
1 はじめに
あなたは、不貞相手から「早く離婚してよ」と言われて焦っていませんか?
不貞関係にあるパートナーから「早く離婚して、一緒になりたい」と言われている方は少なくありません。しかし、実際には配偶者との離婚交渉が思うように進まず、どう説明すればよいのか、どう動くべきなのかと悩んでいる方が多いのも事実です。
この記事では、再婚を希望している方々を対象に、離婚交渉を行う上での注意点、また、不貞相手からのプレッシャーにどう向き合うべきかを、離婚問題を専門に扱う弁護士の視点から解説します。
2 離婚成立の見通しの伝え方について
まず、離婚がどのくらいの時間で成立するかは、配偶者の意向や、その他様々な事情によって変わってくるため、軽率にすぐ離婚できるなど伝えるのではなく、見通すことが簡単ではないこと、いろいろなステップを踏む必要があり、解決時期も見通しづらいことを正確にを伝えるべきです(その理由は後で述べます。)。
軽率に、いついつまでに離婚ができる予定などといった見通しを伝えることは、不貞相手の方とのトラブルの元もなり得ます。
どのような状況においても、誠実な説明と対応を心がけることは不可欠です。
以下、それぞれの事情に分けて見通しや問題となる点をご説明させて頂きます。
3 配偶者に不貞が発覚しており、証拠もある場合
(1)離婚交渉について
まず、離婚交渉において、一番重要な事情は、配偶者に不貞が発覚しているかどうかです。基本的に、不貞の事実を配偶者が知っている場合は、経済的な面で交渉は不利になります。
不貞が発覚していて、証拠もある場合、あなたは有責配偶者となり、裁判で離婚を認めてもらうには、10年ほどの別居期間が必要になってしまいます(諸外国には見られない、日本独自のルールです。)。
もっとも、婚姻費用と養育費との差額×数年分(5年から10年分)を解決金として支払うというような交渉をして、ある程度金銭的な譲歩をすることで合意に至る可能性も多くあります。
そのため、あなたが有責配偶者の立場であるときは慎重な交渉が必要となりますし、相当の経済的な負担も必要になります。すぐには妥結できない可能性も高いです。安易に見通すのではなく、見通し自体が難しい点をよく理解し、不貞相手の方にも伝えるのが良いでしょう。
「早く離婚して」「待てない」といった不貞相手からの強い要望に焦って、早く別れたいという姿勢を配偶者に見せて無理な離婚交渉を行うと、配偶者側に足元を見られ、より多くの金銭的な請求をされることにもなりかねないため注意が必要です。強気な配偶者によっては、財産をほぼ全て渡さない限り離婚に応じないスタンスをとるケースもあります(不動産を譲り受け、さらに住宅ローンも完済まで負担を要求するなどの事態も・・・)。
不貞相手には、実情をしっかりと伝え、さらに配偶者には、焦っているという印象を持たれないように着実に交渉をしていくべきです。
(2)不貞慰謝料について
不貞が配偶者に発覚している場合、配偶者から不貞相手に対する慰謝料請求も考えらます。
慰謝料の相場としては、一般的には100万円程度です。別居に至っていても、それ以外に特別な事情がない場合、150万円程度で落ち着くケースが多くなっています。
プロキオン法律事務所(https://rikon-procyon.com/)(横浜で離婚に特化した法律事務所として2015年に設立。翌年東京にも事務所開設。)の代表弁護士の青木です。離婚や男女問題に特化した弁護士として、年間200[…]
また、配偶者と不貞相手との慰謝料について合意書の中に、不貞相手とあなたとの接触禁止条項が盛り込まれることも珍しくありません。このような条項が入ると、離婚が成立するまではあなたは不貞相手と会うことができなくなり、違反すれば追加の損害賠償請求のリスクが生じます。
そのため、不貞相手の方としては、和解ではなく裁判での判決を選ぶことで、接触禁止条項がない形での判決をもらう選択肢もあります。その方が慰謝料額自体も抑えられるケースも多いです。
4 不貞が配偶者に発覚していない、または証拠がない場合
もし配偶者に不貞が発覚していない、もしくは発覚していても証拠を持たれていない場合には、一般的な離婚交渉が可能です。
※配偶者に不貞の事実を知らせないまま交渉することの「倫理的な是非」はここでは論じません。
ただし、そうした場合であっても、相手が離婚に応じない場合、裁判に持ち込んで離婚を認めてもらうには、少なくとも3〜5年の別居期間が必要とされまず。そのため、やはり配偶者との合意形成が重要となります。
この場合でも、やはり不貞相手からの強い要望に焦って、早く別れたいという姿勢を見せて無理な離婚交渉を行うと、配偶者側に足元を見られることになるので注意が必要です。
この段階で特に注意したいのが、探偵を使った証拠収集です。別居後に不貞の証拠を押さえられると、有責配偶者と主張され、離婚交渉が難航するリスクが高まります。別居後1年以上経過している場合には、その後の行動は不貞には該当しない可能性がありますが、明確な基準があるわけではありませんので、そうした主張はされ得ます。この点留意すると良いでしょう。
5 不貞相手からのプレッシャーにどう対応するべきか
これまで述べたように、離婚交渉や調停は、どの程度の期間で決着するかが非常に読みにくいといえます。
したがって、「気持ちがあるからすぐに離婚できる」「婚姻関係はすでに破綻しているからすぐに離婚になる」という誤解を不貞相手に持たせないことが肝心です。軽率に「すぐ離婚できる」などとは伝えず、これまで見てきたような現実的な問題と法律上の限界を、しっかりと説明しておきましょう。
また、前述の通り、交際を続けたり、同棲すること自体がさらなるリスクを伴うので、これについてもしっかりと不貞相手に説明するべきでしょう。
その上で、これからどのように関係を続けていくべきかについて、不貞相手としっかりと話し合いをすることが大切です。
弁護士のホンネ

法律事務所
弁護士として、不貞を肯定したり推奨することはできません。しかし、人生には時に「やり直したい」と強く願う局面がありますし、そういう気持ちもまた十分に尊重されるべきものです。
一方で、そのための離婚交渉を行うに際しては、本文に述べたことを意識しつつ、慎重かつ冷静に行う必要があります。焦るあまり、配偶者との離婚交渉で不合理に大きな不利益を被るという最悪の展開は避けなければなりません。
弁護士は、原則としてどのような立場の人であっても、味方をします。冷静に状況を見極め、弁護士のアドバイスを受けながら、解決に向けて進めていただきたいと思います。
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