今の夫婦生活に耐えきれず、別居を決意した時、最初に考えることは、「いつ」別居を始めるべきかということです。
タイミングによっては、財産分与・婚姻費用・養育費に差が出てくる場合があります。これは、数百万円から、数千万円の差に広がる可能性を秘めています。
そこで今回は、将来的に離婚を見据えた場合にいつ別居を開始すべきかということについて3つのポイントに分けて解説します。
給料の支給日の前
財産分与を行う場合、夫婦それぞれが別居日時点に有している財産を元に分与すべき金額を計算することが一般的です。
そのため、別居をする前に給与の支給を受けてしまうと、支給を受けた給与も財産分与の対象になってしまいます。
そのため、別居を開始する場合には、給与の受給日の前に行うことがお勧めです。
妻が職についたのを見計らって
別居を開始した場合、原則として離婚するまでの間、収入が高い配偶者からもう一方の配偶者に対して、婚姻費用(生活費)を支払う義務が発生します。
そして、婚姻費用は双方の収入を元に、算定表を利用して計算します。
そのため、妻が専業主婦の場合には、職に就いて、妻が一定の収入を得られるようになったタイミングで別居を開始することがお勧めです。
注意点としては、別居前に安易に婚姻費用(生活費)の支払い金額を約束しないようにしましょう。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
なぜこんなに婚姻費用にこだわるべきなのか。それは、対等な離婚協議を確保するためには、婚姻費用をできる限り抑えることが不可…
子供の大学進学前(できれば受験シーズン前)
夫婦の間にお子様がいる状態で離婚をすることになった場合、養育費を取り決める必要があります。
養育費も婚姻費用と同様に、原則として算定表を利用して計算します。
養育費には、お子様が公立校に進学した場合に掛かる学費等も含まれていますが、お子様が私立校に進学した場合、進学することに対して合意をしていたり、既に学費を支払っていたりすると、養育費に学費の一部を上乗せすることが認められてしまう可能性が高いです。
そのため、お子様を公立学校に通わせたいと考えているのであれば、お子様の進学について合意をする前のタイミング(受験シーズン前)に別居を開始することがお勧めです。
まとめ
- 別居のタイミングは、その後の離婚コストに大きく影響する場合がある!
- ①給料の支払日の前、②妻が職に就いたタイミング、③子供の受験シーズン前などがポイント!
- 別居の時期は慎重に検討の上、実施しよう!

離婚を前提に別居を開始する場合、タイミングによって財産分与・婚姻費用・養育費に差が出てくる場合があります。これは、数百万円から、数千万円の差に広がる可能性を秘めています。最悪の場合、資産をほぼ奪われるに等しい結果になることもあります。
したがって、別居のタイミングは離婚コストを抑える上で、極めて重要な問題とも言えます。
別居の時期は十分に検討し、不安がある場合には弁護士に相談することが良いでしょう。