<2019/12/10更新>不倫妻に子どもを連れ去られてしまった!子どもを引き渡してもらう方法は?

プロキオン法律事務所弁護士の荒木雄平です。

妻が不倫をして、発覚直後に、子どもの連れ去りというのは、子どもを持つお父さんにとっては、悪夢のような事態です。

妻が不倫をして、さらに子どもを連れて、自宅を出て行ってしまったんです!
という相談は昨今非常に多いです。

このような子どもの連れ去りや別居に伴うトラブルは増加傾向にあります。

妻が不倫をしたことは許されないものですが、子どもを連れ去るということもさらに許されない行為です。

ここでは、妻に対して、

  • 子どもを引き渡してもらうことはできないのか?
  • どのように不倫妻の子ども連れ去りに対抗すれば良いのか?

をご説明させて頂きます。この記事がお役に立てれば幸いです。

1.速やかに家庭裁判所に保全処分の申立を。

(1) 審判・保全の3点セットの申し立て

結論から言います。

速やかに、弁護士に相談して、家庭裁判所に

子の監護権者指定の家事審判
+
子の引き渡しの家事審判
+
審判前の保全処分

の3点セットを申し立てるべきです。

(2) 家事審判とは

そもそも家事審判とは、家庭裁判所が行う手続で、家族や子どもに関わる法律問題(家事事件)について、裁判所が判断を示すものです。

一般的な訴訟(いわゆる一般の方がイメージする裁判)とは、

  • 家庭問題などデリケートなケースを扱うので、公開の法廷ではなく、非公開の手続である。
  • 訴訟よりも期間や方式ともに簡易な手続きである。
  • 地方裁判所の訴訟(民事訴訟)とは異なり、当事者の意思や主張に拘束されない

などの違いがあります。

細かい違いは多々ありますが、訴訟と比べて、非公開で簡易な手続と思ってください。

(3) 子の監護権者指定の家事審判とは

(身上)監護権とは、親が子供を看護して教育する権利のことを指します。

別居中の夫婦においては、一般的には、監護権者とは、子どもと一緒に住む親のことを指します。

そのため、子の監護権者指定の家事審判とは、別居中の子どもと一緒に住む親(監護権者)を申立人である自分に指定してほしいという判断を家庭裁判所に求める手続になります。

(4) 子の引き渡しの家事審判とは

子どもと同居していない親(非監護親)が子どもと一緒に住む親(監護権者)と指定された場合には、非監護親から監護親に対して子どもの引き渡しを求めることになります。

そのため、子の引き渡しの家事審判とは、非監護親から監護親に対して子どもを引き渡してほしいという判断を家庭裁判所に求める手続です。

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(5) 審判前の保全処分とは

家事審判は、訴訟と比べて簡易な手続きと言っても、一般的に長い期間がかかります。

しかし、子どもの監護に関することだと、悠長に家庭裁判所で審理をしていると、子どもが虐待されたり、精神的に大きなダメージを受けたりなどと取り返しがつかない事態が生じかねません。

審判前の保全処分とは、家庭裁判所が速やかに家事審判を求める緊急性があるときに、家事審判に先駆けて仮に判断を下す手続きです。

仮に判断を下す手続きと言っても、家庭裁判所が当事者双方の主張や証拠、調査官調査の結果などを踏まえて判断を下すものなので、保全処分と家事審判(本案と言います。)の判断が異なることは通常ありません。

家庭裁判所の感覚ですと、一般的に子どもの監護権者を決めることはできるだけ早いことに越したことはないので、審判前の保全処分が申し立てられていない事案だとかえって切迫性がないと思われてしまいます。

また、保全処分を申し立てられると、裁判所としては、通常の事件よりも早期に期日指定して、審理も半年程度を目処に進められます。

もし保全処分で夫側が監護権者として指定され、妻に子どもの引き渡しを命じられれば、子どもを取り戻すことができます。

そのため、子の監護権者指定の家事審判、子の引き渡しの家事審判を申し立てる場合には、必ず、審判前の保全処分も併せて申し立てるべきです。

保全処分を申し立てる場合には、保全の必要性(たとえば、妻がもともと子どもを虐待していて、妻のもとでの養育は子どもに著しい損害があるなど)を主張していくことになります。

2 手続きの流れ

(1) 可能な限り早期に申立てをするべき

時間が経てば経つほど、子どもも連れ去られた先での環境に慣れて、引き渡しはますます困難になります。

任意交渉や調停でのんびり話し合いをしている時間などないのです。

そうですから、一刻も早く、子の監護権者指定の家事審判、子の引き渡しの家事審判、審判前の保全処分の3点セット申立を行う必要があります。

申し立ての際には、

 家事審判申立書、審判前の保全処分申立書

 それぞれの手続の証拠説明書

 それぞれの手続の証拠(お子様の監護に関する陳述書など)

 戸籍謄本

が必要です。

家庭裁判所にこちら側の主張を効果的に伝えるために、証拠もできる限り準備し、申立書も入念に検討を重ねた上で、申し立てを行うべきです。

なお、家庭裁判所の管轄は、相手方(手続を申し立てられた側)の住所地を管轄する裁判所となるのが一般的です。

(2) 第1回審判期日まで

家庭裁判所に子の監護権者指定の家事審判、子の引き渡しの家事審判、審判前の保全処分の申立てを行うと、申立てをしてから2週間〜1ヶ月後くらいのタイミングに第1回審判期日が指定されます。

