不貞の証拠取得のために探偵費用はいくらまでかけるべき?離婚専門弁護士が解説!

1 はじめに

離婚や不貞慰謝料の問題に直面している方の中には、「配偶者が不倫しているかもしれない」「証拠を押さえるには探偵を使うべきか」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
しかし実際には、「探偵に依頼するとして、いくらまで費用をかけるべきなのか」「その費用は相手に請求できるのか」など、気になる点も少なくないと思います。
探偵業者は数多く存在し、料金体系も業者によってさまざまです。中には高額な費用を請求する業者もあり、「この金額を払って本当に意味があるのか」と不安になるのは当然です。

今回は、離婚や不貞慰謝料請求に多数関わってきた弁護士の立場から、探偵費用をどこまでかけるべきか、その判断材料についてわかりやすく解説します。

2 探偵費用は相手に請求できるのか?

「探偵に支払った費用を、不貞をした配偶者や不倫相手に請求できるのでは?」と考える方は多くいらっしゃいます。

まず、不貞慰謝料事件で請求できる損害は、①「不貞行為から通常生ずべき損害」として実際に発生したもので、かつ、②それが不法行為者にとって「予見可能なもの」である必要があります。この二つを満たすものを、法律用語で、相当因果関係のある損害と言います。

そして、実際に、これまでは探偵費用の一部が不貞行為と相当因果関係のある損害としてとして認められた判例も存在しました。
しかし、近年、東京高裁令和6年1月17日判決が、一般論として、配偶者に不貞に関する疑いが生じた場合、直ちに調査会社による調査を利用することが一般的であるとまでは認められないとし、調査費用が不貞行為から通常生ずべき損害に当たることを否定しました。

詳しくは、「【不貞慰謝料】探偵業者に支払う調査費用は相当因果関係のある損害には当たらない!重要判例解説:東京高裁令和6年1月17日判決」をご覧下さい。

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今回紹介する判例は、不貞慰謝料事件で、探偵に支払う調査費用(探偵費用)は損害に当たらないとした、東京高裁令和6年1月17日判決(ウエストロー・ジャパン搭載)です。1 不貞慰謝料で請求できる損害とは不貞慰謝料事件で請求できる損害は、①[…]

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この判例を踏まえると、今後は探偵費用を相手方に請求し、回収することができる可能性が極めて低くなったと言えるでしょう。
つまり、探偵費用は基本的に「自己負担」として覚悟すべき出費になります。

3 不貞を立証するために必要な証拠とは?

次に、探偵に調査を依頼する場合、重要なのは「どのような証拠が裁判で通用するのか」を理解しておくことです。

一般的に、不貞行為があったことを証明するには、配偶者と不倫相手が肉体関係を持ったことが合理的に推認できる証拠が必要です。
具体的には、ホテルや相手の自宅に二人が出入りする場面の写真や動画などが有力な証拠となります。

ただし、証拠は「複数回必要」というわけではありません。実際には、1回限りの明確な証拠でも不貞を立証するには十分なことが多いです。
そのため、複数回の証拠が必要と探偵業者に言われたとしても、無駄に複数回依頼して探偵費用の出費を増やすことは避けるべきでしょう。

詳しくは、「【不貞・不倫】探偵の証拠写真、どこまで撮れてれば良い?弁護士が解説」をご覧下さい。

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4 不貞慰謝料の相場と探偵費用のバランス

そして、探偵費用をどこまでかけるかを考える際に、重要な視点となるのが「不貞慰謝料の相場」です。

当事務所の実務経験から申し上げると、不貞慰謝料の相場は100万~150万円程度です。

たとえ離婚や別居に至っていても、それ以外に特別な事情がない場合、慰謝料額は150万円程度で落ち着くケースが多くなっています(離婚や別居に至っていない場合は、100万円程度)。

ただし、これは判決になった場合の相場ですので、交渉段階ではこれより高額になることもあり得ますし、逆に低い金額になることもあります。

詳しくは、「不貞(不倫)慰謝料請求で認められる金額はどのくらい?【令和5年の最新情報】」をご覧下さい。

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そのため、慰謝料が最大でも150万円であることを前提に逆算し、弁護士に依頼する場合には弁護士費用も考慮し、手元に残したい金額を決めた上で、かけるべき探偵費用の上限を設定すべきでしょう。

5 離婚を前提とする場合は費用対効果が変わる

ただし、「不貞の証拠を使って離婚を進めたい」というケースでは、話は変わってきます。

不貞の証拠がある場合、相手を「有責配偶者」として認定させることができ、協議・調停・訴訟において、相手から解決金として相当額を引き出せることも現実的にあり得ます。

例えば、裁判において有責配偶者からの離婚請求が認められるためには、一般的に10年ほどの別居期間が必要になるため、婚姻費用と養育費との差額×10年分を解決金として請求するという交渉も可能となります。

詳しくは、「婚姻費用をもらい続ける戦略vs財産分与を受け取って早期離婚、どちらが得?「資産運用」という観点」をご覧下さい。

そのような場合には、確実な証拠を得るためにある程度の探偵費用をかけることは十分合理的と言えます。

6 最終的には「気持ちの問題」でもある

中には、「お金が残らなくても、不倫相手に社会的制裁を与えたい」「子どもを持つ親としてけじめをつけたい」という想いで、探偵に依頼される方もいるかもしれません。

手元に残るお金が少なくとも、自分の中で納得がいく結果を得たい、という場合には、費用対効果だけでなく気持ちとして納得できるかどうかを基準にしても良いでしょう。

7 探偵に依頼する前にまずは弁護士へ相談を

探偵費用に多額を支払ったものの、「証拠が不十分だった」「追加調査が必要と言われて延々と費用がかかった」というご相談を当事務所でもお受けすることがあります。

また、探偵業者によっては「慰謝料請求の際に相手から費用を取り返せます」「1回では足りないからもっと調査が必要」といった説明をして、過剰な費用を請求するケースも見られます。

だからこそ、探偵に依頼する前に、まずは弁護士にご相談いただきたいのです。

弁護士は、現在の状況に応じて、証拠の要否や相場、戦略全体を見据えた上でアドバイスすることができます。結果として、無駄な費用をかけずに最善の結果を得ることが可能になります。

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探偵費用は、原則として自己負担であり、不貞慰謝料の金額を踏まえると、かけられる上限には現実的な制限があります。
一方で、離婚を視野に入れる場合や、感情的な納得を重視する場合には、費用を多めにかける選択もあり得ます。

しかし、いずれの場合でも大切なのは、「費用対効果」や「法的な見通し」を踏まえて、無駄な支出を避けることでしょう。

探偵に依頼する前に、ぜひ一度、離婚・不貞慰謝料に強い弁護士に相談してください。当事務所でも無料相談を実施していますので、お気軽にお問い合わせください。

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