面会交流や親権・監護権などに大きな影響のある調査官調査ってナニモノ?

横浜駅の弁護士の荒木です。

 

家庭裁判所の調停や審判などで、子どもに関する事件について、家庭裁判所調査官という方がお子様の状況について調査をすることがあります。

 

この、面会交流や親権・監護権などを裁判所が決めるにあたって、調査官の調査というものが非常に重要な意味を持つのです!

 

でも、裁判官や調停委員ならともかく、とにかく馴染みの薄い庭裁判所の調査官ってナニモノなのでしょうか?

 

そして、調査官は、いったいどのようなことを調査するのでしょうか。

 

1.家庭裁判所調査官とは?

 

 

まず、家庭裁判所調査官とはいったいナニモノなのでしょうか?

 

簡単にいうと、家庭裁判所調査官とは、家庭裁判所で働く国家公務員(官僚ですね。)で、法律のプロフェッショナルである裁判官とは違い、児童心理学や教育学などの試験や研修を受けた家庭問題・児童問題のエキスパートです。

 

それで、こういった専門的な知識・能力を持つ調査官が、離婚に伴う親権・面会交流などの事件や、少年犯罪の事件で、適宜、調査を行って、裁判官に大変参考になる情報を提供する役割を担っているわけですね。

 

なお、裁判所のホームページによれば

 

家庭裁判所は,夫婦や親族間の争いなどの家庭に関する問題を家事審判や家事調停,人事訴訟などによって解決するほか,非行を犯した少年について処分を決定します。いずれも法律的な解決を図るだけでなく,事件の背後にある人間関係や環境を考慮した解決が求められます。

家庭裁判所調査官は,このような観点から,例えば,離婚,親権者の指定・変更等の紛争当事者や事件送致された少年及びその保護者を調査し,紛争の原因や少年が非行に至った動機,生育歴,生活環境等を調査します。

(引用元:http://www.courts.go.jp/saiyo/message/tyousakan/

 

とのこと。

 

うーん、わかるような、わからないような説明ですね。

 

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2.調査官調査っていったい何をするの?

 

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それでは、調査官は、いったい具体的に、どのような調査を行うのでしょうか?

 

個々の事件によって差はありますが、おおむね下記のような形で調査が行われます。

 

当事者へのインタビュー

妻・夫の両方に、個別に、職業や収入、生活のリズム(何時に出社して何時に帰宅するとかね、)などが聞かれます。

 

それと、特に親権が争いになっている事案では、子どもとの関係や、子どもとの生活歴、これまでの監護実績(ご飯はどっちが作っていたか、お風呂やトイレはどうしていたのか、保育園などの送り迎えはどちらが行っていたのか)を根掘り葉掘り聞かれます。

 

しっかりと答えられるよう準備をしましょう。

 

家庭訪問

子どもが住んでいる自宅を訪問し、子どもと親のふれあいの様子やその関係、子どもの健康状態・精神状態から、自宅の間取りや生活環境までチェックします。

子ども部屋があるのかや、どれだけおもちゃがあるかなどについても目を光らせるようです。

 

子どもとの対話

調査官が家庭訪問の際に直接話しかけたり、一緒に絵を描いたり、遊んだりして、コミュニケーションをとります。

子どもの発達具合や精神状態をチェックするという意味合いがあります。

家族の絵を書いてといって、子どもに書いてもらうということもあるようです。

 

なお、子どもの年齢が小さいと、両親の別居・離婚や、どちらと一緒に住みたいかなどセンシティブなことは聞かれません。

 

小学校・幼稚園・保育園などの訪問

小学校・幼稚園・保育園などに訪問して、担当の教諭に、子どもの様子や心身の状態について聞き取りを行うこともあります。

ただし、これはあくまで補助的な意味合いであることが多いです。

 

このように、調停や審判の合間に、家庭裁判所調査官が調査を行い、調査報告書を作成します。

 

裁判官は、この調査報告書に目を通して、親権・面会交流などについて判断を下すという構造をとっているのです。

 

その際、裁判官は、家庭問題のエキスパートである調査官の調査結果を、非常に非常に尊重します(裁判官は家裁に長くとどまる方は少数派で、どうしても家庭問題の経験が長い調査官に対して遠慮もあるのです。)。

 

ですから、調査官の調査が、ものすごく重要な意味を持つわけですね。

 

弁護士のホンネ

私は、調査官が調査を行う際、お客様の家庭訪問やインタビューなどには必ず同席するようにしています。

調査官が、個別の事件に対して、どのような見立てや問題意識を持っているのかわかりますし、単純に勉強になるからです。

なお、調査官は確かに家庭問題のプロフェッショナルですが、多忙なこともあり、家庭訪問など子どもと直接触れ合う時間はわずかであり、数日にわたって調査をすることなど通常ありません。

子どもやその親の一生を左右する非常に重要な事項を調査するのですから、もう少し時間と手間をかけて調査を行ってほしいと弁護士として思うのですが、これはわがままなのでしょうか。

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