プロキオン法律事務所(https://rikon-procyon.com/)(横浜で離婚に特化した法律事務所として2015年に設立。翌年東京にも事務所開設。)の代表弁護士の青木です。離婚や男女問題に特化した弁護士として、年間200回以上の離婚調停や裁判に出席しています。
(弁護士 青木亮祐 /プロキオン法律事務所 代表弁護士)
今回は、不貞の証拠としてよく利用される探偵の証拠写真(調査報告書)が、どんなものであれば良いのかについて解説します。
1 裁判所でも証拠として価値がある探偵事務所の「調査報告書」
探偵事務所、調査会社などといった呼び方がありますが、そうした探偵業者は、不倫や不貞の証拠を掴もうとする際、とても大きな力になってくれます。
ただ、探偵業者、調査会社の費用は高いです。
具体的な費用は業者によって異なりますが、数週間、配偶者の尾行や、不貞相手の住所特定などを行おうとすると、60万円から100万円近くかかることが多いでしょう。
そのため、どのタイミングで調査を切り上げるべきか、悩んでいる方もいると思います。探偵業者がすでに撮ってくれた証拠で十分であれば、調査を打ち切りにし、それ以上コストをかけないという選択もできるでしょう。
そこで、探偵業者による証拠写真は、どの程度まで撮れていれば良いのか、お伝えします。なお、撮りたい内容が探偵業者による写真そのものには写っていなくても、探偵業者が視認し、それを調査報告書に記載していれば、基本的に問題ありません。
当サイト運営・プロキオン法律事務所では、相談室(渋谷駅徒歩5分・横浜駅徒歩6分)またはオンラインにて、無料相談を実施しています。
2 重要!ここの部分が撮れていますか?
(1)相手の自宅またはホテルへ入っているところ
まずは、配偶者が不貞相手の自宅、またはホテルに入ったところを撮れているかどうかです。
不貞相手の自宅の場合は、不貞相手がしっかりと自宅に居宅していたことがわかることが必要です。
ホテルの場合は、その部屋に不貞相手も入室しているところを押さえていることが必要です。ホテルはシティホテルやビジネスホテルでも良く、ラブホテルである必要はありません。
シティホテルの時は、同じ部屋に入っているかどうかも重要です。二人で一緒にシティホテルに入って行く場合は、探偵業者が部屋まで追えなくとも、同じ部屋に入室したと認められるでしょう。
一方、不貞行為に慣れている当事者は、不貞相手とあらかじめ意思疎通し、別々にシティホテルに入ることがあります(変装していることも!)。その場合、同じ部屋に入室したとは当然には認められません。そうした場合は、シティホテルに入る前と、出た後の当事者の行動に注目します。シティホテルに入る前に二人でデートしていたり、シティホテルから別々に出た後に二人で食事をしているなどのケースでは、ホテルでも一緒であったと強く推認されるでしょう。
(2)相手の自宅またはホテルから出たところ
相手の自宅またはホテルから出たところも写真で撮れている必要があります。
これは、自宅またはホテルでの滞在時間が重要だからです。
滞在時間が不明だと、後から、10分程度、部屋で話をしただけと反論されてしまう可能性があります。裁判所としては、1時間以上の滞在の事実がなければ、性交渉があったとは認定しづらいです。
そのため、自宅またはホテルから出たところもしっかりと撮れているか確認しましょう。
なお、不貞相手の自宅の場合、不貞相手の家族が在宅しているケースだと、不貞行為があったとは認定されづらいです。不貞相手は一人暮らしなのかどうか、少なくともその時間に不貞相手の家族がいる気配はなかったかどうかも調べられているか、確認しておきましょう。
(3)外で歩いている時の様子(手を繋いだりしているか?)
意外に重要なのが、外で歩いている時の二人の様子です。
二人がラブホテルに入ったところを抑えられているのであれば問題ないですが、自宅やシティホテルの場合、本当に相談に乗っていたり、おしゃべりでとどまっていた可能性もあります。
そのため、二人の関係性が親密かどうか、外出時の様子から伺える写真が必要になります。
手を繋いでいたり、手を腰に回していたり、キスをしている様子があるなどすれば、親密な関係であったと言えるでしょう。そうした関係性の中で自宅やシティホテルに数時間滞在していたとなれば、裁判所は不貞行為を認定するのが通常です。
(4)不貞相手の自宅住所
最後に、不貞相手の自宅住所も確認できているか忘れないようにしましょう。
特に、配偶者ではなく、その不貞相手に慰謝料請求をすることを考えている場合は、必須の確認事項です。
可能であれば、不貞相手がどこの職場に勤めているかまで確認できると良いです。慰謝料請求が認められた後の強制執行も可能になるためです。
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3 不貞行為の回数はどこまで証拠化すべき?
さて、不貞行為は1回分を証拠化できていれば良いでしょうか?
基本的にはイエスです。ただ、その目的に応じて考える必要があります。
(1)不貞相手に慰謝料請求する場合
配偶者の不貞相手に慰謝料請求をするということであれば、不貞行為が1回なのか10回なのかで、それほど大きく慰謝料の金額は変わりません。
裁判所の相場では、「100万円ルール」と呼びうる基準が見られます。
100万円以上の金額が認められるかは、別居や離婚に至るなどの被害結果の大きさによることになります。
したがって、1回分の証拠が取れたのであれば、それ以上の調査続行は、コストパフォーマンスを考えると微妙なところと言えるでしょう。
不貞慰謝料の100万円ルールについては、以下の記事も参考にしてください。
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(2)配偶者を有責配偶者とするための場合
一方、配偶者を有責配偶者とさせ、離婚を拒否したり、離婚条件を有利に働かせるということであれば、1回の不貞だとやや心許ないかもしれません。
ただ、不貞が一定期間続いていたことが他の証拠からも伺えるようであれば、探偵の証拠としては一回分のもので十分と言えるでしょう。
また、自分自身にも夫婦関係を悪化させた原因がある場合は、配偶者の不貞の証拠は多い方が良いと思います。特に、妻側の不貞は、夫側の不貞よりも少し軽視されがちな傾向があります。例えば、妻に一回の不貞がある場合で、夫にも妻や子に対して声を荒げていたことが証拠として残っている場合、夫にも夫婦関係を悪化させた原因があるとして、妻からの離婚請求が認められるケースがあります。
実際にどこまで調査を行った方が良いか、弁護士に相談するなどして検討することをお勧めします。
弁護士の本音
今回は、探偵業者にどこまで調査をお願いすべきか悩んでいる方のために、「すでに探偵がどこまで調査済みか」という観点でお伝えしました。
探偵業者や調査会社としては、やはり多くの調査を行うことで費用をもらいますので、相談をしても、「3回程度は不貞の証拠をとったほうが良い」などと言われることがあるでしょう。
そのため、今回の記事がお役に立てましたら幸いです。
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