風俗勤務の妻から婚姻費用を請求された場合の対処法

弁護士

プロキオン法律事務所(https://rikon-procyon.com/)(横浜で離婚に特化した法律事務所として東京と横浜に事務所を構えています。)の代表弁護士の青木です。離婚や男女問題に特化した弁護士として、年間200回以上の離婚調停や裁判に出席しています。
夫側、妻側、それぞれに立場に応じて弁護活動を行っています。
(弁護士 青木亮祐 /プロキオン法律事務所 代表弁護士)

今回は、あなたの知らぬまに妻が性風俗店で勤務していた場合に、妻から婚姻費用請求をされた場合の対処法をお伝えします。

このような例は、実際に多くありますので、該当する方はぜひ最後までお読みください。

※最近は女性用風俗も存在しますので、夫の性風俗店勤務が疑わしい場合は、以下、夫と妻を逆転させてお読みください。

1 風俗勤務の資料を取得しましょう!

妻の風俗店勤務が発覚した場合、あなたの離婚問題を有利に進めるためには、妻の風俗店勤務の証拠を取得することが不可欠です。

ただ、風俗店勤務は、周りに大っぴらにできないことが多く、こっそり行われるのが通常です。給与明細や源泉徴収票なども発行されないことも多いです。そのため、その証拠収集は決して容易ではありません。

風俗店勤務の典型的な証拠としては、以下のようなものが挙げられます。

①妻のスケジュール帳

妻のスケジュール帳をのぞいてみたら、びっしりと勤務予定が記載されており、ホテル名や顧客の名前も記載されていた、というケースがあります。
こうした資料は、それだけでは決定打にはなり難いですが、これをもとに妻に問いただしたところ、妻が風俗店での勤務を認めた、という流れになることが多いです。

②妻との会話の録音

妻の風俗店勤務の疑いが生じて、妻に問いただしたところ、妻が認めた。このような流れに至ることが多いわけですが、妻が事実を認めた場合は、その様子を録音などで記録化しておかないと、後で争われてしまう可能性があります。
問いただす際に、録音を始めて証拠にする方が多いようです。

③風俗店のホームページに載っている妻の写真

妻が風俗店勤務を白状した際に、併せて勤務先の風俗店名を聞いておけば、その風俗店のホームページから、勤務の証拠を取得できる場合があります。載っている写真は加工されているのが通常ですが、夫であればわかる妻の特徴が写っていれば、それも証拠になり得ます。

④探偵による調査報告書

全く証拠が取れないケースでは、探偵による調査が王道になります。数日間、妻の行動を尾行してもらい、具体的な勤務状況を調査してもらうことになります。ラブホテルへの派遣などが記録化できれば、これ以上の証拠はありません。

当サイト運営・プロキオン法律事務所では、相談室(渋谷駅徒歩5分・横浜駅徒歩6分)またはオンラインにて、無料相談を実施しています。

ご相談の予約はこちら

2 風俗店勤務により、妻は有責配偶者になります。

風俗店への勤務は、夫との婚姻関係を破綻させる不法行為とみなされるのが通常です。証拠により、妻が有責配偶者とみなされると、妻からの婚姻費用請求を制限できたり、離婚時に妻に対して慰謝料請求をすることも可能になります。また、あなたが望めば、当面の間、妻からの離婚請求を拒否できます。

風俗店勤務が配偶者に対する不法行為に該当することを明示した裁判例を挙げておきましょう。

(平成28年3月28日東京地裁判決(平26(ワ)11367号 ・ 平26(ワ)29469号)(ウエストロー・ジャパン搭載))
2 争点(1)(風俗店勤務による不法行為の成否)について
(1) 夫婦間の婚姻共同生活の平和の維持という利益は,私法上の権利又は法的保護に値する利益であるから,これを正当な理由なく侵害する行為は不法行為を構成するのであり,このことは夫婦の一方が第三者と肉体関係を持った場合(いわゆる不貞行為)に限られるものではない。
そして,前記認定事実のとおり,被告は,原告に秘して,不特定多数の男性に性的サービスを提供する本件風俗店に勤務しており,かかる行為が婚姻共同生活の平和を害するものであることは明らかであるから,その時点で原告と被告の婚姻関係が破綻していたという事情のない限り,不法行為を構成すると解するのが相当である。
(2) この点,被告は,本件風俗店では顧客との性交が禁止されており,被告自身も性交はしていないとして,いわゆる不貞行為には当たらないと主張するが,社会一般の常識に照らせば,夫婦の一方が他方に秘して,不特定多数の第三者に性的サービスを提供する業務に就くこと自体,相互の信頼関係を根底から破壊する行為といえ,上記の権利又は法的保護に値する利益を侵害するのであるから,それがいわゆる不貞行為に該当するかという議論には意味がなく,被告の上記主張は失当といわざるを得ない。

