さて、調停は、ご自身やお子様の人生を左右する重要な舞台なので、初めての調停前はやはり緊張してしまいますよね。
と、よくお客様からご相談されます。
みなさん、人生で初めての方が圧倒的多数(逆に2回も3回も離婚調停を経験したくないですよね。)ですので、ご不安に思われるのは当然です。
そこで、弁護士の視点から、初回の調停期日の流れについてお伝えいたします。
1.初回の調停期日の流れについて
① 裁判所からの呼出状記載の時刻5分前に待合室へ。
裁判所からの呼出状には、通常、初回調停期日と時刻・待合室の場所が記載されています。
場所:当裁判所3階第2待合室(相手方側)
記載の時刻5分前には、待合室に到着するようにしましょう。
調停の待合室は、申立人と相手方は別々になっているので、夫や妻と顔をあわせることはありませんから、ご安心ください。
また、小さいお子様のために、待合室にベビーベッドや絵本が用意されていることもあります。
なお、家庭裁判所では同時刻に複数の調停期日を実施するのが通常です。
東京や大阪などの大規模な裁判所では、20組以上が待合室で待機していることもあります。
② 調停委員が、待合室まで呼びにきます。
開始時刻になると、調停委員が待合室まで、ご本人を呼びに向かいます。
その際のやりとりは、このような感じです。
調停委員「事件番号平成27年わ第9999号の当事者の方いらっしゃいますか〜?」
(事件番号をチェックして。)
ご本人「はい、私です。」
調停委員「それでは、これから一緒に調停室に向かいましょう。」
少し違和感を感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そうです。調停委員は、プライバシー保護のために、待合室では、当事者の方をお名前では呼びません。
呼出状に記載のある事件番号で呼ばれます。
自分の事件番号が分からず、呼ばれているかどうかわからない・・・なんてことがないよう、事件番号はすぐに確認できるようにしておきましょう。
③ 待合室にて、両当事者揃って、調停の手続の説明。
その後、双方の当事者が揃いましたら、調停委員が、当事者に対して、自己紹介と調停の手続の進め方、注意などを行います。
この説明については、各裁判所や調停委員によって差があるのですが、概ね下記のような流れで行われます。
調停委員(男性)「それでは、私調停委員の鈴木(仮名)と言います。」
調停委員(女性)「同じく、調停委員の佐藤(仮名)と申します。本日はよろしくお願いします。」
調停委員(男性)「まず、私から、調停の手続の流れや意義について説明させて頂きます。
調停とは、私共調停委員を通して、当事者双方がお話を重ねていただき、夫婦のことや子供のことなどについて合意を形成するための手続きです。そして調停委員が伝え聞いたことはお相手にもお伝えいたします。
また、調停委員は中立公正な立場なので、どちらかに肩入れをしたりなどということはありません。そのため、お話を聞くお時間についても平等に同じくらいに調整しますが、場合によっては一方が長くなることもありますので、ご了承ください。」(説明の内容は調停委員によりそれぞれ異なります。)
④ 申立人から事情の聞き取り(30分程度)
そして、調停委員から、通常、申立人から、事情の聞き取りを行います。
初回の調停では、30〜40分程度の時間をかけて、じっくりと事実関係や、申立人の希望を確認することが多いです。
聞き取りに際して、調停委員は、事前に、申立人と相手方から提出された調停申立書や事情説明書、答弁書などに目を通して、予習をした上で臨みます。
そうですから、調停でお伝えしたいことがあれば、しっかりと調停申立書などの書面で説明することが重要となります。
相手方「はい。わかりました。」(一旦、退出。)
調停委員(男性)「それでは、まず○○さん(申立人)からお話を伺います。まず、ご結婚されたのは申立書に書いてある通り、平成○年○月頃からでよろしいですね。」
申立人「はい。。。」
⑤ 相手方から事情の聞き取り(30分程度)
申立人から聞き取りが終わりましたら、相手方に交代します。
そして、同じく30〜40分ほどの時間をかけて、調停委員が相手方から聞き取りを行います。
調停委員は、事実関係を相手方に確認したり、申立人の意向を相手方に伝えたりします。
その上で、調停委員は、申立人と相手方の主張の相違点や、事実関係、法律上の争点について、整理を行います。
相手方「いいえ、違います。別居の原因は・・・」
⑥ 申立人に交代し、再度、聞き取り(20分程度)
相手方からの聞き取りも終わると、再度、調停委員は、相手方の聞き取り結果を踏まえた上で、申立人とお話をします。
この場合は、相手方の意向を伝えた上で、合意ができるかどうか、申立人として妥協できるかどうかの確認の意味合いが強いものとなります。
申立人「そうですね・・・別居の経緯からすると、復縁は難しいかもしれません。。」
⑦ 相手方に交代し、再度、聞き取り(20分程度)
調停委員は、再度、相手方に申立人からの聞き取り結果を伝えます。
その場合、初回調停での解決が難しい場合には、次回調停期日の日程調整や、次回期日のための検討課題(宿題)を出すこともよくあります。
相手方「そうですか・・・それでは少し考えてみます。」
〜
調停委員(女性)「次回も調停は続行にしますので、次の日程は○月○日の午前10時でいかがですか?」
相手方「○月○日午前10時であれば大丈夫です。」
⑧ 次回調停期日を確定し、続行へ。
初回で話し合いがまとまらない場合には、約1〜1か月半後に第2回調停期日が設定されます。
第2回までに双方、主張書面や自身の主張を裏付ける資料を提出することもあります。
初回調停期日は、双方の主張が初めてぶつかり合う場なので、非常に重要です。
私も初回調停前には、すでに提出した書面や資料を再度チェックして、入念に準備して臨みます。
また、調停委員の方も人間なので、身だしなみや立ち振る舞いにも注意しなければなりません。
お客様とは、事前に調停の流れや、発言で注意するポイント、どのようにご自身の主張を的確にお伝えするか十分に打ち合わせをして当日に臨みます。
初回調停終了後に、調停委員に良い印象を与えた時・手応えを感じた時は、とても充実感がありますね。離婚に関して弁護士に相談するのは、まだまだハードルが高くお感じになる方も多いかもしれません。
でも、なるべく早い段階でご相談いただければと思います。
特に、ご本人が一度相手に提案した内容を、後から引っ込めるということは非常に大変です。弁護士が最初からついていたならば、そのような提案はせずに済んだんだけど、、と思うことも山々です。
弁護士も当然、同じ人間です。お説教をするということもありません。
どのような立場の方であっても、お気軽にご相談くださいますとありがたく思いますね。