
1.はじめに
離婚を考え始めると、多くの方が預貯金、不動産、車などの財産分与に注目します。
しかし、ポイントやマイルといったデジタル資産が多く溜まっている場合もあります。
クレジットカードで貯めたポイント、楽天やAmazon、TポイントなどのEC系ポイント、航空会社のマイル、さらにはQR決済アプリや電子マネーのチャージ残高など、これらは現金のように目に見えにくいため見落としがちですが、長年貯めると数十万円相当になることもあります。
離婚時にこうしたポイントが分けられるのかということや、使われてしまったらどうなるのかと不安を感じる方も多いでしょう。
この記事では、離婚専門弁護士の立場から、ポイントなどのデジタル資産が財産分与の対象となる条件や分け方、トラブル対処法などについて詳しく解説します。
2.ポイントが財産分与の対象となる条件は?
離婚時の財産分与で対象になるのは、原則として婚姻中に夫婦が協力して形成した「共有財産」です。
逆に、財産分与の対象にならない「特有財産」は、相続や親族からの贈与による財産に限られます。
そのため、婚姻期間中の買い物などでカードを使い、その支払いに応じて貯まったポイントについては、共有財産となり、財産分与の対象となると考えて良いでしょう。
これは家族カードで使用した場合には限られず、それぞれの個人名義のカードなどの使用であっても、その際に貯まったポイントは財産分与の対象となるでしょう。
ただし、ポイント分与には難しい面もあります
- 多くのポイントは利用規約で譲渡不可とされている
- ポイントの名義は通常個人に帰属している
- 現金のように価値を容易に算出できない
これらの事情により、単純に半分ずつ分けることが難しいケースが多いのが現状です。
3.分与方法はどうする?
ポイントは規約上、他人に譲渡や移行ができません。
そのため、ポイントを金銭に換算し、財産分与時に預貯金や現金の分与額を増やすことで調整する方法を取るべきでしょう。
ただ、ポイントの価値換算については、ポイントの種類や交換可能な商品・サービスによって異なるため、具体的な価値算定方法をお互いに納得できる形で示すことが重要です。
このように、財産分与の基準時にあったポイント数や、その換算方法についても争いがない場合は、分与方法は明確になると言えるでしょう。
4.証拠の確保が非常に重要
しかし、ポイントは銀行通帳のような証明がありません。
そのため、別居前には配偶者名義のカードや家族カードのポイント残高のスクリーンショット等の証拠をしっかりと残しておく必要があります。
こうした証拠がないと、ポイントがあったはずと主張しても立証が難しくなります。
また、別居日直前に大量に使用されることも考えられるため、別居時点だけでなく使用履歴のスクリーンショット等の証拠も残しておくといいでしょう。
なお、預金の別居直前の持ち出しについては、以下をご覧下さい。
「別居時に勝手に預金を引き出された場合はどうすればいい? 別居時の財産の持ち出しについて」
もし預金であれば調査嘱託等を使い、金融機関に照会をかけることはできますが、ポイントなどはそのような手段は取れないため、証拠の確保が大事になります。
デジタル資産は証拠の確保が難しいので、早期の証拠確保がトラブル防止に欠かせません。
5.実務的な対応
実務上は、ポイントなどは金額的に少額であることが多いため、財産分与の対象外とされることが一般的です。
しかし、これまで見てきたように、理論的には財産分与の対象になるため、大量のポイントがある場合などの場合は、財産分与額が大きく変わる可能性もあります。
そのため、このような場合は安易に譲歩するのではなく、財産分与対象に組み込む方法を弁護士と相談しながら検討することが重要です。
6.まとめ
- ポイントも婚姻中に形成された場合は共有財産になる
- 利用規約上譲渡不可のものは現金換算で分与するのが一般的
- 残高や利用履歴は別居前に必ず証拠として確保する
- 高額のポイントがある場合は財産分与に組み込む方法を弁護士に相談するすべき
弁護士のホンネ

法律事務所
実務ではポイントだけで大きく争うことは稀ですが、数十万円以上の高額ポイントがある場合は軽視できません。人によっては、数百万円分のマイルを、一種のポイントテクニックなどで貯めているケースもあります。
弁護士としては、ポイントを含めた全ての共有財産を漏れなく把握・整理しておくことが、後悔しない離婚を進めるために非常に大切だと強くお伝えいたします。
そのためにも、早めに証拠を確保し、専門家と相談しながら適切に準備を進めていくことをおすすめいたします。
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