調停委員ってどんな人たち?調停委員と上手に付き合うために

裁判所での調停手続きを行う場合には、調停委員という人たちが中心となって当事者双方から話を聞き取り、調停を進めていきます。
調停委員は当事者と並ぶ調停における主役の1人であり、その役割は非常に重要です。

この調停委員という人たちはどのような人たちなのでしょうか。
また、調停委員とうまく付き合い、調停を円滑に進めるにはどのようにしたらいいのでしょうか。

1 調停委員とは

調停委員とは、調停に一般市民の良識を反映させるため、裁判所によって選任された裁判所の非常勤職員です。
具体的には、原則として40歳以上70歳未満の人で、弁護士、医師、大学教授、公認会計士、不動産鑑定士、建築士などの専門家や、そのほか地域社会に密着して幅広く活動してきた人などが選任されます。
実際には、50代後半から60代の人がほとんどです。
職業としては、弁護士やその他士業の人が半分近くを占めています。

調停委員の年齢構成や職業構成などに興味がある方は以下のサイトをご参照ください。

公益財団法人 日本調停協会連合会

公益財団法人 日本調停協会連合会のサイト。調停委員はどんな人?。…

調停委員は、立場としては非常勤職員ですので、調停に出席すると手当てや日当などが支給されます(民事調停法第10条、家事事件手続法第249条第2項)。
しかし、その金額は高額なものではありません。
調停委員は、収入のためではなく、自己の専門的知識や良識をもって紛争の解決に協力し、社会に貢献したいという情熱をもって調停委員に応募し、裁判所に選任された人たちです。
そのため、多くの調停委員は、当事者の話を熱心に聞き取り、解決のための調整に尽力してくれます

1つの調停事件を、調停委員2人(家事調停の場合は男女1人ずつ)と裁判官1人の合わせて3人が担当します。
しかし、裁判官は同じ時間帯に複数の調停事件を担当しているため忙しく、調停の成立や不成立の時など、重要な場面でしか当事者の前には現れません。
当事者から話を聞き取ったり、ときには当事者を説得したりという作業はもっぱら調停委員の担当であり、裁判官は、調停委員からの報告をうけて当事者の主張や調停の進み具合などを把握することになります。
そのため、調停における調停委員は非常に重要な存在です。

2 調停委員と上手に付き合うために

このように、調停において非常に重要な存在である調停委員と上手に付き合うにはどのようにすればよいでしょうか。
大切なことは、以下の2点をしっかり意識することです。

①調停委員はどちらの味方でもない

当然のことですが、調停委員は対立当事者のどちらか一方の味方ではありません
調停委員は非常に熱心に話を聞いてくれますし、当事者の立場に寄り添った親身なアドバイスをしてくれることもあります。
しかし、調停委員はあなたの味方ではありません。
調停委員の言うことを全て鵜呑みにして盲目にその言葉に従ってしまうと、気がついたときには全て相手の言い分のみが通って、あなたにとって非常な不利な状況になってしまっていることもあり得ます

一方で、調停委員はあなたの敵でもありません。
調停委員があなたにとって厳しい意見を言ったり、相手の言い分のみを伝えきたりして、調停委員が敵であるかのように感じられることはあります。
調停委員はあなたの敵ではありませんので、調停委員がそのようなことを言う理由が何かあるはずです。
そのような時には、一度冷静になり、なぜ調停委員がそのように言うのかを考えてみることが大切です。
調停委員を敵のようにとらえて反発するだけだと、調停委員との関係が悪くなってしまい、本当に調停委員が敵になってしまうかもしれません。

②調停委員の目的は調停を成立させること

調停委員の目的は、何をおいてもまずは調停を成立させることです。
調停委員は、紛争を解決する手助けをしたいと考えて、ほとんど手弁当で調停委員の仕事を行なっている人たちですので、調停を成立させたいという気持ちを非常に強く持っています。
そのため、あなたが調停の成立に協力的な姿勢をみせることが、調停委員にとって大変好印象を与えることになります。
調停においては、自分の主張を全て押し通すのではなく、相手に譲れる部分は譲る姿勢をしっかり見せていくことが重要です。
ただし、調停委員の調停を成立させたいという思いに引きずられるあまり、譲ってはいけない部分まで譲歩してしまわないように注意することも必要です。

まとめ

・調停委員は離婚調停で不可欠な重要な存在
・調停委員は当事者どちらの味方でもないけど、関係は良好に保つことがベター!
・ただし、調停委員への印象を重視しすぎて下手な譲歩をしないことも大事
弁護士荒木
弁護士のホンネ

 今回は調停委員がどのような人たちかと調停委員との上手な付き合い方について説明をしました。
実際には、調停委員も人間であり、どんなにうまく付き合おうとしても、どうしても相性がよくないということもあるでしょう。
しかし、調停の途中で調停委員を変えてもらうことは、極めて例外的な場合(例えば当事者と親戚関係にある場合など)を除いてできません。
どうしても調停委員を変えたい場合には、調停を一度取下げて、再度申立てるというような方法を検討するほかないでしょう。

弁護士の無料相談実施中!


プロキオン法律事務所は、横浜駅徒歩6分渋谷駅徒歩7分の好アクセス。離婚・男女トラブルに関するご相談を60分無料で承ります。お気軽にお問い合わせください。

0120-533-284

チャットで相談予約

>弁護士法人プロキオン法律事務所

弁護士法人プロキオン法律事務所

弁護士法人プロキオン法律事務所(横浜・東京)は、離婚・男女問題に特化した専門事務所です。初回相談は60分無料で、平日夜間・土日も対応可で、最短で即日相談も可能です。あなたの、離婚に関するお悩みはプロキオン法律事務所(横浜・東京)にお任せください!