財産分与の2分の1ルール。どんな場合なら変更できる?

1 納得できない2分の1ルール?

財産分与とは、婚姻期間中に夫婦で蓄積した財産を、離婚時に夫婦間で公平に分与し合うという制度です。この制度においては、よく「2分の1ルール」という言葉が使われたりします。
つまり、夫婦で蓄積した財産は、きれいに半分に割ってそれぞれが承継するというのが原則ということです。

なぜ、汗水垂らして働いて得た資産を、離婚時に半分も妻に分けなければならないのか?専業主婦やパート主婦を妻に持ち、長年会社員として働いてきた男性なら、そのような疑問が湧くかもしれません。

これについては、よく憲法24条2項が、「離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない」としていることが理由として挙げられています。

ただ、これは少々説得力が乏しいですよね。個人の尊厳と両性の本質的平等は当然のことであって、財産分与の際にどの程度の割合で分与を行うかにおいては直接には関係しないはずでしょう。おそらく、日本の婚姻制度自体が、夫婦間の人格的な結合であるという考えを背景に持っていることの方が、理由としては適切だと思います。もちろん、その考え方自体に賛成するかどうかは別問題です。

離婚に関する調停に参加すると、まずお互いの財産をそれぞれ開示することを求められます。その上で、調停委員も、2分の1ルールを当然の前提として、分与額を提案してきます

しかしながら、例えば、結婚前からの必死の努力で一定の資格を獲得して、現在の収入を維持できている場合もあるでしょう。また、結婚前の必死の努力と投資を基にして会社を作った場合もありえます。

そうした場合でも、本当に、結婚後の蓄財は全て2分の1になってしまうのでしょうか。

2 大阪高等裁判所が挙げた例外!

平成26年3月13日の大阪高等裁判所の判決では、さきほどの憲法24条2項を挙げて、原則として夫婦の財産分与割合は2分の1ルールに基づくべきことを述べました。しかしその一方で、次のような場合は、個人の尊厳や両性の平等を害しないものであるとし、例外を認めました

 

  1. 高額の収入に、将来の生活費を考慮したベースの賃金を前倒しで支払うことによって一定の生涯賃金を保障するような意味合いが含まれるなどの事情がある場合
  2. 高額な収入の基礎となる特殊な技能が、婚姻届出前の本人の個人的な努力によっても形成されて、婚姻後もその才能や労力によって多額の財産が形成されたような場合

どういうことでしょうか。

つまり、(1)は、スポーツ選手のように、高額収入であるけれども、それは現役の期間が制限されているため、将来の生活費を前渡しで払っているようなケースです。こうした場合は、離婚後の本人の生活費が考慮されているため、離婚時の財産分与として、きれいに2分の1とすることが、むしろ本人に酷となるのですね。

そして、(2)は、医者や著名な研究者のように、その特殊な技能が婚姻前の本人の努力によって形成されているため、婚姻後の収入は必ずしも配偶者の寄与が高いとは言えないケースです。

大阪高等裁判所は、こうしたケースであれば、2分の1ルールを修正できると判断したわけです。もちろん、この二つの例はあくまでも例です。他に、配偶者の寄与があるとは類型的に考えられないケースであれば、同様に2分の1ルールの修正が効くものと思われます。

なお、この大阪高等裁判所の事件は、夫が医師のケースでした。判決では、夫が医師の資格を獲得するまでの勉学等について婚姻届出前から個人的な努力をしてきたことや、医師の資格を有し、婚姻後にこれを活用し多くの労力を費やして高額の収入を得ていることを考慮し、結果として、夫婦の寄与割合を6対4としました。2分の1ルールをここで修正したのです。
もっとも、この判決は、妻が家事や育児のほか、診療所の経理も一部担当していたことをもって、妻の寄与割合をこれ以上減ずることはできないとも述べています。このことは、逆に言えば、診療所の経理を一部担当していた程度では、寄与割合はきれいに2分の1にはならないということでもありましょう。非常に注目されるべき点です。

 

弁護士のホンネ  

一昔前はもっと柔軟に寄与度が審理されていたように思いますが、いつの間にか「2分の1ルール」なるものが定立され、逆に夫にとって不平等になった感を感じなくもありません。
例えば、昭和44年12月24日の福岡高等裁判所決定などは、「夫の財産が全部夫婦の協力により取得されたものでしかも双方の協力の程度に甲乙がないような場合であれば、財産分与の額を定めるにあたり夫の財産の二分の一を基準とすることも確かに妥当であろう」などとして、二分の一ルールの適用については、一定の留保をつけていました。
しかしながら、現在では原則と例外が逆転し、原則として2分の1という運用がなされています。特に、調停委員にはその傾向が顕著のように見受けられます。
ただ、上記の大阪高裁の例からも分かるように、必ずしも2分の1で杓子定規に判断されているわけではありません。今の世も、そういう意味で、働く人の「尊厳」を保てるよう、ぎりぎりの調整がなされています。

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