離婚で不動産を財産分与せずに済む方法とは?弁護士が解説

離婚であなたを守り切る。横浜プロキオン法律事務所
離婚で不動産を分与せずに済む方法
【目次】
1.不条理な財産分与制度?
2.不動産の財産分与をうまく回避する方法は?
① 不動産を結婚前に購入済である場合
② 不動産の時価がローン残高を下回る場合
③ 不動産の頭金の支払いの際、自分の両親が援助してくれた場合
【弁護士のホンネ】

1.不条理な財産分与制度?

 財産分与。一生懸命働いて築き上げた財産分与でも、現在の判例や裁判所の運用上、妻が専業主婦であったとしても、汗水流して築き上げた財産のうち、2分の1に当たる部分は、離婚時に渡さなければなりません。

 2分の1だなんて!自分が夜遅くまで働いで稼いだもので、妻は家事すら十分にやっていなかった!納得がいかない!

 こんな声を本当に良く聞きます。そして、ケースによってはごもっともなことも多くあります。機械的に分与割合を2分の1とする制度が今後も続くとなれば、結婚とは「戸籍を売る制度」に成り下がり、制度自体が信頼を失い、婚姻率はますます下がってしまうかもしれません。

 しかし、現に分与割合を2分の1とする制度下で裁判所が動いている以上は、この大枠に抗うのは得策ではありません。
 むしろ、現にある環境下で、いかに渡すべき財産を減らせるか。現在の環境下で最大限できることに焦点を絞って考えていきましょう。

2.不動産の財産分与をうまく回避する方法は?

 通常、あなたが持つ最も大きな財産が、不動産です。居住用だったり投資用だったりするでしょう。不動産を財産分与する場合は、売却してお金に変える。あるいはキャッシュがあれば、不動産はそのまま自分が承継して、妻にお金を渡す場合もあります。実務上は後者が多いです。

 しかし、不動産自体、もともと財産分与しなくてもよいケースや、財産分与額を飛躍的に抑えられるケースがあります。これをしっかり認識しておかないと、場合によっては数百万、1千万の損失に繋がりかねませんので、十分に注意しましょう。

 では、どのような場合に財産分与しなくてもよかったり、金額を抑えられるのでしょうか。

① 不動産を結婚前に購入済である場合

 不動産を結婚前に購入し、ローンもすでに結婚前に支払済であるケースです。この場合は、いわゆる特有財産として、財産分与の対象にはなりません。財産分与は、結婚してから別居までの間に築き上げた財産を分与するものです。夫婦は経済的に一体である、という一つの価値観が反映されているものですね。したがって、夫婦が一体となる前(つまりは結婚前)に取得した財産は当然、離婚時に分与する必要はありません。

② 不動産の時価がローン残高を下回る場合

 不動産の時価が残ローンを下回るケースです。つまり、オーバーローンの場合ですね。この場合は、不動産の価値がないとみなされます。財産分与とは、共に築き上げたプラス財産を分ける制度ですので、オーバーローンの場合は不動産が財産分与の対象から外れます。

 ところで、弁護士でも間違える方が多いのですが、ローン残高の方が時価より高い場合は、ローン残高と時価の差額を、他に分与すべき財産から控除させることができます。
 例えば、築き上げたあなた名義の財産として、預金300万円、時価1000万円の不動産、残額1200万円の住宅ローンがある場合を考えてみましょう。
 ここでは、ローン残高の方が200万円、時価より高いですね。したがって、不動産を財産分与の対象から外すことができ、さらに、預金の300万円から、ローン残高と時価の差額である200万円を差し引くことができるのです。結果として、財産分与の対象になる共有部分は、預金の100万円。財産分与として渡さなければならない金額は、さらにその2分の1の50万円です。
 何も考えないまま、300万円の預金の半分である150万円をポンと渡さないように注意しましょう!

③ 不動産の頭金の支払いの際、自分の両親が援助してくれた場合

 結婚後、二人の居住用として不動産を購入することは多いですね。そして、結婚祝いをかねて親御さんが頭金を出してくれるケースがよく見受けられます。
 財産分与のとき、自分の両親が出してくれた頭金の部分はどのように扱われるのでしょう。
 結論から言いますと、あなた自身の両親が頭金を出してくれたのであれば、不動産の時価のうち、「頭金額 / 全体の不動産購入額」の割合部分は、あなたの特有財産となります。

 金額で表すと、あなたの特有財産は、

不動産の時価×頭金額/全体の不動産購入額

という式で算出できます。
 したがって、例えば、不動産の購入額が4000万円、購入時の頭金が1000万円、不動産の現在の価格(時価)が3000万円だとすると、

4000万円×1000万円/3000万円=1333万

と計算できます。これがあなたの特有財産です。

 すると、財産分与の対象になる共有部分は、

(不動産の時価-特有財産)-ローン残高

で表されます。

 ローン残高を1500万円として、上の例を当てはめると、財産分与の対象となる共有部分は、

(3000万円-1333万円)-1500万円=167万円

と算出されます。

 そして、以上の金額のうち、相手に渡す金額(財産分与として渡す金額)は、

167万円×1/2(財産分与割合)=83万5000円

ということになります。

 どうでしょう?頭金をご家族の方が援助してくれただけで、相手に渡す金額をこれほど抑えられるのは、かなり驚きではないでしょうか。

 財産分与の対象となる財産一つ一つに、こうした思考が必要になってきます。緻密に計算をして、可能な限り、自分で汗水垂らして築き上げた財産を守りましょう。

【弁護士のホンネ】

 最後の③について、両親からの頭金援助は、夫婦二人への贈与であるから、分与の対象とすべきなどと主張してくる調停委員が時々います。こうした考えに、そうなんですね、と応じてしまうと、本当にそれまでです。ですが、ほとんどの運用では分与対象から外れますので、根気強く主張していきましょう。裁判例としてこういうのが現にある!というのを指摘すれば、調停委員も自らの考えを引っ込めることが多いですね。

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弁護士 青木 亮祐(プロキオン法律事務所)

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