離婚時の年金分割|分割割合は有利にできる?

さて、あなたは今離婚に向けて別居中の奥様と協議をしている段階にあるとします。

婚姻費用を払い続けながら別居を続け、ようやく離婚の条件としてまとまったお金と財産分与。そして今後の養育費の金額が決まった。離婚の話もようやく終わりかと思いきや、妻に要求されたのが、年金の分割。

 

いったいどこまで結婚というのは働く男性に不利な制度なのか。あなたはそう思うかもしれません。でも、そう嘆いていてばかりいても仕方ありません。年金分割の制度がどういうもので、実際にどう運用されているものなのか。そして自分にとってどんな不利益があるのか、それを見ていきましょう。その上で対応方法を考えても遅くはありません。

1.年金分割の制度とはこんなもの

年金分割という言葉を聞くと、あたかも将来自分が受け取ることのできる年金がそのまま元妻に分割されてしまうという風に考えがちです。それは反面正しいですが、不正確といえます。

年金分割というのは、厚生年金と共済年金の保険料納付記録の分割を言います(厚生年金保険法78条の2ないし21)。つまり、婚姻期間中に厚生年金(又は共済年金)の保険料を納めた実績を分割するものです。したがって、厚生(共済)年金保険料の納付実績の分割と定め直した方が、内容を理解しやすいと思います。

あなたが将来もらえる年金がそのまま分割されるのではなく、あくまでも婚姻期間中に納めた年金保険料の実績を分割するだけです。したがって、年金保険料を納めている期間(社会に出て就業している期間)の方が、婚姻期間より長いということになれば、将来元妻に年金が半分持って行かれるということはありません。

2.年金分割の概要

さて、年金分割制度についてもう少し具体的に見ていきましょう。
巷に情報があふれていますが、どれもわかりやすいとは言えません。が、ここではっきりと分かりやすく説明しますのでご安心ください。

この制度は、主に二つに分かれます。
①3号分割、そして②合意分割というものです。
通常、②→①の順番で説明されることが多いですが、①→②の方が断然わかりやすいです。①に該当しない場合は、②を考慮するというのが基本ですから。

さて、①「3号分割」は、法律上当然に分割割合が半々になるもの。 国民年金の第3号被保険者が対象となっているため、このように呼び方がなされます。
一方、②「合意分割」(2号分割)は、夫婦間の合意や調停、審判で分割割合を決めるものです。

どのような場合に、①や②に該当するのかを次に説明します。

  1. 「3号分割」は、妻が国民年金の第3号被保険者である場合ですから、要するに、専業主婦の場合ですね。数字で言えば、妻の年収が130万円未満の場合です。
    この場合、婚姻期間中に夫婦双方が納めた厚生年金保険料の合計実績が自動的に半々に分割されてしまうわけです(ただし、離婚後に年金事務所にて手続をする必要があります。)。分割されるのは、法律ができた時期の関係上、2008年4月以降の期間の部分に限られます!ここにぜひ注意してください。したがって、それ以前の部分については、当然、自動的に半々に分割されるのではなく、合意や調停によって(つまり、次に述べる合意分割によって)、それとは異なる割合にする余地が残されています。
  2. 「合意分割」(2号分割)は、夫婦が共働きで、妻が130万円以上の年収がある場合についてですね。こういう場合は、2008年3月以前の分も、2008年4月以降の分も含めて、合意や調停、審判によって分割割合を決めることになります。

ひとまず以上の概要を理解しておけば良いでしょう。なお、分割の請求が認められるのは、離婚してから2年間です。

3.裁判所では実際にはどう運用されている?

裁判所の運用がどうなっているのかが一番大事な点です。
法律上は、上記の②「合意分割」に関しては、柔軟に分割割合を決められることになっています。夫婦間で離婚の際に協議する場合は、こちらが望む分与割合を念頭に、主張すべき点は主張して良いでしょう。

ただ、裁判所では、本当にほぼ画一的に、半々、つまり5割ずつで処理されています。どんなに婚姻期間中、自分が命を削って残業して稼いで、一方で妻はほとんど家事もせず家でだらだらしていただけだなどと主張しても、取り扱ってくれません。
私も裁判官から、「これはもう、社会福祉制度の問題ですから」と述べられたことがあります。そうです、裁判所は、この年金分割を、純粋な財産分与制度とは別物と扱っているのです。あくまでも、社会保障制度の枠組みの中で、裁判所が分割割合を決める役割を担っているということです。そして、将来の老後生活の保障の観点から、裁判所によって分割割合はほぼ5対5と扱われています。

4.分割割合を争う余地は?

したがって、合意分割をする際の分割割合については、いわゆる財産分与の場合よりも、5対5以外の割合にすることに関してはハードルが高いと言えるでしょう。
平成20年10月22日の東京家庭裁判所での審判では、約30年間の婚姻生活のうち、13年間別居状態であったことを前提としても、分割割合は5割とすべきと判断されました。通常の財産分与であれば、別居時の財産が基準になりますから、別居後の資産は分与対象になりません。しかし、この審判例は、年金について、5割以外の割合にする場合は、「特段の事情のない限り」は認められないとしました。全婚姻期間中、その3分の1が別居であっても、特段の事情にはあたらないというわけです。
この審判例によって極めて高いハードルが設置されてしまったことは否定できないでしょう。

ただ、社会保障制度とはいえ、当然、「婚姻制度に対する信頼を揺るがさない程度に」という制約はあるはずです。
実は、元夫から元妻に対する分割請求の事件で、平成25年10月1日東京家庭裁判所の審判では、婚姻期間50年のうち、主に元妻の収入で家計が30年間維持されていたことをもって、分割割合を3割としました。このように、分与割合を変更できる場合もあります。

なお、上記の事件では、元妻が元夫が作った借金のために家計のやりくりに相当苦労したことや、一定の時点以降は主に元妻の収入で生活を行っていたことなどが挙げられています。
しかしながら、逆に、妻の借金のために苦労をした夫や、主に夫の収入で家計を維持しているというケースは無数にあるはずです。これがもし、元妻から元夫への請求であった場合、同じ判断がなされたのかどうか。非常に疑問ではあります。

弁護士のホンネ

調停手続において、調停委員さんや裁判官は、この年金分割割合について、5対5以外の主張をしようとすると、非常にイヤーな顔をするんですよね。彼らのホンネとしては、どうせ裁判になっても5対5だよ、あまり無駄な争いを持ち込んで事件をややこしくしてほしくないな、ということがあるのでしょう。
ただ、実際、裁判官も調停の事件をどこまで詳しく把握しているのか、非常に疑問です。裁判官も調停委員会の一人ですが、調停の場においては、ほとんど出てきません。それは、裁判官が少ないというのが一つの理由です。つまり、裁判官が一つ一つの調停事件に十分に時間をかけているわけではありません。事件の内容について、十分に検討しているとは言い難いのです。
また、調停委員は法律の専門家ではありません。あくまでも一般市民の一人として、中立的な第三者として仲裁をしようとする立場です。調停手続きでは結局、裁判ではどうなってしまうか、自分で判断をしてリスクを取らなければならないということに、注意をしなければならないですね。

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