離婚裁判(訴訟)が提起された場合—訴状や期日呼出状の読み方や、答弁書の書き方などを弁護士が解説!

ご相談者様

東京家庭裁判所から離婚裁判(訴訟)の書類が届きました!

妻は1年前に小学生の子供2人を連れて、いきなり別居を開始しました。

その後、妻は私との話し合いにも応じず、弁護士をつけて、調停を申し立ててきました。

妻は、調停で離婚を強く求めたものの、私も離婚理由に納得できず、半年前に調停は不成立で終わりました。

現在、私は、妻の弁護士からの請求を受けて、月々8万円の婚姻費用を支払っています。

私は妻に対して不倫や暴力をしたわけでもないですし、頑張って仕事をして家族を支えてきました。

そして、別居した後も、妻に対して決められた生活費(婚姻費用)を毎月払っています。

それなのに、妻は離婚を求めて裁判(訴訟)を提起してくるなんて・・・納得できません。

ご相談者様

妻から調停を申し立てられた時、弁護士さんに相談に行きましたが、その弁護士さんは離婚事件が専門でないのか『“調停は話し合いだから弁護士に依頼しなくても良い。』と言われ、一人でも対応しました。

ところが、調停委員は妻の味方ばかりで、私の意見は聞いてもらえず、妻の婚姻費用の請求だけ認められる結果となってしまいました。

もちろん、私は普通のサラリーマンですので、離婚裁判(訴訟)は初めての経験です。

流石に、離婚裁判(訴訟)は一人で対応できるか不安ですので、信頼できる弁護士さんを探しています。

訴状という書類を読みましたが、妻の一方的な言い分や私への非難のオンパレードで非常に精神的に辛いです・・・。

今後私は一体どうしたらいいか途方に暮れています・・・。

ご相談者様

あと、裁判所からの書類の中に来週水曜日までに答弁書を書いて出してくださいという記載がありました。

答弁書をどう書いたらいいかさっぱり見当もつかず、とても不安です・・・。

  こんにちは、東京弁護士会所属のプロキオン法律事務所弁護士の荒木雄平です。

  上のご相談者様と似たような状況の方、非常に多いのではないでしょうか。

  こちらのご相談者様は別居中の男性(夫側)の方ですが、女性(妻側)の方も同様に調停不成立後しばらくして配偶者から離婚訴訟を提起され、裁判所から書類を届いてびっくりしてしまった、急ぎで相談したいと言い、ご相談にいらっしゃる方は多いです。

  調停とは異なり、離婚裁判(訴訟)は話し合いの手続きではなく、事実関係と証拠に基づいて、裁判官が事実を法律に当てはめてジャッジ(判決)をするという手続きです。

  手続きである以上、不利にならないようにしっかりとした戦略を立てた上で、可能であれば離婚に強い弁護士に依頼して進める必要があります。

  もっとも、まずは離婚裁判(訴訟)の流れや期間など頭に入れなければ、有効な戦略を立てることはできません。

  そこで、離婚を多く手がける弁護士の立場から、離婚裁判(訴訟)が提起された場合—訴状や期日呼出状の読み方や、答弁書の書き方などを弁護士が解説いたします。

1 離婚訴訟の提起

  配偶者から離婚裁判(訴訟)が提起された場合、主に以下のようなものが在中していると思います。

  • 期日呼出状

  以下のような書類です(以下、例です。)。

事件番号 令和元年(家ホ)第〇〇号
離婚等請求事件
原告 渋谷 明子(仮名)
被告 渋谷 行雄(仮名)

第1回口頭弁論期日呼出状及び答弁書催告状

被告 渋谷 行雄(仮名)様

〒● 東京都千代田区・・・
東京家庭裁判所家事●部
裁判所書記官 霞ヶ関 隆太郎
電話 ・・ FAX・・

 原告から訴状が提出されました。
当裁判所に出頭する期日が下記の通り定められましたので、同期日に出頭してください。
なお、訴状を送達しますので、下記答弁書提出期限までに答弁書を提出してください。

期         日 令和元年7月●日(●)午後1時15分

出 頭 場 所 ●号法廷

答弁書提出期限 令和元年7月●日(●)

