別居した妻から児童相談所に虚偽の虐待申告をされた時の対処法

別居した妻から児童相談所に虚偽の虐待申告をされた時の対処法

妻が子供を連れて別居しました。しかも、別居直後に児童相談所に子供の虐待の相談をしたのです。全てデタラメです。どうすれば良いのでしょうか。

残念ながら、このような男性側の相談は実際に存在します。

子供を連れて別居をした妻が、別居をした後に、児童相談所に子供の虐待相談をするという歪な事態です。しかも、実際には虐待と呼べるほどの問題は認められないケースです。

なぜ、妻はあえて別居後に、虚偽の虐待相談を児童相談所にしたのでしょうか。そして、それに対して夫はどのような対応を行うべきなのでしょうか。以下、弁護士が解説します。

※なお、今回の記事は、子供を連れて別居をした妻が虚偽の虐待相談を児童相談所にした場合の話であり、実際に夫から子供が虐待をされていたケースを想定したものではありません。子供が親から虐待を受けていたというケースも確かに存在しますが、それはまた別の議論になります。

※また、児童相談所ではなく、区役所の女性福祉相談や、警察の生活安全課に虚偽の相談をする場合があります。次に述べますように、いずれも考え方は同じです。

1 児童相談所へ虚偽の相談がなされた理由は?

もし、別居をした妻が、虚偽の虐待相談を児童相談所(あるいは区役所の女性福祉相談、警察の生活安全課など)に行ったとすれば、その理由として考えられるものはいくつか存在します。

①一方的な別居ではないことを証拠化するため

まず、一方的な別居ではないことを証拠として残すためということが考えられます。

夫婦には同居義務が存在しますので(それほど強い義務ではありませんが)、正当な理由なく一方的に別居を強行した場合、妻に責任が生じてしまう可能性があります。もし妻が離婚を希望する場合、それは離婚を認めてもらうための障害になり得ます。

そのため、妻としては、別居することはやむをえないことだった」ことを証拠資料として残すため、児童相談所に虚偽の相談をしたという可能性があります(児童相談所に相談をすれば、児童通告書や相談記録が残ります。)。

②離婚事由を作るため

別居して月日が経過していない場合、妻がどれほど離婚をしたい場合でも、夫が応じなければ、離婚することは容易ではありません。民法上、不貞行為や悪意の遺棄といった、法定離婚事由がある場合であれば離婚は可能ですが、それがない限りは、3年から5年といった長期の別居期間がなければ、離婚はできません。

そのため、子供が暴力を受けていたとか、自分も暴力を受けていたという事実を作り上げるため、児童相談所(または区役所の女性福祉相談や警察の生活安全課)に相談をし、相談の事実を証拠として残す(そうした虐待が存在したことを証明する資料にする。)ことを試みた可能性があります。

児童相談所へ相談をすれば、「児童通告書」や相談記録が残り、のちに裁判手続きになった場合に証拠資料として提出することができます。相談先が役所の女性福祉相談であれば、「女性福祉相談票」、警察の生活安全課であれば、「生活安全相談処理結果票」や「配偶者からの暴力相談対応票」を提出することができるようになります。

虐待や暴行が同居時に存在したということであれば、別居期間がほとんどなくとも、離婚が認められる可能性は飛躍的に高まりますつまり、こうした資料を取得しておくことにより、離婚を認められやすくしようと図ったことが考えられるでしょう。

③ 親権取得・面会交流拒否のため

別居をする際、子供を一方的に連れ去った場合、その連れ去りが違法とされると、子供の親権を取得できない場合があります。

そのため、子供を守るための別居であることを示すために、また、今後の親権争いを勝ち取るために、そうした虚偽の虐待相談を行った可能性があります。

また、別居後、夫が子供との面会を求めてきた際、虐待があったという建前であれば、面会交流を拒否しやすくなります。夫と完全に縁を切りたいと願うケースでは、十分にありうる話です。

④ 慰謝料取得のため?

相談者の中には、妻は慰謝料などのお金欲しさのために、このような虚偽の相談をしているのかと怪しむ方がいます。しかし、慰謝料取得のために児童相談所などに虚偽の相談をしたという可能性は低いと考えられます。

というのは、やはり虚偽の虐待相談やDV相談は、そもそも良心に反するものですし、最悪の場合なんらかの法的責任を負うリスクを伴うものです。したがって、お金のためだけに行うとは考え難いところです。

虐待やDVが認められてしまったとしても、それにより発生する金額は200万円程度が相場です。そのため、嘘をついてまで公的機関に相談をしたとすれば、それは、離婚や親権取得など、より人生を賭けたものが動機と考えられます。

2 夫が取るべき対処法

夫が取るべき対処法

では、本当に夫は子供への虐待をしていないにも関わらず、それがあったという虚偽の相談を児童相談所などにされてしまった場合、夫はどのように対応をすべきでしょうか。

① 真実に則り、真摯な対応を!

まず、子供へ虐待をしていないということであれば、真摯かつ誠実に関係各所に対応しましょう。
もし児童相談所から呼び出し要請があれば、しっかりとそれに応じて、謂れなき申し出に対して毅然として対応をし、真実を話してください。
また、妻の相談記録がのちに裁判所に提出されることを懸念するかもしれませんが、虐待相談が別居後であるなど、不自然な部分があれば、そうした点は裁判所も見過ごしません。裁判官も、しっかりと違和感を感じてくれるはずです。

単に第三者に相談した事実がある、というだけで裁判所は虐待や暴行の事実を認定するわけではありません。冷静になって、関係各所に対しては真実を述べ、毅然として対応をするように心がけましょう。

② 虚偽の申告であることを証明するための証拠収集

一方で、こうした申告が虚偽なのであれば、それが虚偽であることを示すための証拠資料を収集しましょう。そして、一方的に別居をし、しかも妻が虚偽の被害を児童相談所などの関係各所に相談をしたことは、妻による違法な行為であるといった主張をできるようにしておきましょう。

一方的な別居と虚偽の被害申告により、妻の違法行為が認められれば、妻こそが有責配偶者とみなされる可能性も出てきます。

もし、妻こそが有責配偶者だと認められそうになれば、離婚を当面回避できたり、離婚をする場合の条件面において、有利に話し合いを進められる可能性も出てくるでしょう。

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残念ながら、児童相談所に虚偽の被害申告をする配偶者というのは存在するようです。ただ、全くの虚偽というよりは、他方配偶者側の些細な行動をことさらに問題化して、自身の離婚問題に有利に働かせている場合も多いように思います。

本文では、虚偽の被害深刻である場合は、妻こそが有責配偶者とみなされる可能性があることをお伝えしましたが、実際の事例でそこまで認定されたケースは乏しいです。また、夫は妻に婚姻費用を支払わなければならないケースが多く、裁判に至る前に、離婚に応じて経済的負担を和らげる選択をとる方もいらっしゃるでしょう。

自身の中で、何を最も優先したいのか(自分の名誉か、子供の利益か、経済的利益かなど)、そこを明確にし、対応を検討するのが良いと思います。また、自身の考えを整理するためにも、専門家に相談されることをお勧めしたいと思います。

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