離婚を回避するために必要な、「婚姻関係修復のための努力」とは?

弁護士

プロキオン法律事務所(https://rikon-procyon.com/)(横浜で離婚に特化した法律事務所として2015年に設立。翌年東京にも事務所開設。)の代表弁護士の青木です。離婚や男女問題に特化した弁護士として、年間200回以上の離婚調停や裁判に出席しています。
(弁護士 青木亮祐 /プロキオン法律事務所 代表弁護士)

今回は、離婚裁判で重視される、「婚姻関係修復のための努力」について解説をします離婚を争う場合に重要なことですので、どうぞ最後までお読みください。

1 別居をしても「婚姻関係修復のための努力」があれば離婚は認められない

3年から5年の長期の別居期間があれば、不貞や暴力がなくとも、離婚が認められることについては、これまで何度か説明をしてきました。

長期の別居期間があることによって、「婚姻を継続し難い重大な事由」があるとされ、離婚が認容されるためです(民法770条1項)。

一方で、婚姻関係を修復させるための努力が認められる場合は、一定の別居期間があったとしても、「婚姻を継続し難い」状況にあるとまでは言えず、離婚を回避できる可能性があります。

逆に、そうした関係修復のための努力がない場合は、離婚がより一層認められやすくなります。

(名古屋高裁令和3年11月17日判決 ウエストロー・ジャパン搭載)

・・・別居し,現在まで6年以上を経過していること,その間,控訴人は離婚訴訟(前訴)の提起や婚姻費用減額調停の申立てを,被控訴人は婚姻費用増額調停の申立てをしているが,控訴人と被控訴人との婚姻関係の修復に向けた話合いなどはなく,双方とも婚姻関係を修復するような行動等を取っていないことからすると,現時点において控訴人と被控訴人との婚姻関係は既に破綻していると認められる。

裁判においても、別居期間を中心に離婚の是非を判断される場合、この「婚姻関係修復のための努力」があるかどうかも審査されるのです。

そこで、今回は、具体的にどのような行動が「婚姻関係修復のための努力」となるのか、説明します。

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2 具体的な婚姻関係修復のための努力

(1)手紙の送付

関係修復に向けた、気持ちのこもった手紙などを送付した事実があれば、婚姻関係修復のための努力の一つとして認められます。これまでのお互いの行動を反省し、一緒に将来を共にするために話し合いたい、そうした趣旨のものであれば、客観的にも関係修復のための努力とみなされるでしょう。

注意点としては、相手の非をあげつらうなど、関係をむしろ悪化させかねない表現を盛り込まないことです。また、自分の過去の行動を反省しすぎると、そうした問題があったことを自認する資料として、相手側に逆に活用されてしまうリスクがあります。内容については注意が必要です。

また、手紙を送った、送ってないなどと争いになる可能性がありますので、送る前に、その便箋を切手を貼った封筒と一緒に写真に収めるなどもして、証拠に残しましょう。

(2)プレゼントの打診

結婚記念日、相手の誕生日、クリスマス、そうした記念日にプレゼントの打診をするのも有効です。もちろん、実際にプレゼントを送れればベターですが、相手の気持ちによっては受け取ってくれないかもしれません。

とはいえ、プレゼントの打診自体、関係修復のための努力の一環とみなされますので、行わないよりははるかに良いと言えるでしょう。

(3)マメなメール・ライン連絡

相手との連絡を途絶えると、それだけで婚姻関係修復の意思なしと見做される可能性があります。実際、そうした効果を狙って、「今後の連絡は弁護士宛に」と言ってくる相手側の弁護士もいるかもしれません。

しかし、そうした行動に屈さず、弁護士経由でも良いので、連絡を試みることをお勧めします。相手に弁護士がついていても、「寒くなってきたので、体調を崩していないか心配です。」「また直接話し合いができる機会を設けられればと思うので、その旨伝えてください。」などといった内容を定期的に送るのも良いでしょう。実際に、それによって直接の話し合いが実現して、関係修復に至れる可能性もゼロではありません。

(4)夫婦カウンセラーの利用

夫婦カウンセラーを利用するというのも一つです。

これは、夫婦が一緒に相談をしたり、別々に相談するケースがあります。離婚弁護士とは異なって、関係の修復に特化したプロたちですので、相談をしてみると良いと思います。

当初はこちらが単独で相談をしていても、配偶者が応じてくれる場合は、その夫婦カウンセラーは配偶者とも話をしてくれます。そうして、対面では言いづらかったり、口下手でうまく改善を図れなかったケースでも、夫婦カウンセラーを入れることで関係が修復されることがあります。

弁護士を入れて離婚には応じられない旨の法的な対応をする一方で、関係修復のためには夫婦カウンセラーを活用するという方法が実際にも行われています。実際に成果が出ることもあります。

そして、もちろんこうしたカウンセラーを利用していた事実も、婚姻関係修復のための努力とみなされます。

(5)円満調停の申立て

裁判所での調停は、離婚に向けたものだけでなく、関係修復のための円満調停というものもあります。

円満調停については、こちらの記事もご参照ください。

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離婚調停を申し立てられた場合に、この円満調停を申し立て返して、関係修復のための努力を残す試みも見受けられます。しかし、円満調停は申し立てればそれで良いというわけではなく、その手続きを使って、具体的に関係修復のための道のりを提案していくことが重要です。

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3 注意点

以上、裁判で「婚姻関係修復のための努力」と認められやすい行動をご紹介しました。

一方で、こうした行動をとる前に、関係を阻害するようなことを避ける必要もあります。例えば、婚姻費用を支払わなければならない側であれば、きちんと支払いましょう。具体的な金額が決まるまで支払わないケースもありますが、関係の修復を図るのであれば、仮の金額でも良いので、ひとまず支払いを行うべきです(婚姻費用調停も係属していれば、後から過払いや未払いがあれば精算することになります。)

また、子供との面会交流が婚姻関係修復のための努力として主張されるケースがありますが、それはあくまでも子供との関係維持を図ったものとみなされ、配偶者との関係修復のための努力とは必ずしもみなされません。関係修復を図る場合は、子供に手紙やプレゼントを送る場合、配偶者自身にも気持ちが伝えられるものを送るよう心がけることをお勧めしたいと思います。

今回の弁護士からのアドバイス

相手が離婚を求めているとき、離婚を回避したい場合は、、、

☑️手紙の送付、プレゼントの送付打診、まめな連絡、夫婦カウンセラーの利用、円満調停の申し立てといった、婚姻関係修復のための努力をしましょう!

☑️関係阻害を避けることも考えよう!婚姻費用を支払わなければならない立場であれば、具体的な金額が決まる前に仮払いを行うなどしましょう!

☑️子供との関係維持のための面会交流は、必ずしも婚姻関係修復のための努力とはみなされない可能性があるので、注意しましょう

弁護士の本音

弁護士 青木
弁護士のホンネ

今回お伝えしたのは、裁判で離婚を請求されたとき、離婚を回避したい側が主張すべきポイントとなりますので、別居後に具体的な行動を行なっておく必要があります。実際に、こうした行動によって関係が修復された例は確かに見られます。ただ、実際に調停や裁判にまでフェーズが進んでいる場合、それを主導する相手側の離婚への意向は極めて強いものです。したがって、実際に行動をとったとしても、関係修復にまで至る割合は決して高いとは言えません。

とはいえ、関係修復に至った事例も確かに存在しますので、今回お伝えした内容が、皆様の夫婦問題解決のお役に立てましたら幸いです。

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