プロキオン法律事務所(https://rikon-procyon.com/)(横浜で離婚に特化した法律事務所として東京と横浜に事務所を構えています。)の代表弁護士の青木です。離婚や男女問題に特化した弁護士として、年間200回以上の離婚調停や裁判に出席しています。
夫側、妻側、それぞれに立場に応じて弁護活動を行っています。
(弁護士 青木亮祐 /プロキオン法律事務所 代表弁護士)
今回は、離婚をして子供の親権を元配偶者に渡したあと、元配偶者が再婚をした場合に、養育費の減額または免除の申立てをすべきことについて、解説します。
離婚をしたあと、養育費を支払う合意をすることは多いですが、その後の人生は各々が決めます。そのため、元配偶者が子連れで再婚をするケースも多いです。そうした場合、養育費はどうなるのでしょうか。
ここでは、再婚して、子供と再婚相手が養子縁組をした場合と、養子縁組まではしなかった場合に分けて解説します。
1 再婚して養子縁組をした場合
元配偶者が再婚をして、再婚相手と子供が養子縁組をした場合、子供の扶養義務者は、実親から養親に移ります。
東京高裁令和5年6月13日決定でも、そのことは明言されています。養親があまりにも無資力であり、到底扶養義務を履行できないような場合は、実親も引き続き扶養義務を負いますが、そのようなケースは極めて稀です。
(東京高裁令和5年6月13日決定)
一般に,未成年者との養子縁組には,子の養育を全面的に引き受ける意思が含まれると解される上,未成年者養子制度の目的からいっても,未成年者に対する扶養義務は,第一次的には養親が負い,非親権者である実親は,養親が無資力その他の理由で十分に扶養義務を履行できないときに限り,次順位で扶養義務を負うものと解される。
したがって、子供が、元配偶者の再婚相手と養子縁組をした場合は、実親は養育費を負担する義務がなくなります。そのため、養育費免除の調停の申立てを行うようにしましょう。元配偶者の住所地を管轄する家庭裁判所で行うことになります。
なお、養育費を負担する義務がないことを知りながら支払いを続けていた場合は、後からその分を返還してもらえない可能性が高いです。養育費の負担を避けたい場合は、支払いを止めた上で、養育費免除の調停の申立てをしましょう。また、以前の養育費の取り決めが、公正証書や調停、審判、裁判でされている場合は、強制執行力の停止を求め、審判前の保全処分の申立てをすることもお勧めします。
審判前の保全処分に関しては、以下の記事もご参照ください。
プロキオン法律事務所(https://rikon-procyon.com/)(横浜で離婚に特化した法律事務所として東京と横浜に事務所を構えています。)の代表弁護士の青木です。離婚や男女問題に特化した弁護士として、年間200回以上[…]
当サイト運営・プロキオン法律事務所では、相談室(渋谷駅徒歩5分・横浜駅徒歩6分)またはオンラインにて、無料相談を実施しています。
2 再婚したが、養子縁組はしていない場合
一方、元配偶者が再婚をしたが、子供と再婚相手が養子縁組をするには至らなかったケースではどうでしょうか。
この場合、養子縁組が行われていない以上、扶養義務は引き続き実親にあります。しかし、再婚相手が子供を事実上扶養している状況にある場合は(それが通常です。)、養育費の減額が認められる可能性が高いです。
というのは、元配偶者は、再婚相手のサポートを受けなら子供の監護をしているため、元配偶者はそれ相応の経済的な利益を享受していると考えられるためです。宇都宮家裁令和4年5月13日決定は、そうした状況に鑑み、子供が再婚相手から受けている生活費を想定し、その生活費分を元配偶者の収入に加算して、養育費を計算し直すという解決を図っています。
(宇都宮家裁令和4年5月13日決定 判タ1516号252頁)
相手方夫(注:元妻の再婚相手)は、絶対的にも、申立人(注:元夫)に比して相対的にも相当に高額な収入を得ていると考えられ、このような相手方夫が長女を事実上扶養して事実上養子縁組している状態であること、長女への生活費等の給付が十分にされていると考えられることに鑑み、相手方夫の上記総収入から208万円程度(相手方夫が扶養義務を負うとした場合の子の生活費を参考にした金額。1567万円×48%×62÷(100+62+62)≒208万円(1万円以下四捨五入。))を相手方(注:元妻)の総収入に加算するのが相当である。
そのため、元配偶者が再婚をし、子供が再婚相手の扶養を事実上受けている場合は、養育費減額の調停を申し立てることを検討しましょう。
養育費減額調停の申立て先も、元配偶者の住居地を管轄する家庭裁判所になります。
また、以前の養育費の取り決めが、公正証書や調停、審判、裁判でされている場合は、強制執行力の停止を求め、審判前の保全処分の申立てをすることもお勧めします。
今回の弁護士からのアドバイス
元配偶者が再婚をした場合は、、、、
☑️子供が養子縁組をしているのであれば、養育費免除の調停を申し立てましょう!
☑️子供が養子縁組をしていない場合は、養育費減額の調停を申し立てましょう!
☑️いずれの申立てをする場合も、強制執行力の停止を求めて、審判前の保全処分の申立てをすることをお勧めします!
弁護士のホンネ
今回は、元配偶者が再婚をした場合に、養育費の減額・免除の申立てを行うべきことについて解説しました。
とはいえ、元配偶者が再婚をしたかどうか、その情報が掴みづらいケースも多いと思います。そのため、実親の立場を使って、定期的に子供の戸籍を確認すると良いでしょう。
今回の記事が、皆様のお役に立てましたら幸いです。
当事務所は離婚や離婚後のトラブルに関して、無料相談を実施しています。
どうぞお気軽にお問い合わせください。
当サイト運営・プロキオン法律事務所では、相談室(渋谷駅徒歩5分・横浜駅徒歩6分)またはオンラインにて、無料相談を実施しています。