保育園や託児所の費用は養育費や婚姻費用に加算できる?離婚専門弁護士が解説!

はじめに

離婚を考えている方々にとって、子どもの生活費や教育費は大きな関心事でしょう。特に、子どもが小さい場合、保育園や託児所の費用が婚姻費用や養育費に含まれるのかどうかは、実生活に直結する重要な問題です。

本記事では、これらの費用がどのように扱われるのか、弁護士の視点から詳しく解説いたします。

私立学校の学費の婚姻費用や養育費への加算について

保育園や託児所の費用について考える前に、まず私立学校の学費について、婚姻費用や養育費に加算することができるか考えます。

そもそも、婚姻費用や養育費には、公立学校の教育費が標準的な教育費としてあらかじめ含まれています。この標準的な教育費の金額は夫婦の収入によりますが、平均世帯収入の場合、子が0歳から14歳までは年額13万1379円となっています

そして、私立学校の学費はこの額を超えるため、超過分については別途加算を求めることができます。

ただし、加算が認められるのは、同居中から通っていいた場合か別居後に相手の同意があった場合に限られるため注意が必要です。

また、習い事費用・塾代などについても、教育費として考えられるため、同居中から通っていいた場合か別居後に相手の同意があった場合は、私立学校の学費と同様の考え方で加算が認められます。

具体的な加算額の計算方法については後述します。

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保育園や託児所の費用も加算対象となるか

それでは、保育園や託児所の費用も、私立学費や習い事費用・塾代などと同様に婚姻費用や養育費に加算することができるのでしょうか。

この点について、公開されている判例などは乏しいため、まず、保育園や託児所の費用を教育費と考えるか生活費と考えるかを検討していく必要があります。

たしかに、共働きで子どもを預ける必要がある場合、これらの費用は生活費の一部として考慮されるべきとも考えられます。

ただ、婚姻費用や養育費の考え方として、算定表の中で、生活費は全て考慮されているとみなされるため、教育費として考えた方が加算は認められやすいと考えられます。

そして、幼稚園の費用が当然教育費と考えられることや、権利者が子どもを保育園や託児所に預けて働き収入が増えたことで、義務者の婚姻費用や養育費の負担額が減少しているという関係にある以上、これを全く考慮しないこと公平に反すると考えられることなどから(松本哲泓『婚姻費用・養育費の算定実務』、54頁。)、保育園や託児所の費用の加算は認められるべきでしょう。

この場合、学費加算と同様に、あらかじめ含まれている標準的な教育費を超過する分を加算することになります。

加算の計算方法について

次に保育園や託児所の費用を加算する際の計算方法についてご説明します。

計算方法については、1年間で発生した保育園・託児所の費用から、あらかじめ含まれている教育費(世帯収入により金額は変わりますが、平均世帯収入の場合年額13万1379円)を差し引き、その超過分について、収入按分で負担する方法半額で負担する方法の2つがあります。

2つの計算方法について、婚姻費用・養育費ともに、これまで、収入按分とする方法が一般的でしたが、近年は婚姻費用については、生活費の配分を均等とするため、半額負担とする決定が多く出てきています。

そのため、自らに有利な計算方法で主張するべきといえるでしょう。

詳しくは、「【実務に変化】学費負担は収入按分か?それとも半額負担か?婚姻費用の最前線を解説!」をご覧下さい。

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保育園や託児所の費用の無償化は婚姻費用・養育費の減額事由にならない

また、近年、保育園や託児所の費用の無償化が進んでいますが、判例によるとこれを理由に婚姻費用や養育費は減額されないとされています。

具体的に、東京高等裁判所令和元年11月12日決定は、「幼児教育の無償化は,子の監護者の経済的負担を軽減すること等により子の健全成長の実現を目的とするものであり(子ども・子育て支援法1条参照),このような公的支援は,私的な扶助を補助する性質を有するにすぎない。」と判示しています。論理的ではないですが、高裁がこのように判断していますので、実務はこれに従っています。

 (東京高等裁判所令和元年11月12日決定 判タ1479号59頁)

抗告人は,原審判が婚姻費用に加算した月額1万6000円の長女の教育費について,令和元年10月から幼児教育・保育の無償化が開始し,幼稚園についても月額2万5700円までは無償化されるから,教育費の加算に当たっては,同額を控除すべきである旨主張するが,幼児教育の無償化は,子の監護者の経済的負担を軽減すること等により子の健全成長の実現を目的とするものであり(子ども・子育て支援法1条参照),このような公的支援は,私的な扶助を補助する性質を有するにすぎないから,上記制度の開始を理由として令和元年10月からの婚姻費用分担額を減額すべきであるとする抗告人の主張は採用できない。

したがって、相手方から無償化を理由に減額を主張されてもこれに応じる必要はないと言えるでしょう。

詳しくは、「幼児教育の無償化を理由として婚姻費用の減額はできない!東京高裁令和元年11月12日決定」をご覧下さい。

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まとめ

・私立学費や習い事費用は、あらかじめ婚姻費用・養育費に含まれる標準的な教育費を超える部分について婚姻費用・養育費に加算可能(同居中利用か相手の同意が必要)。

・保育園・託児所の費用も、同様に教育費と位置付ければ加算が認められるべき。

・加算方法は、あらかじめ婚姻費用・養育費に含まれる標準的な教育費を超える部分を収入按分または半額負担とする。

・無償化されても、公的支援に過ぎず、婚姻費用・養育費の減額事由にはならない(東京高裁令和元年11月12日決定)。

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 託児所や保育園の費用は、働く親にとって必要不可欠な支出です。
そのため、働いたことによりかえって生活費が圧迫されることのないよう、託児所や保育園の費用の加算を積極的に主張していくことが大切です。
また、保育園の費用などについては、近年、無償化などの制度も充実してきていますが、どのように相手方と交渉すれば婚姻費用や養育費を最大化できるか、ご不安な場合は、ぜひ専門家に相談してみてください。
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