【根深い問題】遅々として進まない面会交流調停。どのように対応するべき?

1 遅々として進まない面会交流手続

別居中の配偶者が子供に会わせてくれないという被害は、無数に存在します。
それに対応するために存在する手続きが、面会交流調停の申立手続になるのですが、調停は大変な時間がかかり、しかも、相手が最終的に任意で会わせてくれないと解決できないという、厳しい現実もあります。

もう少し詳しく説明します。
子供に会わせてもらうことを願う親は、別居中の配偶者を相手として、面会交流調停を申し立てます。裁判所に強制的に判断してもらうべく、面会交流審判を申し立てることもできるのですが、裁判所の判断で、調停手続きに一方的に変更されてしまうことがほとんどです。

しかし、調停での話し合いは、相手がすぐに会わせようとしなければ、一年があっという間に経ってしまう、遅々として進まない手続きです。

典型的な例として、例えば、以下のような流れがあります。

<典型的な面会交流調停の流れ>

1月面会交流調停の申立
2月一回目の調停期日(相手が出席せず)
5月2回目の調停期日(相手が初参加。調停委員が相手から話を聞く。次回までに相手に考えをまとめてきてもらう。)
7月3回目の調停期日(相手から、やっぱり会わせられないとの返答。次回から調査官を入れて手続きを行うことが決定。)
9月4回目の調停期日(調査官が、相手を説得。相手は次回までに考えるとのこと。)
10月5回目の調停期日(相手から、やっぱり会わせることはできないとの回答。調査官が裁判官の指示を受けて、それぞれの当事者と面談をすることが決定。)
11月調査官面談(調査官が、当事者と面談をして、話を細かく聞く。)
12月6回目の調停期日(調査官の報告書が提出。相手は次回までにできるか再度検討するとのこと。)
3月7回目の調停期日(相手から、やっぱり会わせられないとの回答。調査官が裁判官の指示を受けて、相手方宅に家庭訪問をして子供と面談をすることを決定。)
5月家庭訪問(調査官が、相手方宅に家庭訪問。)
6月8回目の調停期日(調査官の報告書が提出。相手は次回までに実施できるか検討。)
8月9回目の調停期日(相手は現時点では不安で応じられないと回答。)

どうでしょうか。もしかしたら、手続きの経験がある方なら、「そうそう、これ!こんな感じだった!」と思われるかもしれません。

結局、このように、調停が1年半以上経過しても、なにも進まない、なにも決まらないというケースは多々あります。
上記の例で言えば、このまま調停を継続して、裁判所で試しに面会交流を実施するという「試行的面会交流」を行う場合もあれば、もはや調停での解決は不可能と判断され、審判手続に移行する場合もあります。

いずれにせよ、合意ができなければ、さらに手続きが継続して、もっと長引くことになることが理解できるでしょう。

では、審判手続に移行すれば、すぐに解決になるのでしょうか?
いいえ、ここからもまだ時間がかかります。
審判手続きに移行しても、家庭裁判所の裁判官は、後から上位裁判所である高等裁判所から審理が不十分だったと指摘されてしまうことを恐れて、場合によっては年単位でじっくりと手続きを進めます。

とりわけ、以前の調停段階における調査官による調査が1年以上前のことであれば、再度、別の観点から調査を行うケースもありますし、保育園や幼稚園、小学校、児童相談所などに対象を広げて調査を行なっていきます。

そうこうしている内に、調停から数えると3年や、下手をすると4年など経過していることもあるわけです。

別居時点ではまだ4歳くらいだったことが、審判手続が終盤に向かう頃には、早くも8歳や9歳に成長し、自分で判断できる力もついてきます。監護親の影響を強く受けている状況のため、「別居している親とは会いたくない」などとも言い始めます。
こうなると、裁判所もなおさら、会うべきとの判断を行うことに躊躇します。

こうした現状に対して、どのような手続きを取るべきなのでしょうか?

2 対応策

(1)まずは調停という正規ルートで

相手が面会交流を渋っていたとしても、まずは面会交流調停を申し立てる他はありません。
面会交流調停以外に、面会交流手続に特化した手続は、日本に存在しないからです。

また、上記に挙げた例は、あくまでも相手が会わせることを拒んだケースの推移です。調停の段階で、相手が最終的に面会に応じることも多いですので、まずは諦めず、申立を行い、正規のルートで進めましょう。

(2)審判を求めていく

調停でも先方がなかなか応じないという場合、それ以上続けたとしても、時間がかかるだけの可能性も高いです。そうした場合は、審判に移行するよう、裁判所に強く要請するのも一つでしょう。

裁判所はある程度の調査を経ないと判断をしてくれませんので、調査官が入っていなければ、調査官を入れることや、調査を行なっていないのであれば、早く調査を行なってもらいたいことなどをプッシュすると良いでしょう。

なお、審判で面会の方法が決まったからと言って、先方が守るとは限りません。第何何曜日の何時からどこどこで、といった細かい取り決めであれば、間接強制という執行手続を取ることが可能ですが、そのような判断を裁判所がしてくれるとは限りません。

また、間接強制を受けてでも子供に会わせないという親もいます。
そうした場合は、そのような対応自体が親として問題があるとして、親権を主張したり、親権者の地位の変更を求められるケースがあります。

(3)いつの日か子供に説明するために離婚訴訟の記録を残す

面会交流が実施できない場合、子供が大きくなった時、なぜパパは(ママは)自分を捨てたのだと、問われる日が来るかもしれません。
それは、たまたま街中で出会った時かもしれないし、誰かのお葬式の時かもしれないし、子供が訪ねてきた時かもしれないし、色々なルートが考えられます。

その時、あなたは何と答えたいでしょうか。
もし、子供に、自分はあなたを愛していた、やるべきことはすべて、一生懸命にやったのだと、そう伝えたいのであれば、それに備えて、離婚訴訟を提起し、親権を取得するために全力で戦うことも一つだと思います。裁判記録は公にも残りますし、自分で保管もできます。

いつの日か、子供に説明をするときに、愛を伝えられるように準備をすることが、最後の手段となるのかもしれません。

<弁護士のホンネ>

弁護士 青木
弁護士のホンネ

面会交流手続が遅々として進まない事態について、弁護士として、本当にやるせない思いを持っています。

申立時は幼い子供が、解決したときには小学校高学年になっていて、一番触れ合うべき時期に触れ合えなかった、という結果になることも多々あります。

それは申立をした親にとっても大変な被害ですし、子供にとっても取り返しのつかない被害です。

そうした中でも、与えられた手続きの中で解決をして行かざるを得ません。悩まれている方にとって、ベストな解決方法を、共に探っていければと思います。

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