年金受給者の婚姻費用

別居した年金暮らしの夫。婚姻費用はどう計算する?

今回は主に女性(妻)向けの記事になります。もちろん、男性(夫)の立場の方もぜひご覧ください。 

夫と別居した後、離婚するまでもらえる生活費の計算は調停でどのように行うかご存知でしょうか?

裁判所のいわゆる「養育費・婚姻費用算定表」に基づいて決まるんじゃないの?と思った方、正解です。

でも「算定表」には「給与」の目盛りか、「自営」の目盛りしかありませんよね。夫が年金暮らしの場合、どうやって算定表を見たらよいのでしょうか?

1. 算定表の考え方

「養育費・婚姻費用算定表」は、縦軸と横軸に夫側と妻側の収入を当てはめることで、夫からもらえる生活費(夫からすると、支払う必要のある生活費)の大まかな目安が簡単に測れる便利なツールです。

この表、実は税法や家計調査年報などの統計資料を使い、とても複雑な計算をした結果出された数値を使って作られた表です。

給与所得者の収入についてのこの表の考え方をざっくりと説明しますと、「税込の収入」から、「公租公課(税金や社会保険料)」、「職業費」、「特別経費」をマイナスしたものを収入と考えて、数値を出しています。

2. 職業費って何?

「職業費」は、サラリーマンとして働くために必要な出費のことです。具体的には交通費、交際費などが想定されています。

でも、年金暮らしの場合、会社に行くための定期代は必要ありませんよね。上司との飲み会もないので、交際費もサラリーマンより少ないはずです。
つまり、年金所得者の場合、職業費がかかっていないわけです。

3. 年金収入を給与収入に換算する方法

年金を受給して生活している場合は、職業費がかかっていない以上、そこは考慮して婚姻費用額を算出します。
しかし、一般に利用されている婚姻費用算定表では、年金生活の場合を前提とした表がありません。

そこで、年金収入を給与収入に換算する必要が出て来ます。その結果出た金額を総収入として、算定表に当てはめれば良いわけです。

計算式としては、

「給与収入」=年金額×(基礎収入割合+職業費割合)÷基礎収入割合

というものが一つ考えられています。

基礎収入割合というものは、要するに、全収入のうち、生活費に回せる割合をさします。その割合は、収入額に応じて変わるのですが、以下の通りです。

・年収100万円まで→42%、
・年収125万円まで→41%、
・年収150万円まで→40%、
・年収250万円まで→39%、
・年収500万円まで→38%、
・年収700万円まで→37%、
・年収850万円まで→36%、
・年収1350万円まで→35%、
・年収2000万円まで→34%、

職業費割合というのは、要するに、全収入のうち、職業費が占める割合ですね。こちらも年収に応じて割合が定められていますが、おおむね20パーセントと理解していただいて良いでしょう。

そうすると、例えば、年金生活(個人年金含む)で年間300万円受給している方を給与収入に換算すると、
300万円×(38+20)÷38
=458万円
となります。

プラス158万円ですから、この計算を一つ入れるかどうかで結果がガラリと変わることがお分りいただけるのではないでしょうか。

この通り、夫が年金受給の場合はこの計算を一つ入れる必要があります。なお、妻も年金受給者である場合も同様の計算をして算定表を適用することになるでしょう。

 

弁護士のホンネ  

年金収入の計算方法には固まった方法がなく、いろいろな計算方法があります。
大事なことは、複数のやり方で計算をし、ご自身にとって望ましい方法を調停委員さんにしっかりと説明をすることです。
具体的にどのような計算でいくらまでもらうことができるのかにつきましては、お客様のご事情によりますので、当事務所までお気軽に相談に来ていただければと思います。

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