認知した子供の養育費はいつまで遡って支払うの? 養育費の支払いの始期について説明します!

認知した子供の養育費について、いつまで遡ってから支払わなければならないのでしょうか?

養育費は、法律上の親子関係のある子供に対して支払うべき費用です。

認知をした子供についても、養育費の支払いが必要であることは変わりがありません。

では、認知した子供の養育費は、いつまで遡って支払う必要があるのでしょうか。

今回は、認知した子供がいる場合に、養育費をいつまで遡る必要があるかについて、以下の順番でご紹介いたします。

認知とは?

・養育費に関する基本的な考え方と、認知の場合の事情の違いとは?

養育費はいつまで遡って支払うのか

1 認知とは?

認知とは、女性の子供の父親であることを役所に申し出る法的な手続きのことです。

認知を行うことにより、法律上子供の実父であることが確定され、「親としての責任」が発生します。

「親としての責任」の代表的なものが、認知した子供に対する養育費の支払義務です。

また、認知した子供は、実父の相続人となりますので、実父が亡くなった場合には、認知した子供に対して相続がなされることになります。

 なお、当事務所では、認知をする際には、DNA鑑定をすることをお勧めしています。

こちらについて興味のある方は、「別れた女性に「子供を認知してほしい」と言われたら。絶対に行うべきDNA鑑定。」という記事も参照していただければと思います。

2 養育費に関する基本的な考え方と認知の場合の事情の違いとは?

 認知した子供の養育費を支払う責任がありますが、認知した子供に特有の問題点がありますので、説明します。

通常、養育費は、配偶者である夫または妻と離婚する際に、離婚後の子供の生活費に関する取り決めとして登場します。

そして、(元)夫婦間で話し合いがまとまらなければ、裁判所へ養育費の取り決めについての調停を申し立てて取り決めることになりますが、調停で話し合いがまとまらなければ、裁判所が養育費の月額と未払分を判断することになります。

このとき、養育費の未払分、つまり、養育費をいつまで遡って支払えばいいか、という点については、基本的に調停の申立てをした時点、として扱われています。

このように扱われているのは、養育費の請求自体はいつでも可能であったにもかかわらず調停の申立てが遅れたのであれば、それは自己責任であるとして、調停の申立時点以前に遡って支払う必要はないという考え方に基づくと考えられます。

もちろん、調停の申立て以前から明確に養育費の支払いを請求していた場合には、調停の申立以前の時点まで遡って支払う場合もあります。

では、認知した子供の場合には、何が問題になるのでしょうか。

それは、認知が確定するまで、子供の父親かどうかがわからず、養育費の支払いを請求する調停を申し立てることができないという点です。

一方で、認知に関しては、民法784条で、「認知は、出生の時にさかのぼってその効力を生ずる。ただし、第三者が既に取得した権利を害することはできない。」と規定されていますので、認知が確定すれば、その子供と実父との親子関係は、子供の出生の時に遡って存在することになります。

このため、養育費の調停を申し立てることが可能な時点と、養育費の支払義務が発生する、認知した子供の出生時点とで開きが大きくなってしまうのです。

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3 養育費はいつまで遡って支払うのか?

それでは、実際には、養育費はいつまで遡って支払うことになるのでしょうか。認知した子供の出生時点でしょうか、それとも、認知した子供の養育費について調停の申立てをした時点でしょうか。

実は、大阪高等裁判所は、平成16年5月19日に、認知した子供の養育費については、その出生時に遡って分担額を決定するべきであるという判断をしています。

具体的な判断としては、

「未成年者の養育費については、その出生時に遡って相手方の分担額を定めるのが相当である。」、「原審判は、抗告人が養育費の支払を求めた平成14年6月を分担の始期としているが、未成年者の認知審判確定前に、抗告人が相手方に未成年者の養育費の支払を求める法律上の根拠はなかったのであるから、上記請求時をもって分担の始期とすることに合理的な根拠があるとは考えられない。本件のように、幼児について認知審判が確定し、その確定の直後にその養育費分担調停の申立てがされた場合には、民法784条の認知の遡及効の規定に従い、認知された幼児の出生時に遡って分担額を定めるのが相当である。」(大阪高決平成16年5月19日家月57巻8号86頁)

としています。

つまり、認知した子供の養育費は、その子供の出生時点まで遡って支払う必要があるということです。

もちろん、当事者の合意によって、養育費をいつまで遡って支払うかについて、出生時点以外の時点とすることも可能でしょう。

また、養育費の未払分についても、一括での支払いか、分割での支払いかという点についても、当事者の合意次第なところではあります。

しかし、裁判所が判断をする場合には、認知した子供の出生時点まで遡って支払う必要がありますし、その支払方法は、原則として一括での支払いとなります。

弁護士のホンネ 

 今回は、認知した子供の養育費について、いつまで遡って支払う必要があるかという点について説明させていただきました。

認知を求める母親側としては、認知に関する手続きを早期に行う必要があることは変わりませんが、認知が確定すれば、養育費を子供の出生時点まで遡って支払ってもらえるという意味で安心材料の一つになると思います。

一方で、認知を求められた父親側としては、認知が確定すれば、子供の出生時点からの養育費を遡って支払う必要があるということですので、覚悟が必要です。

認知した子供の養育費は、0歳から20歳までという範囲での支払いが原則になりますので、総額としてはかなりの金額になります。

認知の手続きと養育費の請求に関する手続きは、しっかりと行うことをお勧めします。

これは、母親側からの請求という意味でもそうですし、父親側としても、認知をするか否かを含めてしっかりと検討して必要に応じて反論をする必要があるという意味です。

当事務所では、認知手続きやそれに続く養育費の請求手続きを含めて相談に応じています。

1人で抱え込まずに、お気軽にご相談にいらしていただければと思います。

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