離婚後共同親権制度が開始するまで、離婚問題をどう進める?【弁護士の解説】

弁護士

プロキオン法律事務所(https://rikon-procyon.com/)(横浜で離婚に特化した法律事務所として2015年に設立。翌年東京にも事務所開設。)の代表弁護士の青木です。離婚や男女問題に特化した弁護士として、年間200回以上の離婚調停や裁判に出席しています。
(弁護士 青木亮祐 /プロキオン法律事務所 代表弁護士)

今回は、国会で可決された離婚後共同親権制度が実際に始まるまでの間、親権を希望する人はどのように離婚問題を進めれば良いのか、解説します。

1 離婚後の共同親権制度が国会で可決

令和6年5月17日、離婚後の共同親権制度の法案(民法改正案)が国会で可決されました。

成立内容は以下の衆議院HPのリンクから閲覧が可能です。
https://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_gian.nsf/html/gian/honbun/houan/g21309047.htm

公布されてから2年以内に施行される予定となっています。
現時点では、令和8年4月から施行される見解が有力です。

正式に制度として始まるまで、少し時間があります。本記事作成時点では、2年弱です。この間、離婚後の親権を求めたい人は、どのように離婚問題を進めれば良いのでしょうか?

2 単独親権制度でも親権を獲得できるのであれば、直ちに手続きを進めるべき

すでに別居中で、子供と一緒に生活をしているケースや、同居中でも自分が子供の育児を主として担っているケースでは、あなたが親権を取得できる可能性は極めて高いと言えます。

そのため、配偶者から深刻なDVを受けてきたなどの理由により、共同親権になることを避けたいのであれば、直ちに離婚の手続きを進めた方が良いと言えるでしょう。2年の期間があれば協議や調停で離婚が成立するケースは多いです。

ただ、まだ別居に至っていない場合で、相手に不貞などの違法な行為がない場合は、相手が応じてくれない限り離婚は困難です。

また、今回の制度改正により、離婚後も共同親権の申し立てをできる予定です。そのため、離婚時に単独親権を得たとしても、離婚後も確実に単独制を維持できるわけではありません。もっとも、離婚後の生活が安定してくると、その後弁護士を入れて(費用を負担した上で)共同親権の申し立てを行う人の割合は決して多くはないとも考えられますし、離婚後の申し立てにより共同親権が当然に認められるわけでもありません。

なお、離婚後に再婚相手と養子縁組をした場合は、再婚相手が親権者となりますので、元配偶者からの共同親権の申立(親権者の変更)は認めらなくなります。

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3 単独親権は得られないが、どうしても親権を得たいのであれば、共同親権を目指した対応を

一方、現時点の単独親権制度の元では親権を得られない見込みだが、どうしても親権を得たいという方もいらっしゃるでしょう。その場合は、施行後の共同親権制度下での離婚を目指すべきと言えます。

その場合、これから制度が開始(施行)するまでの2年間をどう過ごすかが大切です。
子供への暴力やDVをしてはならないことは当然として、共同親権制度の施行前に離婚になることは避けなければなりません。状況に応じて説明します。

(1)まだ同居中のケース

もし、まだ配偶者と同居中で、あなたに不貞や暴力といった問題がないのであれば、離婚を共同親権制度が始まる2年後に伸ばすことは可能です。

離婚が認められるに必要な別居期間は3年から5年です。したがって、これから別居になったとしても、あなたが離婚に応じない限り、離婚が認められるのは共同親権制度が開始した後になるでしょう。

(2)すでに別居中のケース

一方、すでに別居に至っている場合は、段階によって見込みが変わってきます。

ア 調停前のケース

こちらが離婚に応じない場合、相手配偶者が調停を申し立てることになります。

調停自体は、普通に対応しても半年程度かかります。その気になれば、もっと期間を伸ばせるかもしれませんが、倫理的な問題もあります。弁護士と相談いただければと思います。

そして、半年経過して調停が不成立になった後、相手配偶者は離婚訴訟を提起することになります。離婚訴訟の判決が下るまでは、訴訟提起から数えて1年以上かかると見て良いでしょう。平均だと1年半程度です。

具体的な訴訟期間についてはこちらの記事もご参照ください。

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したがって、これから離婚調停を申し立てられるケースであれば、共同親権制度下での離婚に持ち込める可能性が高いと言えます。

イ 調停不成立後のケース

調停が不成立になり、これから離婚裁判が行われる状況だと、共同親権制度下での離婚に持ち込めるかは、非常にグレーです。

上記の参考記事で示した通り、離婚裁判は、判決までいくケースであれば、平均して1年半程度かかります。とはいえ、財産分与や親権などで争いになるケースでは、2年以上(あるいは3年程度)かかる場合も数多くあります。

そのため、離婚訴訟でどのような点が争点となるかによって、共同親権制度下での離婚に持ち込めるかどうかが決まってくるでしょう。

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(3)離婚後も共同親権を求めて申し立てができる

ところで、法律の施行前の離婚で単独親権となっても、離婚後、共同親権制度下で、共同親権を申し立てることも可能です。すでに離婚の手続きが進んでいて、共同親権制度下での離婚を目指せない場合は、離婚後の申立てを検討しておいても良いでしょう。

ただ、離婚後に共同親権にするという判断は、親権者の変更にあたりますので、離婚時に共同親権にするよりも高いハードルがある可能性があります。ここがどうなるかは今後の裁判所の判断の蓄積によって見えてくるのですが、現時点では判断が難しい部分です。共同親権制度下での離婚に持ち込める余地があるのであれば、それを求めるに越したことはないと言えるでしょう。

弁護士の本音

弁護士 青木
弁護士のホンネ

離婚後共同親権制度が成立しました。

改正にあたり、色々な利害関係者の議論が絡み合っていましたが、子供の立場からすれば、お父さんとお母さん、両方に親として接し続けてもらいたいという感情を持っているのが通常でしょう。また、そういう感情を持ってもらえるよう、全ての関係者が努力しなければなりません。(なお、深刻なDVが絡む場合は別の対処が必要です。)

今回は、離婚後共同親権制度が始まる中、すでに離婚を検討している方が、どのように制度の施行まで過ごせば良いのか、一つの指針となればと思い、お伝えしました。

今回の記事が皆様の離婚問題解決の役に立てましたら幸いです。
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