本当は自分の子供ではない!認知を無効にする手続の解説【7年以内の期間制限に注意!】

弁護士

プロキオン法律事務所(https://rikon-procyon.com/)(横浜で離婚に特化した法律事務所として2015年に設立。翌年東京にも事務所開設。)の代表弁護士の青木です。離婚や男女問題に特化した弁護士として、年間200回以上の離婚調停や裁判に出席しています。
(弁護士 青木亮祐 /プロキオン法律事務所 代表弁護士)

今回は、配偶者や交際相手の子供を認知した男性が、本当は自分の子でない場合に、認知の無効を求める方法について解説します。

1 認知無効確認の手続

本当は自分の子でないことをわかりつつ、男性が、交際相手や配偶者の子供を「認知」するというケースは意外に多くあります。

(認知)

民法第七百七十九条 嫡出でない子は、その父又は母がこれを認知することができる。

婚姻をしている妻が妊娠した場合は、生まれた子は夫の子と推定されます(嫡出子。民法772条)。したがって、その場合は認知は不要です。認知は、そうした嫡出子でない場合に行われるものになります。

つまり、すでに婚姻前に子供が産まれているケースや、婚姻をしていない女性との間で子供が産まれた場合に、夫や交際(内縁)相手は、認知をすることになります。ところが、実際には、自分の子供でない場合であっても、①自分の子供だと信じて認知する場合や、あるいは、②自分の子供ではないことを分かりつつ、円滑な生活を送ることを優先して、認知する場合などが多くあります。

このような場合、妻と離婚する場合や、内縁を解消する場合に、子供との関係も解消するべく、認知の無効を求める手続きが必要です。子供との父子関係が継続すると、養育費の支払い責任や、相続の問題が生じてしまうからです。

そこで、民法786条は、認知の無効の訴えという制度を用意しています。

(認知の無効の訴え)

民法第七百八十六条 次の各号に掲げる者は、それぞれ当該各号に定める時(第七百八十三条第一項の規定による認知がされた場合にあっては、子の出生の時)から七年以内に限り、認知について反対の事実があることを理由として、認知の無効の訴えを提起することができる。ただし、第三号に掲げる者について、その認知の無効の主張が子の利益を害することが明らかなときは、この限りでない。
一 子又はその法定代理人 子又はその法定代理人が認知を知った時
二 認知をした者 認知の時
三 子の母 子の母が認知を知った時

認知の無効の訴えを提起することで、認知をした男性は、認知が無効であることを判決で確定させ、父子関係が存在しなかったことを確定させられます。

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2 調停前置主義

認知の無効の訴えを提起する場合、いきなり裁判所に訴訟を提起することはできません。一度、家庭裁判所での話し合いの手続き(調停)を行う必要があります。このことを、調停前置主義といいます。

(調停前置主義)

家事事件手続法第二百五十七条 第二百四十四条の規定により調停を行うことができる事件について訴えを提起しようとする者は、まず家庭裁判所に家事調停の申立てをしなければならない。

そのため、認知の無効手続を進める場合は、まずは家庭裁判所に認知無効調停の申し立てを行いましょう。

なお、認知無効調停を管轄する裁判所は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所になりますので(人事訴訟法12条1項)、子供の現住所を管轄する家庭裁判所です。

(管轄等)

家事事件手続法第二百四十五条 家事調停事件は、相手方の住所地を管轄する家庭裁判所又は当事者が合意で定める家庭裁判所の管轄に属する。

3 7年以内の出訴期間

ところで、認知無効の訴えを提起できるのは、認知をしてから7年以内です。そこは要注意です。子供の身分を安定させるための規定です。

(認知の無効の訴え)

民法第七百八十六条 次の各号に掲げる者は、それぞれ当該各号に定める時(第七百八十三条第一項の規定による認知がされた場合にあっては、子の出生の時)から七年以内に限り、認知について反対の事実があることを理由として、認知の無効の訴えを提起することができる。

