不倫をしても離婚請求が許される時代が到来した!?

1 婚姻関係が破綻していれば離婚できるのが大原則

「不倫した側の配偶者からは離婚請求はできない。」
よく聞くこの言葉。

しかし、そうと決まっているわけではありません。

裁判所が離婚を認める場合の基準は、婚姻関係が破綻しているかどうかです。
その原因が性格の不一致であれ、肉体関係がなくなったことであれ、別居であれ、不倫であれ、婚姻関係が破綻したと認められれば、離婚が認められるのが原則です。

なぜでしょうか。
少し考えれば簡単です。相手に親しみを持てる関係ではないのに、戸籍上の婚姻関係を続けることが、その当事者の自由を奪うからです。

それは、次のような場合に似ています。ある企業に入社して数年が経ったが、どうも会社の上司や職務環境に我慢できない。いわゆるブラック企業なのかもしれない。自分にはやりたいこともあるから、とにかくこの会社を辞めたい。よくあることです。でも、もし一度入った会社を辞めることが法律で禁じられるとされていたら…?

こういう、「辞める自由」が私たちに保障されていないとすれば、ひどい社会になることは容易に想像がつきますね。

結婚も同じです。いざ結婚してみたけれども、その相手がとんでもなく暴力的な人であったり、数年過ごした後、コミュニケーションまともにとれない夫婦になったのに、離婚できず、ただ永遠に戸籍上の夫婦とされてしまう制度なんて、人権軽視も甚だしいでしょう。

そういうわけですから、婚姻関係が破綻したと認められれば、離婚が認められるのが原則です。

2 有責配偶者からの離婚請求

ただし、不倫をして結婚に伴う貞操義務を破ったにもかかわらず、離婚請求をすることは、相手の信頼を大きく裏切るものとして、例外的に認められないとされています。
自分で不倫をして配偶者を傷つけておきながら、さらに離婚を突きつけることなど許されないということです。

しかし、これにも例外の例外があります。
よく言われるところですが、「1 別居期間が相当に長いこと」、「2 未成熟子がいないこと」、「3 離婚しても主に生活面で相手を過酷な状況に陥らせないこと」、これらの要素を総合的に判断することによって、離婚は許されるというのです(昭和62年9月2日最高裁判決など)。

でも、そもそも、不倫をしたら離婚の請求ができないということ自体、ちょっと変な話ですよね。相手が好きだから結婚したのであって、好きじゃなくなったのに離婚できないというのなら、そもそも結婚する必要なんてありませんね。最高裁が上記の3要素を掲げて以降、下級審の裁判所もこの3要素を重視しています。

しかしながら、

  1. 離婚しても養育費を払わなければならないのは変わらない。なぜ未成熟子の存在が夫婦間の問題の中で出てくるのか、
  2. 女性の社会進出や社会保障が一定の段階に進んだ現代社会において、離婚によって「過酷な状況」というのがあり得るのか、
  3. そもそも別居している時点で、婚姻関係が事実上消滅しているのに、戸籍上「夫」または「妻」であるとの記載を続ける必要性がどこまであるのか、

という点を指摘することができるでしょう。

現代社会においては、結婚以外にもいろいろな幸せな生き方が提示されています。結婚だけが幸せになる手段ではもはやありません。
それにもかかわらず、有責配偶者である以上、離婚請求できないという結婚制度が続くのでは、ますます婚姻制度を選択することに対してハードルが上がり、婚姻率、ひいては出生率は下がる一方でしょう。

不倫は確かに相手を傷つけるものではありますが、それは、その他のあらゆる不法行為責任と同様、慰謝料等を支払うことで解決すべき問題であって、制裁として「離婚させない」というのは少々お門違いではないかという考え方が台頭しつつあります。

3 裁判所も動向に変化?

実は、裁判所もそういう点に気づき、自省を始めている節が見受けられます。

さきほどの離婚に必要な「別居期間」。最高裁がかつて上記の3要素を提示した事件では、30年間の別居で離婚を認め、その後徐々に期間を短くしていき、平成2年には8年での別居の事件で離婚を認めました。ただし、同じく平成2年の最高裁で11年の別居でも離婚を認めない例があり、法律家の間ではだいたい8年から10年間という意識が形成されました。

しかし、最高裁までいく例というのはほとんどありません。多くは家庭裁判所や高等裁判所の判断で事件の結果が決まります。
そして、平成26年6月12日の東京高裁判決は、今後の裁判所の方向性を予期させるものです。

裁判所はこう述べました。
「仮に、形式的には有責配偶者からの離婚請求であっても、実質的にそのような著しく社会正義に反するような結果がもたらされる場合でなければ、その離婚請求をどうしても否定しなければならないものではない 」。
そして、なんと、2年の別居期間で離婚を認容しています。

さらに、最近では平成27年5月21日の札幌家庭裁判所が、婚姻期間が18年半である一方で、別居期間が1年半であるにもかかわらず、なんと離婚請求を認容しました。

もちろん、それぞれの事情は別居期間以外も異なりますが、裁判所が離婚に必要な別居期間を短縮させる方向に動いていることは間違いないといえるでしょう。

最後に、北欧の先進国スウェーデンの法律を一つ。

スウェーデン婚姻法 第5章
第4条
夫婦が少なくとも2年間別居状態であった場合、夫婦のいずれも熟慮期間を経ずに離婚する権利を有する。

弁護士のホンネ

本文に挙げた、平成26年、そして平成27年の裁判所の判断は、近年の裁判例の趨勢の中でも、非常に衝撃的でした。
現在、裁判所での調停手続などでは、有責の配偶者は離婚請求を強く求められないために、不利な条件で離婚に応じざるを得ないケースが多々有ります。
しかし、本文に挙げた平成26年、平成27年の各裁判所の判断は、これまでのそうした傾向をより公平な方向に改善させることへの気運を感じさせるものです。今後も、この件に関する裁判例の趨勢を注意深く観察する必要がありそうです。

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