3 婚姻費用を減額する計算

有責配偶者になった妻からの婚姻費用請求(別居中の生活費請求)は、大きく制限されます。子供のいない夫妻であれば、妻からの婚姻費用請求は認められません。子供が妻の元で生活している場合は、子供の生活費分のみが認められる形になります。

裁判例をいくつか挙げておきます。

(大阪高裁平成28年3月17日決定 判タ1433号126頁)

夫婦は,互いに生活保持義務としての婚姻費用分担義務を負う。この義務は,夫婦が別居しあるいは婚姻関係が破綻している場合にも影響を受けるものではないが,別居ないし破綻について専ら又は主として責任がある配偶者の婚姻費用分担請求は,信義則あるいは権利濫用の見地からして,子の生活費に関わる部分(養育費)に限って認められると解するのが相当である。

(東京家裁平成20年7月31日決定 家月61巻2号257頁)

別居の原因は主として申立人である妻の不貞行為にあるというべきところ,申立人は別居を強行し別居生活が継続しているのであって,このような場合にあっては,申立人は,自身の生活費に当たる分の婚姻費用分担請求は権利の濫用として許されず,ただ同居の未成年の子の実質的監護費用を婚姻費用の分担として請求しうるにとどまるものと解するのが相当である。

【具体的な計算方法】

最近の東京家裁などでは、以下のように計算されることが多いです。

つまり、本来予定される婚姻費用額から、妻の生活費指数100が占める割合を差し引くことで計算します。どういうことかと言うと、夫や妻のそれぞれの生活費を100100とすると、子供は、15歳以上であれば85、15歳未満であれば62とされます。そのため、本来の婚姻費用額から、妻の上記100を控除するのです。

そのため、たとえば、有責配偶者である妻が、小学生の子供と一緒に別居をしている場合は、婚姻費用額は以下の形で計算されます。

修正された婚姻費用額=本来の婚姻費用額―(本来の婚姻費用額×100/(100+62))

※これにより、妻の生活費指数100を除去

この計算方法であれば、夫が支払う婚姻費用額は、仮に離婚した場合の養育費よりも少ない金額になるのが通常です。有責配偶者である妻からの請求であることを前提に、その計算方法が問題になる場合は、上記計算方法を主張する形が良いでしょう。

今回の弁護士からのアドバイス

妻の風俗店勤務が発覚した場合、、、、
☑️証拠の取得が決定的に重要になります!
☑️風俗店勤務により、妻は有責配偶者になります!
☑️証拠があれば、妻からの婚姻費用請求を制限したり、離婚を回避できたり、慰謝料をもらえるなど、離婚問題を有利に進められます!
☑️子供がいる場合で、婚姻費用の金額を決める際は、単純な養育費で計算するよりも、妻の生活費指数を除去する計算による方が、金額を抑えられることが多いです。

弁護士のホンネ

弁護士 青木
弁護士のホンネ

意外と思われるかもしれませんが、実は、妻の風俗店勤務が発覚して別居に至るというケースは、離婚事件を扱っていると、かなりの頻度で見受けられます。風俗店勤務はこっそり行われるのが通常ですので、実際は私の感覚よりも多いのだろうと思います。

一方で、風俗店勤務を行う側にも事情があるのも事実です。よく見るのは、高級ブランドの買い物や、投資などで、夫に言えない借金を作った場合です。ただ、そうした事情で風俗店勤務が正当化されることはありません。もっとも、夫側にも、不貞・浮気などの有責事由がある場合は、妻のみが有責配偶者ということにはなりません。通常の場合と同様の婚姻費用が認められることになりますので、その点は注意しましょう。

当サイト運営・プロキオン法律事務所では、相談室(渋谷駅徒歩5分・横浜駅徒歩6分)またはオンラインにて、無料相談を実施しています。

ご相談の予約はこちら

弁護士の無料相談実施中!


プロキオン法律事務所は、横浜駅徒歩6分渋谷駅徒歩7分の好アクセス。離婚・男女トラブルに関するご相談を60分無料で承ります。お気軽にお問い合わせください。

0120-533-284

チャットで相談予約

>弁護士法人プロキオン法律事務所

弁護士法人プロキオン法律事務所

弁護士法人プロキオン法律事務所(横浜・東京)は、離婚・男女問題に特化した専門事務所です。初回相談は60分無料で、平日夜間・土日も対応可で、最短で即日相談も可能です。あなたの、離婚に関するお悩みはプロキオン法律事務所(横浜・東京)にお任せください!