  こちらの書類は、裁判所からあなたに対して、訴訟が提起されたことと、第1回の裁判の期日(口頭弁論期日と言います。)、答弁書の提出期限をお知らせするものです。

  なお、第1回の裁判の期日が示されているので、急いで会社の休みを取らなきゃと思った方も多いのではないでしょうか。

  こちらは実は法律上、答弁書を事前に提出して、擬制陳述というテクニックを使えば、第1回の裁判の期日は欠席しても差し支えありません。

  裁判所は、第1回の裁判の期日を、訴えられた側(被告)の都合を一切聞かずに原告の都合のみで定めます。

  そのような事情もあり、答弁書を事前に提出していれば、第1回の裁判の期日(口頭弁論期日)に限り、訴えられた側(被告)は欠席しても良いという法律及び運用になっています。

  なお、第1回の裁判の期日(口頭弁論期日)は一般的に、原告が訴状などを裁判所に提出してから(訴えの提起と言います。)、約1ヶ月〜1ヶ月半くらいのスパンで設定されることが多い印象です。

 

  • 訴状

訴   状

令和元年6月●日

東京家庭裁判所家事部 御中

 

原告訴訟代理人 弁護士 法 律 太 郎 
本 籍        東京都渋谷区● 
住 所 東京都渋谷区●●マンション● 
原 告        渋 谷 明 子 

(送達場所)
〒 東京都渋谷区●ビル●F 
法律太郎法律事務所 
電話・・ FAX・・ 
原告訴訟代理人 弁護士 法 律 太 郎 

本 籍          原告と同じ 
住 所       東京都新宿区●● 
被 告        渋 谷 行 雄 

離婚等請求事件(略)

第1 請求の趣旨

1 原告と被告とを離婚する。
2 原告及び被告間の子・渋谷さくら(平成●年●月●日生まれ)及び子・渋谷新之助(平成●年●月●日生まれ)の親権者を原告と定める。
3 被告は、原告に対して、財産分与として相当額を支払え。
4 被告は、原告に対して、慰謝料として300万円を支払え。
5 被告は、原告に対して、離婚判決の確定する日の属する月から子・渋谷さくら、子・渋谷新之助がそれぞれ満20歳に達する日の属する月まで、毎月末日限り、子一人につき月4万円を支払え。
6 原告と被告との間の別紙年金分割のための情報通知書記載の情報に係る年金分割についての請求すべき按分割合を0.5と定める。
7 訴訟費用は,被告の負担とする
との判決を求める。

第2 請求の原因
1 当事者
・・・
2 別居・調停の経緯
・・・
3 離婚原因(婚姻を継続し難い重大な事由)
・・・

 こちらの書類は、離婚裁判(訴訟)を提起するときに、訴える側(原告)が最初に裁判所に提出しなければならない書類です。

 原告は、正本・副本を各1部ずつ裁判所に提出し、裁判所から、訴えられた側(被告)に対して副本が送達されることになっています。

  訴状に書いてあるのは、原告の要求する内容(請求の趣旨)と、原告の要求する内容を正当化する法律的な主張とそれを裏付ける事実関係(請求の原因)です。

  原告の要求する内容は、「第1 請求の趣旨」に記載されているものです。

 例えば、上の訴状例では、原告(例でいうと妻の渋谷明子さん)は、被告(夫の渋谷行雄さん)に対して、

・離婚してほしい
・離婚後の子供2人の親権者は原告である自分に指定してほしい。
・財産分与として相当額(具体的な金額については未定)を支払ってほしい。
・慰謝料として300万円を支払ってほしい。
・養育費として子供一人当たり月額4万円を支払ってほしい。
・年金分割の分割割合として0.5と定めてほしい。

ということを求めています。

 各項目の詳細な意味合いについては、こちらの記事をご確認ください。

【保存版】これで完璧!子供と離婚に関する基礎知識

【保存版】これで完璧!離婚のときのお金・財産分与の基礎知識

  なお、一番最後の「訴訟費用は,被告の負担とする」とは、法律上決められる訴訟費用(印紙代や証人の日当など)を被告に支払ってほしいという要求です。

 そのため、原告の弁護士費用などを被告に支払ってほしいという要求ではない(=法律上、離婚の裁判(訴訟)で相手に対して自分の弁護士費用相当額を請求することはできません。)ので、ご注意ください。

 

  そして、原告の要求内容(=「第1 請求の趣旨」)を裏付ける法律的な主張とその事実関係が「第2 請求の原因」に記載のある事実です。

  と言うのも、法律というのは、

  前提となる事実関係
 ↓
  事実関係が法律上の要件(法律の条文や判例などに規定。)に該当
 ↓
 法律上の効果が発生(=原告の要求内容であり、第1請求の趣旨記載のもの。)

