調停で取り決めたのに相手が面会交流に応じてくれない・・・どうすればいい?

 

今回は、きちんと調停で面会交流を取り決めたのに、相手が守ってくれない場合どうすれば良いか、ご紹介します。

 

ご相談者様
面会交流調停が成立した後、相手に対して面会交流を求めたけれど無視され、結局一度も面会交流が実施できていない。どうすれば良いでしょうか?

 

このような相談を多く受けるところです。

 

そこで、今回は、

・相手が面会交流に応じない場合の手段は何がある?

履行勧告ってなに?

・慰謝料の請求はできるの?

間接強制とは?

についてお話させていただきます。

 

1 相手が調停等で取り決めた面会交流に応じてくれないときにはどんな手段があるの?

 

面会交流は、調停や審判、判決で認められることによって、その方法が具体化されることになります。

 

この面会交流が、相手の不協力によって実施できない場合、方法としては、

  • 履行勧告
  • 慰謝料請求
  • 間接強制

があります。

 

以下で、詳しくお話します。

 

2 履行勧告とは?

 

調停や審判、判決等で面会交流が認められたにもかかわらず、相手が全く面会交流に応じてくれない場合、家庭裁判所に申し立てることにより、履行状況の調査と履行勧告をしてもらうことができます(家事事件手続法289条)。

 

履行勧告は、電話による申し立てもすることができますので、相手が面会交流に全く応じてくれない場合、まずはこの履行勧告を裁判所に電話でお願いしてみると良いでしょう。

相手が翻意して面会交流に応じてくれるかもしれません。

 

ただ、実務上は、裁判所から書面で履行勧告がなされるだけのケースが多いため、相手が履行勧告後も面会交流に応じてくれない場合もあります。

履行勧告によっても相手が面会交流に応じてくれない場合には、再度調停を申し立てるか、以下のような慰謝料請求や間接強制といった方法を考えましょう。

 

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3 慰謝料請求できるの?

 

相手が正当な理由もなく、面会交流を拒否し、面会交流を求める権利を侵害している場合、不法行為や債務不履行に該当し得るため、相手に対して損害賠償請求をすることができます

 

例えば、

「親権者を母とし、2ヶ月に1回、2時間程度の父と子の面会交流を認め、日時・場所・方法等については協議する」

という内容の調停が成立したけれど、母が面会交流を拒否し、家庭裁判所の履行勧告にも応じなかったため、父が慰謝料を請求した事案があります。

裁判所は、父親としての愛情に基づく自然の行為を妨害したとして、不法行為を認め、母に対して500万円の慰謝料の支払いを命じました(静岡地浜松支判平11・12・21判時1713号92頁)。

 

また、債務不履行による損害賠償として70万円を認めた例(横浜地判平21・7・8家月63巻3号95頁)や50万円の慰謝料を認めた例(東京地判平25・3・28)もあります。

 

このように、面会交流が相手によって正当な理由もなく拒否された場合には、裁判例でも一定の慰謝料が認められていることがわかります。

ただ、損害賠償請求が認められても当事者間の対立状況が激化するばかりであって、面会交流それ自体の実現にはつながらない可能性があります。

 

4 間接強制って?金額はどれくらい?

 

そこで考えられるのが、間接強制という方法です。これは、相手が面会交流に応じない場合に、裁判所に金額的な制裁を行ってもらえるものです。

相手としては、これを回避するために、面会交流に応じざるを得なくなるというわけです。

 

間接強制それ自体について詳しくは、こちらの記事をご参照ください。

 

間接強制の金額は、不履行1回につき2万円や5万円、8万円などの例があり、養育費の月額を少し上回る金額としていることがあるようです。

相手が医師で資力がある場合、不履行1回につき20万円を認めた例(大阪高決平14・1・15家月56巻2号142頁、受差戻審神戸家決平14・8・12家月56巻2号147頁)もあります。

 

相手が、「お金を払うくらいなら面会交流に応じる」という心理状況を作るためには、相手の資力に応じた金額設定が重要といえます。

 

まとめ

・相手が面会交流に応じない場合、履行勧告・慰謝料請求・間接強制という手段がある!

・履行勧告は電話でも申し立てができる!

・慰謝料請求を求めることもできる!ただし、相手との対立が激化する恐れが!

・間接強制の金額は相手の資力によって異なる!

 

弁護士のホンネ

面会交流について相手が応じてくれない場合に取り得る手段についてお話してきましたが、面会交流の実現という意味ではどの手段も確実ではなく、実効性に乏しい場合もあります。

結局は、面会交流の実現が可能な条件について、当事者間で話し合い合意をしていくよう努力することが面会交流の実現に向けて一番の近道だと思います。

お困りの際には、お一人で悩まず、一度弁護士に相談することをお勧めいたします。

 

 

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