婚姻費用は調停ではなく審判で決めよう!

調停はダメ!?婚姻費用は「審判で」決めるべきか?

1 婚姻費用分担の調停と審判

このページをご覧になられた方は、おそらく何らかの形でこの手続きに関わっていらっしゃるのだと思います。
さて、婚姻費用というのは、要するに別居期間中、離婚に至るまでの間に支払う(あるいはもらう)生活費のことですが、多くは別居中の妻から申し立てられる「婚姻費用分担調停」という、裁判所での話し合いの手続きで金額が決められます。
この手続きは、あくまでも話し合いの手続きですから、双方折り合いがつかなければ、審判手続きという、裁判官が婚姻費用額を決める手続きに移行することになります(どうせ移行するのであれば、最初から裁判所が婚姻費用額を決めてくれればいいのに、と常々思っておるのですが。)。

今回、私たちが強調したいのは、この婚姻費用分担調停では、特に弁護士を入れていないのであれば、話し合い(調停)で決めることは避け、審判で裁判所に決めてもらった方が良いことが多いということです。

その理由を私たちの経験をもとにご説明しましょう。

2 調停ではなく審判で決めるべき理由とは?

(1)調停委員の知識不足

調停では、調停委員(話し合いの間に入って、当事者が直接顔を見ないで済むように話を進めてくれる人達、といえば分かりやすいでしょう。)が、養育費・婚姻費用算定表というものを使って、夫と妻、それぞれの収入をベースに婚姻費用額を打診します(詳しくは、「基本の基本!算定表を使った養育費の計算を弁護士が解説!」をご覧ください)。

しかし、調停委員の打診した金額ですんなりと決まることは多くありません。少し事情が重なると、考えなければならない論点が色々と出てきます。(住宅ローン、不動産収入の減価償却費、私立学校費用、塾の費用などの取り扱い、収入の激変などの問題

そして、こうした婚姻費用にまつわる論点はかなり専門的なものであったりします。調停委員もそれなりに勉強をしており、裁判所で配られる冊子に基づきながら対応をしてくれますが、法律の専門家ではありませんので、限界があります。調停委員用の婚姻費用に関する冊子は私もちらっと見たことがありますが、本当に薄く、十分な情報量と言えるのか、少々疑問です。

特に弁護士が付いていない調停では、調停委員も堂々と誤った知識を提示して、「これで応じないと、審判に移行することになる」、「審判でも結局この内容で判断されるだろう」、などと述べ、審判ではなく、調停で合意に応じるよう圧力をかけることが相当に多くあるようです。(調停委員の仕事は合意をさせることですからね・・・)

調停委員の誤った知識によって損をするのは、当然にあなたです。これを避けるには、婚姻費用額は裁判所の審判で判断してもらうのが一番無難です。

実際にあった話です。妻から婚姻費用を請求された男性は、給料の他に不動産収入がありました。以前住居用に購入した不動産を、今は他の人に貸しています。そして住宅ローンは継続して支払っています。この場合、本来はローンの支払いという事実があるため、減価償却費については経費として不動産収入から控除できるはずです。しかしながら、調停委員がその場合の対応方法を知らなかったがために、その男性は、不動産収入をそのまま額面通り給与額に上乗せされて婚姻費用を算定されることになってしまいました。月額でいうと5万円程度の損失に繋がりました。

本当に悔しい話だと思います。審判で判断をしてもらった場合は、こうはならなかったでしょう。

(2)調停委員がこちらに有利な主張を教えてくれることはない!

婚姻費用に関して、本来であれば当然に主張すべき点があっても、調停委員は、こちらが主張しない限りそれを教えてくれることはないと言って良いでしょう。調停委員の言い分としては、自分たちが「中立の立場」であることを理由とすると思いますが、「公平中立の立場」であるべきですから、特に弁護士が付いていない場合は、教えるべきだと思います。

実際にあった話です。妻から婚姻費用を請求された男性が、実は他の女性との間に子供ができていて、認知をしていました。その場合、本来は、その子供に対して扶養義務がありますから、妻に払うべき婚姻費用を減らせます。しかしながら、調停委員はそのことに気付きながらも、男性がそれを正面から主張しなかったばかりに、算定表で決められた金額がそのまま認められてしまいました。

酷な話だと思います。当然、審判であれば考慮される点です。

調停委員の仕事は、話をまとめること、合意に至らせることです。ですので、あなたが気づいていないことをそのままにして、合意に至らせることがあります。この点は本当に注意してほしいと思います。

(3)一度合意したら減額できないのが大原則!

一度調停で合意した婚姻費用額は、それを「受け入れた」とみなされます。いかに後から不相当だったと気づいても、後から減額はできないのが大原則です。

調停委員さんの誤った知識に誘導されて婚姻費用額に合意をしても、後から減額することはできません。

そして、本当は主張すれば認められるはずだった点を、調停委員が教えてくれなかったとしても、後から減額することはできません。

調停で婚姻費用額を合意をすることの責任は、当事者が負担してます。調停委員に後から責任を追及することはできません。この点は強調しておきたいと思います。

(4)「たった1万円」の違いは、「数百万の損」

合意をして決められた婚姻費用額が、もし裁判所が審判で決めてくれたであろう金額より月額1万円違うだけでも、年間12万円の損失です。一般に離婚に必要な別居期間と言われる「5年間」の場合、総額60万円の損失です。また、養育費の場合は、10年、20年と続くものですから、たった1万円の違いが、数百万の損失に繋がります。

以上の状況にありますから、婚姻費用を調停で合意しようとする際は、十分な注意をしていただければと思います。審判に移行させることも選択肢に入れましょう。

弁護士のホンネ

少しの選択ミスが数百万の損失につながるという点で、婚姻費用や養育費の金額に付いては、慎重になるに越したことはないと思います。合意するのが心配であれば、調停を不成立にさせて審判で裁判官に判断してもらうのも有力な方法です。
一度決まってしまうと、後から減額の申し立てを行っても、裁判所はよほどのことがない限り、減額を認容してくれません。
離婚調停が申し立てられた場合、婚姻費用調停が追加で申し立てられていることが多くあります。そうした場合は、ぜひ弁護士に相談してほしいと思います。
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