という構成を取ります(法的三段論法などと言います。)。

  そのため、法律上の効果が発生する、原告の要求内容が認められるためには、その前提として、法律上の要件に該当する事実が認められなければならないのです。

 そこで、訴状には、原告は●●という事実が存在する、●●は法律上の要件に該当するということを「第2 請求の原因」に記載しなければならないのです。

 

  例えば、法律上、離婚が認められるためには、離婚原因(例えば、「婚姻を継続し難い重大な事由」)に該当する事実が必要です。

 そのため、離婚を求める原告側としては、

・同居中に、被告から暴力や精神的虐待の事実があった。
・原告は、被告からの暴力等から逃れるため別居を開始した。
・原告が別居を開始してからすでに5年以上経過している。
・もう原告と被告と復縁することは非常に難しい。

のような事情をたくさん挙げて、今回の事実関係が「婚姻を継続し難い重大な事由」という要件に該当しますよーという法律上の主張をしなければならないのです。

  • 証拠説明書

 原告は、事実を証明するための証拠も一緒に提出するケースがあります。

  その場合、原告は、証拠とその内容を説明する証拠説明書を一緒に提出します。

 

2 答弁書の提出について

 訴えられた被告は、裁判所に対して、答弁書を提出期限(一般的に訴訟の第1回口頭弁論期日の1週間前のケースが多いです。)までに、提出しなければなりません。

 答弁書では、原告が主張している

・第1 請求の趣旨(原告の要求内容)に対する答弁(被告の言い分)

・第2 請求の原因(原告の主張する事実関係や法律上の主張)に対する認否(被告の認識として、原告の主張する事実関係が合っているのか、間違っているのか、知らないのか。)

をしっかりと反論しなければなりません。

 

 答弁書の書き方は主に以下のような書き方をすることが多いです。

離婚等請求事件 令和元年(家ホ)第〇〇号
原告 渋谷 明子(仮名)
被告 渋谷 行雄(仮名)

答  弁  書

令和元年●月●日

東京家庭裁判所家事第●部 御中

(送達場所)
〒 東京都港区●ビル●F
弁護士法人アカサカ法律事務所 
電話・・FAX・・
被告訴訟代理人 弁護士 赤坂 一郎

第1 請求の趣旨に対する答弁

1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
との判決を求める。

第2 請求の原因に対する認否

1 当事者に対する認否
 認める。
2 別居・調停の経緯
 第1段落記載の●●という事実は否認し、●●との事実は不知、その余の事実は認める。
 第2段落記載の・・
 第3段落記載の・・
3 ・・・

第3 被告の主張

1 本件ではいまだに婚姻関係が破綻していないこと
 原告は●●などの事実を主張し、婚姻関係の破綻を主張しているものの、本件では、以下詳述する通り、●●との事実は認められず、かえって●●との事実が認められることから、婚姻関係は破綻していない・・・
2 ・・・
3 よって、原告の請求は速やかに棄却されるべきである。

 

 なお,第一回口頭弁論(令和元年8月●日(●)午後1時15分)は欠席いたしますので,答弁書を擬制陳述いたします。

 

 答弁書を作成するときのポイントは3つです。

 一つは、「第1 請求の趣旨に対する答弁」で、原告の要求内容(請求の趣旨)を丸呑みするのでなければ、しっかりと「原告の請求を棄却する。」と記載することです。

 というのも、原告の要求内容を認める/応じるという書き方を、請求の趣旨に対する答弁に記載してしまうと、原告の請求を認諾したとして、法律上、全面敗訴と同じ結果になってしまいます。

 原告の要求内容に一部でも同意ができないことがあるのであれば、答弁書では、「原告の請求を棄却する。」と記載し、争う意思を明確に示しましょう。

 二つ目は、「第2 請求の原因に対する認否」はできる限り慎重に行うということです。

 というのも、「第2 請求の原因に対する認否」では、原告の主張する事実関係に対して、被告が認めるのか(自白)、事実が違うと主張するのか(否認)、知らないのか(不知)、何も言わないのか(沈黙)ということを明らかにしなければいけません。

