
離婚調停という手続きは、多くの方にとって初めて経験するものになると思います。
調停手続きの中で接することになる調停委員についても、初めて接点を持つことになる人物になるでしょう。
相談者の中には、調停委員の言っていることが正しいのかどうかわからない、調停委員に責められているように感じて辛い、といった方が多くいらっしゃいます。
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今回は、調停委員とのやり取りが辛い、この調停委員は嫌だと感じた方向けに、対応策をご説明いたします。
1 もう一度調停を申し立てし直す
前提として、一度、離婚調停が開始されてしまうと、基本的に調停委員が変わることはなく、同じ調停委員とやり取りを行うことになります。
例外としては、調停委員自身の体調不良や任期の満了、定年といった場合くらいです。
しかし、逆に言えば、現在の離婚調停手続きを取り下げ、再度離婚調停の申立てを行うことにより、調停委員を変更できる可能性があります。
もっとも、この方法は自分が離婚調停を申し立てている場合に使える方法になりますので、相手から離婚調停を申し立てられている場合には使えない方法です。
なお、再度離婚調停を申し立てても同じ調停委員にあたってしまう可能性自体はありますので、確実な方法というわけではない点も注意が必要です。
2 弁護士に横にいてもらう
次の対応策としては、弁護士に依頼して離婚調停手続きに同席してもらう方法です。
こちらの方法は、調停委員が変わるわけではありませんし、調停委員と完全に話さなくて良くなるわけでもありませんが、少なくとも調停委員が法的に正確でないことを言った場合には弁護士から訂正が入りますし、弁護士が主体となって調停委員への対応を行います。
このため、ご自身のみで調停に参加している場合よりも、調停委員と直接話す機会が減ります。
精神的な面について言えば、1人きりで嫌な調停委員と相対するよりも、自分の味方である弁護士が隣にいるだけでかなり楽になったと言われる方は多いです。
3 弁護士だけ調停手続きに参加させて自分は電話待機する
最後の対応策としては、裁判所に出頭して離婚調停手続きに直接参加する役割を弁護士に任せ、自分は自宅などにいて弁護士と電話ができるように待機しておくという方法です。
こちらの方法では、調停委員と直接話をするのは弁護士になり、ご本人は弁護士に意見や希望を伝える形になります。したがって、精神的な楽さで言えば今回ご紹介の中では一番上になるでしょう。
もっとも、離婚調停手続きの中には本人の出頭が必須という回もありますので(例えば調停が成立する回など)、全ての手続きで可能なわけではありません。
しかし、調停委員と接する機会をできる限り少なくするという意味では効果的な方法であると思います。
まとめ
①調停を申し立てしなおす
②弁護士に同席してもらう
③自分は自宅で待機をして弁護士に出席してもらう
という方法がある!
・ただし、①は相手が申し立てをしている場合はできない!
・調停委員と接する機会をできる限り少なくするという意味では、③がもっとも効果的!
弁護士のホンネ

今回は、離婚の調停手続きにおいて嫌な調停委員とあたってしまった方向けに、対応策をご紹介いたしました。
多くの調停委員さんは大変頑張ってくれますし、親身に話を聞いてくださります。もっとも、中には当事者の一方に肩入れしていたり、個人的な感情を爆発させたり、上から目線の方々も残念ながらおり、言わば「ハズレ」を引く場合があることも否定できません。
そうした場合にどのような対処をとれば良いのか、少しでも参考になりましたら幸いです。