「子供のために貯めていた預貯金があるけどこれは財産分与の対象になるの?」
「子供がお小遣いを貯めたお金は?」
など子供のお金についてそれが財産分与の対象になるのか疑問に思う方もいらっしゃると思います。
そこで今回は、
・子供のお金は夫婦の財産分与の対象になる?
・財産分与の対象にならないものは?
・財産分与の対象となるものは?
についてお話させていただきます。
子供のお金も離婚時の財産分与の対象となる?
財産分与は、簡単に言えば、婚姻から離婚(別居)までに夫婦で形成してきた財産を離婚時に原則として2分の1ずつの割合で分与するというものです。
では、夫婦の収入を原資として、将来子供のためにと夫婦で貯めていた預貯金は?子供のお年玉やお小遣いは財産分与の対象となるのでしょうか。
以下で詳しくお話していきます。
財産分与の対象とはならないものはこれ!
子供が小さい頃から毎年コツコツ貯めてきたお年玉や毎月のお小遣い、これは元を辿れば親のお金が原資となっているし、財産分与の対象になるのでしょうか?
いいえ。夫婦の収入が原資となっている場合においても、子供に対する贈与の趣旨で渡したものについては、あくまでも子供の資産です。
そのため、子供のお年玉やお小遣いは離婚時の夫婦の財産分与の対象とはなりません!子供からしたら勝手に自分のお年玉やお小遣いを親が分けたらたまったものではありません。
弁護士の荒木です。今回は、財産分与についてお話しさせていただきます。離婚することになったけど夫にはろくに財産なんてないし、財産分与はなしでいいか・・・離婚を考えている妻の中にはこのような人は結構いると思います。[…]
裁判例でも、子供名義の預貯金について、子供に対する贈与の趣旨としてなされたと認めるのが相当であるとして、財産分与の対象とはならないと判断した例(鷹松高判平9・3・27家月49巻10号79頁)があります。
贈与によって、純粋に子供自身のお金になっているといえるかどうかが重要になります。
財産分与の対象となるものはこれ!
では、財産分与の対象となるものは何があるでしょうか。
財産分与の対象にならないのが、贈与等によって子供自身の資産といえるものなので、逆に言えば、あくまでも子供ではなく夫婦の資産と言えるようなものについては、夫婦の資産として財産分与の対象となります。
具体的には、夫婦が子供のためにと貯めていた預貯金などは財産分与の対象となります。子供のためのお金ですが、あくまでも夫婦がその収入を原資として貯めていたものであって、子供自身の資産ではなくあくまでも夫婦の共有財産となります。
そのため、例え子供名義の銀行口座で貯めていたものでも財産分与の対象となります。
他には、児童手当や出産祝いとして受け取った金額等についても、子供のためのお金ではありますが、子供自身の資産ではではなく、夫婦の共同財産として財産分与の対象となります。
まとめ
・子供のためのお金でも財産分与の対象となるものとならないものがある!
・お小遣いやお年玉、アルバイト代など純粋に子供の資産と言えるものは財産分与の対象とならない!
・子供のために夫婦で貯金していたお金は、あくまでも夫婦が形成した資産のため、財産分与の対象になる!
財産分与の対象となる夫婦の共有財産と言えるかという問題については、子供に対して贈与した場合だけでなく、夫から妻に贈与したような場合も該当することになります。
そのため、夫婦関係が円満だった際に、妻の誕生日プレゼントにあげたアクセサリーなどは妻自身の特有財産として財産分与の対象とはならない可能性があります。
ただ、裁判例によれば、夫から妻に対して贈与した妻名義のゴルフ会員権について、夫が贈与税を支払っていたからといって、妻の特有財産とみなすことは相当ではないとして財産分与の対象とした例(東京高判平7・4・27家月48巻4号24頁)もありますので、贈与したものが財産分与の対象となるかどうかは、資産形成の趣旨・目的などから個別に判断する必要があるでしょう。