認知後7年を経過すると認知無効の訴えは提起できませんので、十分に注意してください(結果として、養育費の負担や相続の問題が生じることになります。)

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4 調停が不成立の場合は直ちに訴訟提起しないと・・・

この7年以内の出訴期間に関してですが、調停の申し立てを7年以内に行っていれば大丈夫です。調停自体は認知してから7年以内に申し立てたが、調停期間中に7年が経過してしまった場合にこの点が重要になります。

調停が不成立になって、訴え提起をしなければならない場合、不成立から2週間以内に訴え提起していれば、調停申立時点で訴えを提起したものとみなされます。

(調停の不成立の場合の事件の終了)

家事事件手続法第二百七十二条 調停委員会は、当事者間に合意(第二百七十七条第一項第一号の合意を含む。)が成立する見込みがない場合又は成立した合意が相当でないと認める場合には、調停が成立しないものとして、家事調停事件を終了させることができる。ただし、家庭裁判所が第二百八十四条第一項の規定による調停に代わる審判をしたときは、この限りでない。
2 前項の規定により家事調停事件が終了したときは、家庭裁判所は、当事者に対し、その旨を通知しなければならない。
3 当事者が前項の規定による通知を受けた日から二週間以内に家事調停の申立てがあった事件について訴えを提起したときは、家事調停の申立ての時に、その訴えの提起があったものとみなす。

なお、不成立から2週間以内に訴えを提起する必要についても注意が必要です。

条文中、「通知を受けた日から二週間以内」と書かれている「通知」というのは、不成立になったことの通知ですが、何か書面が裁判所から届くわけではありません。調停が終了する際に、裁判官が調停室で、調停不成立を宣言します。それが上記の「通知」に含まれます。したがって、実際には調停が不成立になった日から2週間以内に訴え提起が必要ということになりますので、その点も注意しましょう

5 自分の子供ではないことが分かりつつ認知したのに、認知の無効主張は認められる?

ところで、自分の子供ではないことがわかっていながら認知をした場合に、後から認知の無効を主張することは許されるのでしょうか?

その点については、実は最高裁の判断があります。
最高裁平成26年1月14日判決は、以下のように述べ、自ら認知をした場合であっても、認知の無効を主張できることを認めました。

(最高裁判所平成26年1月14日判決)

血縁上の父子関係がないにもかかわらずされた認知は無効というべきであるところ,認知者が認知をするに至る事情は様々であり,自らの意思で認知したことを重視して認知者自身による無効の主張を一切許さないと解することは相当でない。また,血縁上の父子関係がないにもかかわらずされた認知については,利害関係人による無効の主張が認められる以上(民法786条),認知を受けた子の保護の観点からみても,あえて認知者自身による無効の主張を一律に制限すべき理由に乏しく,具体的な事案に応じてその必要がある場合には,権利濫用の法理などによりこの主張を制限することも可能である。そして,認知者が,当該認知の効力について強い利害関係を有することは明らかであるし,認知者による血縁上の父子関係がないことを理由とする認知の無効の主張が民法785条によって制限されると解することもできない。

この判決については、下記の記事でも説明をしていますので、ご興味があればご覧ください。

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弁護士 青木
弁護士のホンネ

今回は、認知無効の手続きについて解説をしました。
シングルマザーの方と交際をして婚姻する場合などに、認知をするケースがあります。子供には実父と思ってもらいたいなどの意向からこのような対応がありますが、事実と異なることではありますので、本来は避けた方が無難と言えるでしょう。とはいえ、女性側の強い要望があればそれに応えざるを得ない男性も多いでしょうから、養子縁組をするのではなく、認知をするという対応をとるケースは今後もあり続けるでしょう。

今回の記事が、そうした方々が関係を精算する場面になった際、認知無効の手続きをどのように取れば良いのかの指針になりましたら幸いです。

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