内縁・事実婚の解消でも財産分与や慰謝料が請求できるってホント?

内縁・事実婚を解消しようと思っている方の中には、こんな風に悩んでいる方がいらっしゃると思います。

・財産分与って請求できるの?   

・慰謝料請求はできる?

離婚では財産分与や慰謝料が請求できるというのは聞きますが、内縁や事実婚が解消される場合は実際どうなのか、あまり聞かないですよね?

そこで、今回は、法律上婚姻関係にはない内縁・事実婚の解消の場合でも、そうした財産分与や慰謝料が請求できるのか、お話したいと思います。

 

内縁や事実婚を解消しようとしている方のためにお役に立てれば嬉しいです。

内縁・事実婚とは?

そもそも、内縁・事実婚として認められるには、どういう場合か疑問に思われる方もいると思います。

内縁・事実婚は、「婚姻の届出がないため法律上は婚姻とはいえないが、当事者の間に社会通念上の婚姻意思があり、かつ事実上の夫婦共同生活がある関係」を言います。

裁判所は、内縁・事実婚の成立に関して、社会通念上の婚姻意思があればよく、一方が婚姻の届出を拒否したり、消極的であったりしても良いとし(岐阜家審昭57・9・14・家月36巻4号78頁など)、また、継続的な同居がない場合でも、精神的、日常的に相互に協力し合うような実情がある場合(大阪地判平3・8・29など)にも内縁・事実婚の関係が認められるとしています。

要するに、婚姻届を提出していなくても、結婚しているという意思があり、結婚さながらの支え合いがあれば、内縁・事実婚と言えるのです。

財産分与って請求できるの?

夫の収入で生活をすると・・・

内縁・事実婚の関係であったとしても婚姻関係と同様に、共同生活の上で築いた財産を清算できないとすれば、一方当事者は損をして他方当事者は不当に利益を得ることになります。

当然、本人同士で財産についての話し合いが可能である場合には、本人同士で取り決めた内容にて、財産を分けることで問題ありません。

 

問題が生じるのは、財産を分けるよう要求しても相手が応じない場合や、不当に少ない財産しか分けないとされた場合です。

このような場合、通常の婚姻関係にある夫婦と同様に、内縁・事実婚の関係でああっても民法上の財産分与の請求(民法768条)ができるのか問題となります。

裁判例は、「財産分与は、婚姻の解消を契機としてなされるものではあっても、現に存した夫婦共同生活関係を最終的に規整するものともいうべく、かつこれによって直接第三者の権利に影響を及ぼすものではないから、内縁についても、これを認めるのが相当である」(広島高決昭38・6・19高民16巻4号265頁)と判断し、内縁・事実婚の関係においても財産分与が認められるとしています

そのため、内縁・事実婚の関係であっても諦める必要はありません。財産分与請求はできるのです。

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もっとも、内縁・事実婚関係にある相手が死亡した場合においては、異なります。

最高裁判所は、内縁関係にある一方当事者が死亡した場合、「死亡による内縁解消のときに、相続の開始した遺産につき財産分与の法理による遺産清算の道を開くことは、相続による財産承継の構造の中に異質の契機を持ち込むもので、法の予定しないところである」として、財産分与の請求はできないとされました(最決平12・3・10民集54巻3号1040頁)。

 

ただ、財産分与としてではなく、共同生活の中で築いた財産について、共有財産として考え、その2分の1の持分を内縁の妻に認めた例(東京高判平13・4・26)もあります。

そのため、内縁・事実婚の相手が死亡した場合にも財産を諦める必要はありません

このあたりはちょっと専門的かもしれないですね。とにかく、簡単に諦めるべきではないということです。

慰謝料は請求できるの?

それでは、内縁・事実婚が解消された場合、相手に対して慰謝料請求ができるのでしょうか?

答えはイエスです。

最高裁判所は、内縁関係の不当解消について「内縁配偶者の地位の侵害」として不法行為責任が生じることを認めました(最判昭33・4・11民集12巻5号789頁)。

また、夫婦間の貞操義務は、当然に内縁・事実婚関係においても認められます。

そのため、内縁関係の配偶者と関係を持った第三者に対しても責任が認められるのです(東京地判33・12・25家月11巻4号107頁等)。つまり、内縁の配偶者と男女関係をもった人に対して、慰謝料請求ができるということです。

内縁・事実婚というのは、法律的な規制が定まっていないため、非常に分かりづらいものではあります。しかし、上に述べたように、結婚している場合に近い保護がされているということがお分かりいただけたかと思います。

弁護士のホンネ

最近は、稀ではありますが、同性婚のご相談を受けることもあります。同性婚の場合にも、基本的には内縁・事実婚の関係と同様に考えることができるでしょう。

令和元年9月18日には、宇都宮地裁真岡支部にて、アメリカで同性婚をしたけれど、パートナーの不貞に伴い関係が破綻したとして、原告が元パートナーらに損害賠償請求をしたという事案において、「同性カップルでも実態に応じ一定の法的保護を与える必要性は高く、内縁関係に準じた保護を受けられる」として、別れた相手に110万円の支払いを命じる判決がされました。

内縁・事実婚に該当するかどうかは、同居期間や相互の親族への挨拶、友人、知人らへの周知の有無等、外形的客観的に慎重に判断されますが、内縁・事実婚に該当する場合、法律上の婚姻関係にはなくともそれに準じた法的効果が生じます。

内縁関係の解消に伴うトラブルなど、お困りの際には、一度弁護士にご相談することをお勧めいたします。

 

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