不貞(不倫)慰謝料請求で認められる金額はどのくらい?【令和5年の最新情報】

弁護士

プロキオン法律事務所(https://rikon-procyon.com/)(横浜で離婚に特化した法律事務所として2015年に設立。翌年東京にも事務所開設。)の代表弁護士の青木です。離婚や男女問題に特化した弁護士として、年間200回以上の離婚調停や裁判に出席しています。
(弁護士 青木亮祐 /プロキオン法律事務所 代表弁護士)

今回は、不貞慰謝料請求で認められる慰謝料額を、令和5年(2023年)の最新裁判例を複数紹介しながらお伝えします。

1 不貞慰謝料(不倫慰謝料)の相場

不貞慰謝料、または不倫慰謝料請求は、全国で広く行われており、多くの裁判例が毎年積み上がっています。不貞慰謝料請求は、7割方は交渉段階で解決しますので、それでも多くの裁判例が毎年蓄積されていることは、こうした事件が全国で数多存在することを裏づけています。

さて、不貞慰謝料に関する多くの裁判例が積み上がっていくことに応じて、慰謝料相場というものが微妙に変化しているのも事実です。一昔前は、慰謝料は100万円から150万円、別居や離婚にいたるケースでは200万円、などといった相場感覚がある程度通用していたかと思います。しかし、昨今の裁判例を眺めると、いわば100万円ルールと呼んでも差し支えない基準があり、そこに悪質性や大きな被害結果が加わると、150万円に達する、という相場観が見えてきます。

そこで、以下、令和5年に東京地裁で判断された慰謝料事件を振り返り、慰謝料相場についてお伝えします。

なお、ここでいう不貞慰謝料というのは、配偶者(不貞をした側)の不貞相手に対する慰謝料請求であり、夫婦間の慰謝料請求とは少し異なりますので、ご注意ください。

また、慰謝料額が認められる場合は、その金額の10分の1を、弁護士費用分の損害として追加で認められるのが通常です。以下は、弁護士費用分を含まない、純粋な慰謝料額になります。

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2 令和5年の東京地裁の各判決結果

①令和5年1月12日東京地裁判決(ウエストロー・ジャパン搭載)

・夫と妻、平成29年に婚姻。

・妻が令和4年、マッチングアプリで不貞相手と知り合う。

・不貞相手が1週間程度、妻を自宅に滞在させて、複数回不貞行為に及ぶ。

・不貞相手は、夫に対し、夫と妻は離婚すべきこと、離婚後は正式に妻と交際することを伝える。その後も数日間、妻を自宅に滞在させて複数回の不貞行為に及ぶ。

 以上を前提に、認められた慰謝料額は、150万円でした。関係者間の話し合いがなされた後も、不貞を継続した点が重視されています。

②令和5年1月13日東京地裁判決(ウエストロー・ジャパン搭載)

・夫と妻、平成5年に婚姻。

・夫が女性と不貞関係になる。

・東京地裁は、不貞を二つの期間に分けて判断。

 Ⅰ平成23年〜平成24年に少なくとも4回の不貞行為。

Ⅱ令和元年〜令和2年に少なくとも9回の不貞行為。

・Ⅱに関して、この時期、妻は肺がんになり、病床生活。

以上を前提に、まず、Ⅰの時期の間の責任として認められた慰謝料額は、100万円でした。

Ⅱの時期に関しては、妻が不貞の解消を繰り返し求め続けていたこと、そのほか、妻の病気に由来する精神的な過酷さに鑑み(家族の支援や精神的な安定が必要だった)、認められた慰謝料額は、200万円でした。

③令和5年1月31日東京地裁判決(ウエストロー・ジャパン搭載)

・夫と妻、平成16年に婚姻。

・平成30年4月以降、夫が女性と不貞関係。

・一度、平成30年10月に夫婦で再出発を約束する。

・しかし、その後も不貞関係は継続し、令和元年に夫が自宅を出て別居。

 以上を前提に、認められた慰謝料額は、150万円でした。

④令和5年2月16日東京地裁判決(ウエストロー・ジャパン搭載)

・夫と妻、平成25年に婚姻。

・令和3年、夫が女性と3回の不貞行為。

・令和4年、妻が離婚調停を申し立てるも、同居は継続。

以上を前提に、認められた慰謝料額は100万円でした。

⑤令和5年2月28日東京地裁判決(ウエストロー・ジャパン搭載)

 ・夫と妻、平成18年に婚姻。

 ・平成29年12月頃から、妻は男性と不貞行為を開始。

・平成30年7月、妻は自宅を出て別居し(ただし、妻はその後も、ほぼ毎日自自宅には出入りを続けていた)、男性宅で居住。

・男性は同居開始時までは、上記妻が婚姻をして配偶者がいたことを知らなかった。

  以上を前提に、認められた慰謝料額は100万円でした。

3 不貞慰謝料の最新相場のまとめ

以上の最新裁判例を概観すると、不貞慰謝料額の基準額を100万円とする裁判所のスタンスを見てとることができます。その上で、一度関係者間で話し合いが行われたにもかかわらず、再度不貞が行われたことや(上記①)、配偶者が懸命に不貞の解消を懇願しており、身体的な病気にも罹患した過酷な状況にあったこと(上記②)、不貞を原因として別居や離婚に至ったこと(上記③)などの、悪質性や大きな被害結果が加わることで、50万円程度(よほどの場合には100万円)の追加加算があると整理することができるでしょう。

このような傾向は、実際に、弁護士である私たちが日頃より裁判所から受ける判決結果と同様です。

従前、慰謝料相場は100万円〜150万円が一般的で、別居や離婚に至っている場合は200万円程度になる、というのが現場感覚だったと思います。しかし、昨今の裁判例を見ると、別居や離婚に至っている場合でも、そのほかの事情が乏しければ、150万円程度で収まっているように思います。

慰謝料相場というものは、時代が進むに連れて刻々と変化をします。今後も、最新の情報を提供し続けられればと思います。

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昨今の裁判例(特に東京地裁。実際、東京地裁の裁判例が多くの割合を占めています。)を見ると、「不倫慰謝料の100万円ルール」といった基準を見出せるように思います。これは、私が勝手に呼んでいるルールですが、いわゆる「財産分与の2分の1ルール」の呼び方を援用したものです。

いずれにしても、100万円を基準として、悪質性や被害結果の大きさは加算対象となり、+50万円程度が上乗せになると整理できるでしょう。逆に、不貞をされた配偶者にも問題があったケースでは、減額対象となり、慰謝料額が80万円程度にとどまるといった例も見られます。

今回の記事が、皆様の慰謝料請求問題の解決のお役に立てましたら幸いです。

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