

など、養育費について子供に不利な内容で合意している場合もあります。
このような場合、親の取り決めた内容に従わなければならないのでしょうか?
そこで今回は、
・養育費の不払い合意は有効?
・子供からも養育費の請求ができる?
・養育費の一括払いはできる?
についてお話させていただきます。
1 養育費を支払わないという合意って有効なの?
父母は、別居や離婚後も子供に対して扶養義務を負います(民法877条1項)。
この義務の履行のために監護親から非監護親に請求するものが、養育費(民法766条)と言います。
では、父母間で「養育費はいらない!」という内容の合意をした場合、その合意は有効と言えるのでしょうか。
いいえ。監護親の養育費請求は、子供の扶養請求権に依拠しているので、例え子供を監護する親権者であっても勝手に処分することは許されず(民法881条)、養育費を放棄する合意は無効となります(名古屋家審昭47・3・9家月25巻4号59頁)。
2 子供からの養育費請求はできる?
上でお話したとおり、父母同士で勝手に養育費を請求しないなどといった合意をしても無効となります。
父母同士で合意をしたからといって、子供に対する扶養義務を免れることはできないのです。
では、監護親が養育費を請求しない場合どうすればいいのでしょうか?
その場合には、子供が、自分自身の権利として、非監護親に対して養育費の請求をすることができます。
これは、父母間で「養育費の請求をしない」という養育費の不払合意があった場合のみならず、養育費の金額が不当に低額である場合でも同様です。
養育費の金額が適正かどうかは、養育費算定表を参考に検討しましょう。
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3 養育費の一括支払いの合意はできるの?
上では、父母同士で勝手に養育費の不請求合意をした場合についてお話してきました。
それでは、父母が養育費を一括で支払うという合意をした場合はどうなのでしょうか。
養育費は、終期(通常子供が20歳になるまで)を定めて毎月一定金額を支払う方法が一般的です。
もっとも、当事者間に合意があれば一括支払いでの合意をすることができます。
この合意自体は有効ですが、その金額が不当に低額の場合には子供から改めて養育費の請求をすることができるでしょう。
なお、裁判例では、父が母に対して6歳の子供の養育費として1000万円を一括で支払い、将来相互に金銭請求をしないという合意をした事案で、後に母から養育費は私立中学卒業までの学費・塾代等で使い切ったとして新たに養育費を請求したという事案があります。
裁判所は、私立に進学する場合に養育費を使い切ることは容易に予測可能であったとして、養育費のさらなる請求を認めませんでした(東京高決平10・4・6家月50巻130号30頁)。
このように、一度取り決めた金額を後から変更することは、予測が困難な事情の変更が必要となってきます。
父母間で一括払いの合意があった場合、その金額は不当に低額となっていないか、合意当時に予測ができなかった事情の変更がないかについて検討しましょう。
まとめ
・養育費を請求しないという合意は無効!
・子供からも養育費の請求はできる!
・養育費の一括払いは有効だけど不当に低額ではないか検討しよう!

養育費は、あくまでも子供のための権利であって親が勝手に制限していいものではありません。
子供の充実した生活のためにも、親は子供の扶養義務を全うすべきといえます。