離婚のご相談を多く受けたり、実際に数多くの調停に参加し、裁判の対応をしていると、離婚に至りがちな原因というのが見えてきます。
今回は、どんなことで離婚になってしまうのかという、古典的だけれども大切なお話をしたいと思います。
意外だけれども、しかし多くの人がやってしまっているものもあります。
ですので、注意してご自身に当てはまらないかどうか読んでくださればと思います。
1. 不倫(夫・妻双方)
これは誰もが挙げるでしょう。
現場感覚として申し上げますと、皆様が想像している通りか、あるいはそれ以上の存在感です。
実際、弁護士の離婚相談において、この不倫問題はかなりの割合を占めています。
もっとも、不倫に至るのは、結婚生活に、少なくとも不倫をする側が希望を見いだせなくなってからであることが多いことは、指摘しておきたいと思います。
不倫をしてしまった人の多くは、既に結婚生活に希望を見いだせなくなってしまった方々であると感じます。
つまり、不倫や好きな人ができたことにより、結婚生活を終わらせるのではなく、結婚生活に希望が見いだせなくなってしまったために、他の異性に希望を見出すのです。
そういうわけで、不貞に至るのと、結婚生活の破綻は、その順序が一般的に思われているものとはちょっと違うかもしれません。
また、次の2や3を経て、不倫に至るケースも多く見られます。
2. 仕事をがんばりすぎる(夫側)
意識高い系という言葉が流行りましたが、仕事を第一に考えていれば、当然に私生活はおろそかになります。
独身であれば、好きなタイミングで旅行をするなりして、私生活も充実していると自慢できるだけの遊びもできるでしょう。
しかし家族がいれば、その家族のペースにも合わせて私生活を充実させる必要が出てきます。
仕事への没頭は充実した私生活に対する妨害物といえることは間違いありません。
私たちも、家族というものを、仕事を阻害する対象として見るようになって、結婚生活から心を離していった夫、また、そういう夫をみて、心が離れていった妻を多く見てきました。
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3. 産後の子育てでいっぱいいっぱい(妻側)
これは意外に感じる方々も多いかもしれませんが、紛れも無く、離婚に至った夫婦間で相当な割合を占めます。
特に、産後ウツなどに関しては、残念ながら事故のようなものですが、実際にそれが原因で離婚に発展することも多く、悲しいことです。
産後の子育てで精神が参る、我慢の限度を超えてしまう、イライラが収まらなくなる、などにより、ついつい夫に八つ当たりをしてしまうことがあります。
しかし、夫からすれば事故と割り切れるものでもありません(それほど人間は寛容であるわけではありません。)。
頻繁に八つ当たりをする妻がいる家に、次第に帰りたくなくなるというのは、自然の流れとも言えます。
夫も、結婚生活が、独身よりも希望があるものと考えて選択したわけですから、結婚生活がそれより劣る状態になり、かつその改善が見込めないと思った段階で、離婚を決意するに至るケースが多く見受けられます。
4. まとめ
以上、3つの主な離婚原因を述べましたが、これらが2つ又は全て重なって離婚に至るというケースもあります。
例えば、夫は仕事を一生懸命で、休日出勤をしがちで、また家でも仕事をして、常に取引先と電話をしてばかり。
妻は産後の子育てを一挙に担い、次第に鬱々とした気分を募らせ、また、夫が子育てを手伝ってくれないことへの不満により夫に八つ当たりを繰り返す。
妻による八つ当たりが重なり、夫は次第に、居心地が悪く、安らぎを得られないそうした結婚生活に希望を見いだせなくなる。
そして、仕事を頑張る一方で、逆に八つ当たりをする妻のいる家には帰りたくなくなる。
次第に、八つ当たりをする妻のいる家への帰宅途中に胃が痛くなり、吐き気すら催すようになる。
そうした夫の満たされない気持ちの中で、ある時、近くにいる女性に魅力を覚え、希望を見出し、抑圧されていた幸福な気持ちを思い出して解放された気持ちになり、夢中になってしまう、、、といったものです。
こうした例が存在することを知ることで、少しでもご自身の生活を見直すきっかけとなればと思います。

最も多い離婚原因は、「性格の不一致」と言われています。
しかし、性格が一致する人がいるはずはありませんから、当然といえば当然です。
結局、性格の不一致という説明は、何の説明にもなっていないのでしょう。
今回はそうしたことから、実際の離婚相談を通じて、特に目立つ離婚の原因・きっかけとなるものを3つほど挙げさせていただきました。
本文にも書かせていただきましたが、少しでも結婚生活の在り方を見直すきっかけとしていただければ幸いです。