第1回審判期日までに相手方から答弁書や証拠などが提出されるケースが多いです。

(3) 第1回審判期日はご本人も出頭

家事審判や保全処分の期日は、原則として当事者ご本人様の出頭して頂くことが望ましいです。

というのも、代理人弁護士は当事者ご本人様と子どもとの関係や同居時の状況などを完璧に把握することはできないですし、出頭することにより裁判官にこちらの本気度を示すことができるからです。

(4) 第1回審判期日以降に家庭裁判所の調査官調査

第1回審判期日以降(場合によっては第2回期日や第3回期日以降)に、家庭裁判所調査官が、

  • 子どもの監護状況
  • 子どもの意向

などを調査するために、調査官調査を実施するケースが多いです。

家庭裁判所の調査官調査について詳しくはこちらの記事をご覧ください。

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(5) 当事者双方の主張や証拠、調査官調査の結果を踏まえて、家庭裁判所の判断(審判、保全処分)

家庭裁判所は、調査官調査が完了した段階で、当事者双方の主張や証拠、調査官調査の調査報告書を踏まえて、審判、保全処分を下します。

3 子どもの引き渡しが認められる見通しについて

(1) 一般的に非常にハードルが高い

ただし、現状の家庭裁判所の実務ですと、申立人側、特に夫側・男性からのこれらの申立が認められる可能性は非常に低いと言わざるを得ません。

それには理由がいろいろあるのですが、一番のポイントは、裁判所が、子どもの監護実績—すなわち、どちらの親がどれだけ養育をしてきたか—を重視していることにあります。

日本では男性の育休はあまり一般的ではなく、夫が外で働いてお金を稼いで、妻が子どもを育てるという家庭がいまだに大多数だと思われます。

このような状況ですと、子どもを主に監護・養育したのは妻と判断されて、負けてしまうことが多いのです。

(2) 妻の不倫は基本的には考慮されない。

そして、妻が不倫したとしても、それは基本的には子どもの引き渡しの場面では考慮されません

なぜなら、子どもの引き渡しでは、子どもにとって父親・母親どちらの環境が良いのかという観点で判断するのであって、不倫については基本的に無関係であるからです。不倫については、別途慰謝料などの話し合いで解決するべき問題だと考えられているのです。

妻が不倫をしていて、子どもを放ったらかしにしたり、ひどい場合には虐待しているなどという事情があるなど、主張を工夫する必要があります。

4 家事審判・保全処分を申し立てる他のメリット

それでも、私の経験からは、非常に厳しい戦いでも、仮処分申立をする意味は十分あると思います。

(1) あなたが声を上げないと、裁判所はわかってくれない。

というのも、あなたが、子どものことを本当に思い、妻に預けられないと信じているのであれば、その事情についてしっかりと裁判所に伝えるべきです。

子どもをどのような環境で育てるべきなのかというのは、子どもの人生を左右しかねない極めて重大な問題です。

無意味に妥協したり、不必要に遠慮する必要などありません

子どものために、あなたも自分の意見を声高に主張すれば良いのです。

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(2) 調査官調査で子どもの養育状況を客観的に把握できる。

家事審判・保全処分を申し立てると、家庭裁判所の調査官が、妻側に家庭訪問をしたり、子どもとのふれあいを通じて、子どもの養育状況を調査してくれます

そうですから、少なくとも子どもの養育環境がどのようなものであるのか知ることができます。

子どもを連れ去り別居した後、一切の連絡を遮断する方も少なくありません。

その場合、家庭裁判所の調査官調査は、家庭裁判所が

  • 家庭訪問
  • 子の意見聴取
  • 保育園、幼稚園、小学校の教諭などからの意見聴取

などを実施して、中立公正な立場から子どもの監護状況や子どもの意向などを調査するものです。

もし妻側が一切の連絡を遮断するとしても、調査官が現在の子どもの養育状況を客観的に調査して報告をしてくれるので、子どもの現在の状況をうかがい知ることができます。

(3) 面会交流などのきっかけになることも

さらに、仮に負けたとしても、仮処分の申立をすることが、あなたが、かけひきや嫌がらせではなく、子どものことを愛して、真摯に考えている父親であることを裁判所にアピールすることにつながります。

今後、離婚の裁判や、面会交流の話し合いをする場合でも、仮処分申立をしたことが活きてくるのです。

5 まとめ

  • 速やかに、弁護士に相談して、家庭裁判所に子の監護権者指定の家事審判、子の引き渡しの家事審判、審判前の保全処分の3点セットを申し立てる
  • 申立てをしてから家庭裁判所が判断を下すまでに、短くて数ヶ月、通常、半年程度の期間がかかる。
  • 現状の家庭裁判所の実務ですと、申立人側、特に夫側・男性からのこれらの申立が認められる可能性は非常に低い
  • 妻が不倫したとしても、それは慰謝料などで解決するべきもので、基本的には子どもの引き渡しの場面では考慮されない
  • 非常に厳しい戦いでも、調査官調査や面会交流実施などの意味で、保全処分申立をする意味は十分ある

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