなのは良くないですが(将来的には父母が直接やりとりを行うべきですが。)、面会交流はまずはスタートすることが重要ですので、第三者機関を毛嫌いせず、積極的な利用を検討していただければと思います。

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