 そして、被告が認めた事実(自白)や沈黙した事実については、裁判のルール上、そのような事実が存在するものとして扱われます。

 また、一度被告が認めた事実を後から撤回するということは基本的に出来ません。

 そのため、不用意に事実を認めたり沈黙したりすると、のちの裁判で非常に不利な立場になってしまうことがあります。

 かと言って、なんでもかんでも否認したり、知らないと主張したり(不知)というのもお勧めできません。

 当然知っているはずの出来事を知らないと主張したり、証拠や客観的事実から認められる事実を否認したりすると、裁判官の目からは不合理な弁解や主張する困った人と映ってしまいます。

 離婚の裁判(訴訟)では、人としての信用性というのは非常に重要です。

 そのため、訴訟の最初の段階で、“不合理な弁解や主張をする困った被告”との印象を持たれると、そのまま挽回することが難しく、訴訟が不利に進んでしまいます。

 そこで、答弁書の「第2 請求の原因に対する認否」に対しては、認めるところは認め、否定するところはしっかりと否認する(できる限り理由付きで否認する)という戦略的なメリハリが重要になります。

 適当に答弁書の認否を書いてしまったために、のちの判決で不利な判断が下されないよう慎重に慎重さを重ねて作成しましょう。

 三つ目のポイントは、「第3 被告の主張」です。

  被告の立場からすれば、原告の要求内容や主張する事実関係をやみくもに否定していればいいだけではありません。

  被告の立場からも、被告の主張する事実関係が真実であり、法的にも正しいことを積極的にアピールして、裁判官を説得しなければなりません。

  受け身の立場で原告の言い分に言い返すだけではなく、被告からもしっかりと言い分を主張していきましょう。

  例えば、

・原告が要求する離婚を否定したい場合は、被告の立場からすると夫婦が円満だったという事情、原告が身勝手な理由で別居を開始したという事情、証拠(仲良く過ごしている写真、別居直前の原告とのLINEやメールのやり取りなど)を積極的に主張していく。

・原告が要求する慰謝料を否定した場合は、被告の立場からすると逆に原告が被告に対して暴力を振るったり精神的虐待に及んだりしていた事情や証拠(診断書、暴力跡の写真、録音や録画など)を積極的に主張していく。

など被告からも自分自身に有利な事実や証拠を積極的に出していきましょう。

 

  最後に、上で解説した第1回の裁判の期日(口頭弁論期日)を欠席する場合、必ず、答弁書の最後に

「なお,第一回口頭弁論(令和元年7月●日(●)午後1時15分)は欠席いたしますので,答弁書を擬制陳述いたします。」

と記載しましょう。

  こちらを記載すれば、裁判所も被告は初回欠席することがわかり、スムーズに第2回の期日の日程調整などの準備をすることができます。

3 できる限り早めに弁護士に相談しましょう。

 以上の通り、裁判所から離婚裁判(訴訟)に関する書類が届いた場合の対応を解説しましたがいかがでしょうか。

 なお、無料相談で構わないので、裁判(訴訟)が提起された場合には、できる限り早めに弁護士に相談することを強くお勧めします。

 調停は話し合いの手続きですが、訴訟は裁判所が法律を用いて判決(ジャッジ)を下す手続きです。

 そのため、あなたの主張が法律的に正当であることを裁判官を説得していく作業になります。

 そして、最初に提出する答弁書や準備書面というものは、裁判官にとって、事案の見通しや進行を決定づけるもので非常に重要です。

 離婚裁判(訴訟)の初期段階でつまづいて、その後挽回することはいくら優秀な弁護士でも非常に難しくなってしまいます。

 そこで、できる限り早めに弁護士に相談し、弁護士に依頼するか(依頼した場合は弁護士が答弁書を作成します。)、依頼しない場合でもどのような戦略で進めるのかアドバイスを受けた上で、実際に答弁書の作成などに着手することを強くお勧めします。

弁護士のホンネ

 裁判所から書類が来るとギョッとしてしまいますよね。

 過去のお客様でも、訴えられた瞬間、そのことで頭が一杯になり、仕事にも手がつかなくなったり、夜も眠れなくなったり・・・などとの声をよく聴きます。

 もちろん弁護士に依頼するか相談するかなどはお客様の完全な自由です。

 ただし、3でも書きました通り、弁護士に相談するだけでかなり不安も軽減できますし、自分のやることに集中できるので、本当にお早めのご相談をお勧めしております。

 

>弁護士法人プロキオン法律事務所

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